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自衛隊の海外派遣への制約を可能な限り解き、米軍などを幅広く支援できるよ…
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自衛隊の海外派遣への制約を可能な限り解き、米軍などを幅広く支援できるようにする。そんな安全保障関連法の本質が、改めて見えてくる。
政府は昨年末、連携する米軍などの艦船を、平時から自衛隊が守る「米艦防護」の運用指針を決めた。
昨春施行の安保法に基づく任務拡大で、想定される場面は、(1)米イージス艦による北朝鮮の弾道ミサイル警戒(2)日米共同訓練(3)放置したら日本が攻撃される恐れのある「重要影響事態」での輸送・補給――などだ。
指針は米艦防護によって「戦闘行為に発展すること」はないと強調しているが、平時といっても不測の事態は起こりうる。自衛隊の武器使用が紛争への引き金をひき、エスカレートする可能性は否定できない。
だからこそ政府の判断を監視する機能が大切だが、安保法では、米艦防護を実施するかどうかの判断を防衛相に委ねている。国会が関与する仕組みはほとんどない。
指針では「第三国の領域における警護の要請があった場合」などは、国家安全保障会議(NSC)で審議することになってはいる。だが、NSCも政府の機関であり、第三者としての監視機能は果たせない。
情報公開にも問題がある。
重要影響事態では基本計画が公表される。原則として事前の国会承認が必要だが、緊急時には事後承認も認められる。
一方、重要影響事態に至らない平時の公表は「特異な事象が発生した場合」が例示されただけ。防衛相が毎年、前年の結果をNSCに報告することになっているが、国会をはじめ第三者のチェックは難しい。
米艦防護には地理的制約がない。日本の存立が脅かされるなど、集団的自衛権行使の「新3要件」は適用されず、基本的に国会承認も必要ない。
集団的自衛権の行使にも政府の恣意(しい)的な判断の余地があるが、平時の米艦防護には実効性のある歯止めが見当たらない。「集団的自衛権の抜け道」と批判されても仕方がない。
国会の関与強化をめぐっては一昨年秋、政府・与党が新党改革(当時)など野党3党の要望を受け入れ、安保法への賛成を得た経緯がある。
その際の合意は、自衛隊の活動への常時監視や事後検証のための国会の組織のあり方などについて、法成立後に各党で検討し、結論を得るとしている。
安保法の欠陥は残されたままだ。20日開会の国会で政府と与野党の責任ある議論を求める。
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