今月11日、韓国製化粧品19品目が中国で一斉に不合格判定を受けたことをめぐり、韓半島(朝鮮半島)への終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に対する報復ではないかとの見方が浮上する中、韓国産業通商資源部(省に相当)幹部は「中国政府が不合理な決定を行ったならば、第1回韓中FTA共同委員会で十分に協議する」と述べた。13日に北京で開かれる同会議で報復的な貿易制裁に異議を唱えるという趣旨の発言だった。
しかし、韓国の食品医薬品安全処(食薬処)は「中国に輸出した韓国の化粧品が返送されたのは、(韓国メーカーが)中国の化粧品関連規定に違反したことに対する措置だと確認された」とする報道発表を行った。
今回不合格となった19品目のうち13品目はいずれも特定の中小化粧品メーカーのサンプルだった。韓国政府の調査で、問題のメーカーは「サンプルの通関が初めてだったため、実際の製品と同様の書類が必要だとは知らなかった」と説明したという。別の化粧品メーカーも「会社側のミスだ」と認めた。実際は韓国の化粧品メーカーのミスで中国から不合格判定を受けたにもかかわらず、「化粧品報復戦」という受け止めが先行した格好だ。さらに、韓国貿易協会の資料によると、中国による化粧品の返送措置は2014年に31件、15年にも26件あった。つまり今回に限った措置ではないということだ。食薬処関係者は「中国が今回の韓国側の反応を見て、『韓国は怖がっている。今後は化粧品の返送が韓国への有効な圧力手段になる』と考えはしないかむしろ心配だ」と語った。
最近の「韓流禁止令(限韓令)」をはじめ、春節(旧正月)期間の韓国の航空各社によるチャーター便運航不許可など中国側の一連の措置には警戒を怠ってはならない。また、不合理な措置には適切な対応も必要だ。しかし、中国のあらゆる措置をTHAADのせいだと主張することは別次元の問題だ。韓国企業のミスを認め、失敗を繰り返さないように、化粧品メーカーに対する支援、教育を強化すると表明した食薬処の勇気を評価したい。