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【大相撲】

稀勢の里が単独トップ 冷や汗全勝ターン

2017年1月16日 紙面から

稀勢の里(後方)が突き落としで隠岐の海を下す=両国国技館で(市川和宏撮影)

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◇初場所<8日目>

 (15日・両国国技館)

 大関稀勢の里(30)=田子ノ浦=が隠岐の海を逆転で下して8連勝とし、単独トップに立った。横綱白鵬(31)=宮城野=は平幕の荒鷲(30)=峰崎=に不覚を取り土がついた。荒鷲は6日目の鶴竜戦に続く金星獲得。鶴竜は正代を退けて5勝目。照ノ富士は豪栄道との大関対決に勝ち、星を五分に戻した。豪栄道は3敗。かど番の琴奨菊は松鳳山に屈して6敗。

 盤石の左四つも、宝刀のおっつけも繰り出せない。稀勢の里が、隠岐の海にもろ差しを許してズルズル後退していく。先場所の3敗は、すべて平幕相手という大関のピンチに「またか」−。館内の悲鳴の中、何とか回り込んで左からの突き落とし、白星をもぎ取った。

 これまでの対戦成績は16勝3敗と圧倒しながら、前回の綱とりだった昨年秋場所では、初日に出ばなをくじかれる黒星を喫した相手。またしても強引な攻めが通じず、上体が起きる場面を再現されかけた。

 さすがに冷や汗をかいたか、勝ち名乗りでは口をすぼめて息を吐いた。「まあ、いろいろな展開があるからね」と多くは語らなかった。結果オーライでも1勝は1勝と言わんばかりに、支度部屋では無表情を貫いた。

 八角理事長(元横綱北勝海)も、取り口については「(稀勢の里が)2本差されたらいかん」と繰り返して渋い表情。それでも「15日間あれば、こういった相撲もある。こういうのを勝てるんだから」と流れに乗ったことを認める。

 風呂から上がり、支度部屋でひと息ついていると、テレビでは白鵬に土がついた一番。目もくれなかった。「これで稀勢の里が単独トップ!」。アナウンサーの叫びにも無反応。花道を引き揚げる横綱の姿を、ちらりと横目で見ただけだった。

 全勝での折り返しは、昨年夏場所以来。12連勝したものの、白鵬と鶴竜に連敗して賜杯を逃した。八角理事長の「これで白鵬と並んだつもりで」という言葉通り、勝負どころはこれから。去り際に「集中」と3度、繰り返した稀勢の里自身が誰よりも分かっている。 (志村拓)

 

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