大変だ。日本が孤立している。先日、本欄で「ラ・ラ・ランド」を絶賛したところ、いつから見られるんですか?という問い合わせを、あちこちから、いただいた。答えは日本では2月24日、というと落胆した表情に、こちらが逆に蒼ざめてしまった。
マスコミ向け試写は12月から行われておりマスコミ関係者なら先行して見られるのだが一般客は2月末まで待ちぼうけを喰うハメになる。
日本ではハリウッドでヒットした実績を測って公開館数や公開日(春休み狙いなど)を決めてきた経緯がある。
だから「ラ・ラ・ランド」の2月末公開も予定通りなのだが、世界の状況を調べて驚いた。韓国12/7、シンガポール12/8、米、台湾12/9、インド12/16、香港1/26、世界37カ国が1月中なのである。日本だけポツンと2/24。例年同様、アカデミー賞(2月末)効果で公開日程を合わせているのは解るが地球儀を俯瞰してみると、ややイビツだ。
アナ雪に続く、同じスタッフ制作のディズニーの豪華ミュージカルアニメ「モアナと伝説の海」。
米国では11/23公開で3週連続1位を記録したが、カンボジア、シンガポール11/24、中国、インドネシア、パキスタン11/25、フィリピン11/30、マレーシア、タイ12/1、印12/2、韓1/19、香1/26で世界50カ国が1月封切(北欧3国のみ2/3)。ポツンと日本だけ3/10だ。
大雑把に言って、3~4ヶ月遅れ。ここまで日本一国だけが置き去りにされているとは考えていなかった。
日本は海賊版のない著作権大国。だからアジア各国における海賊版対策のための、早期封切せずとも(おそらく大幅な)逸失利益は発生しない。
だが、情報は、ナマものだ。世界中のSNSで映画の感想や批評が、今日では一気に拡散する。日本だけコンテンツ難民化していないか? ハリウッドのワールドプレミアから除外されていないか?
米映画に批判的な、アート志向の欧州や、露・中も、ハリウッド作品は、さっさと封切っている。
見事に日本だけが世界の孤島、「除け者?」にされている感があるのだ。
これを報じるマスコミも少ないし、是正を求める業界団体などもない。
「シン・ゴジラ」も「君の名は。」も十分な宣伝周知期間を設けずとも大ヒットした。すぐれた作品は今や時期を問わずクチコミでブレイクスルーするのだ。
日本は島国で、平和ボケで呑気だからマイペースでいい、という意見は危ういと思う。
ジェニファー・ローレンス主演、宇宙船で120年間冷凍睡眠で惑星移住する5259人。あろうことか男女2人だけ90年早く船内で目覚めてしまうSF大作「パッセンジャーズ」も世界79カ国で1月公開。日本だけが3/24。
エイリアンの言葉を翻訳する言語学者をエイミー・アダムスが演じる話題作「メッセージ(原題arrival)」も世界50カ国で1月公開なのに日本だけ5月公開予定。なんじゃ、こりゃ、である。どちらも賞レース候補作だ。
タメイキ以前に、日本の置かれている旧弊のポジションに脱力してしまう。
数多くいるはずの映画評論家たちは何をしているのだろう?新聞雑誌の文化部はなぜ共同でキャンペーンを張らないのだろう?
K-POPに出し抜かれた時と同じ、マスコミの怠慢を見る思いだ。
1992年、洋楽に1年間のレンタル規制がかかり、以後、洋楽が日本では衰退の一途をたどった。情報の遅いジャンルは滅びるしかないのだ。
失速した洋楽の次は、洋画の番かも知れない。