親が苦難を乗り越えて獲得したストレスへの耐性や生き残る力は、子や孫にも引き継がれることを、線虫を使った実験で確認したと、京都大の西田栄介教授(細胞生物学)らのチームが9日付の英科学誌電子版に発表した。
環境への適応力を子孫に継承する種の生存戦略の可能性があるという。
チームは「人でも同じようなことが起きているとすれば、訓練や勉強によって得た能力が子に受け継がれているかもしれない」としている。
チームは▽有害物質「ヒ素」を少量添加▽高い塩分濃度に浸す▽餌となる大腸菌を与えない――の3つのストレスをそれぞれ数百匹の線虫に数日間加えた。その後、ストレスを加えなかった線虫のグループと共に、害のある溶液に浸し、何日生きるかなどを比較した。
すると、ストレスを与えた線虫は、寿命とストレス耐性が約20%増加。その子や孫を調べると、ストレスを与えずに育てたのに、寿命と耐性が約10~20%増えていた。〔共同〕