こういう記事が目にとまったので書いてみる。
まあこの方はマクドナルドの店舗で働いているフリーターみたいなので、儲からないのに仕事が増えると嫌とかという感覚なのはわからないではないですが、マクドナルドのフリーターではなく、もう少し別の経営的なお仕事についていたら同じようなことは言わないんじゃないかと思います。
この記事の感想欄を読んでも「無料キャンペーンやってると店が荒れる」とか「同意。お金を払ってサービスを受けるって、タダで利益を享受しようとする質の悪い層との住み分けの意味もあるから。」とか書かれているので、わかってないな、と思わせるわけですが、マクドナルドの経営陣は、「店が荒れる」とか「質の悪い層との住み分け」とか考えてないと思います。
何故かというと、マクドナルドの主要顧客は、冒頭の記事中の「髪の毛を金髪にしたDQNの一派」とかだからです。マックで、そういう顧客と住み分けが必要で、くつろぎたい人は、むしろ少数派です。旨いバーガーを食べてくつろぎたい人は、フレッシュネスバーガーとか、場合によっては一個1000円くらいするプレミアムバーガーを食べてくれればよいわけです。文句あるなら、どうぞよそで高いバーガー買ってくださいと。高いバーガー買えないからマックに来てんでしょと。どうせ金髪DQNと目を合わせようとしないほかのお客さんだって、一皮むけば金髪DQNとそう変わらないひとたちです。
で、金髪DQNみたいなお客さんを潜在的に増やす必要があるから、時々はポケモンGOとかと組んで、あるいは成人式をネタにして、無料でタイアップキャンペーンやるわけです。マックにいつも来てくれるお客さんばかりでは商売は狭まるばかりですし、そういうお客さんは普段は牛丼食べてるのかもしれないわけですから。
実際、上記のブログの人も書いています。「消費者が食べたいのはビックマックのような肉てんこ盛りのようなハンバーガーであって、野菜バーガーではありません。」と。「グランドビックマックは大盛況で、どの店舗もグランドビックマックの資材がなくなり販売中止が相次ぐ」と。ヘルシーな野菜が入ったものよりも、肉肉しいバーガーを食べたいのがマックの顧客です。いうまでもなく、自分の健康に配慮して野菜を好んで食べるのは収入階層や文化階層の相対的に高い人で、肉肉しいバーガーを食べたいのは、健康に留意しないDQNです*1。きっと、アメリカから来た日本マクドナルドの幹部は、痛感したのです。「日本は中流階級の層が厚く、日本ではマックは中流階級の食べ物と聞いてきたので野菜キャンペーンを打ってみたけど、やっぱりわかった、マックを食っているのはアメリカでも日本でも、OilyでFattyなものを好むDQNなんだ」と。
で、そういうDQNに一番効くのが「タダ」という言葉です。DQNは、なんだかんだ言ったって貧乏です。貧乏に一番効果があるのは、「タダ」です。決まってるじゃないですか。
働く人たちが大変だろ、という主張もありますが、そんなの関係ないっす。時給制なんだから、DQNが来て1時間50人の客をさばこうが、暇で隣の女子高生バイトを口説くくらいの暇があろうが、経営者的には同じ賃金を払わなければならないとすれば、むしろ忙しいくらいのほうがよいというものです。原材料費は多少かかりますが、広告宣伝費だと思えば、テレビコマーシャル一発打つよりよほど安いものです。
テレビコマーシャル一発打てば、1か月で数億から十数億、メイン顧客である記憶力に乏しいDQNの頭に残るほどたくさん打つには、数十億のお金がかかります。ビッグマックいくつ分?コーヒー何杯分? 簡単に「普通にCM打てば」と冒頭の記事には書いていますが、普通にCM打つためにはどんだけ金がかかると思ってんだ。お前らバイトが忙しくなろうがその分余計に金がかかるわけじゃなし、食材はどうせ海外から安く調達しているわけで、そっちのほうがよっぽど安いんだよ、と普通の経営陣なら考えるはずです。
というわけで、上記ブログの人も分かっているとおり、マックの経営陣は、正しい顧客に、バイト社員を正しく使って、正しく無料キャンペーンを打っている。その点において優秀な経営者なのではないかと思います。
さて上記のような、マックで働くフリーターが、マックに来るメインの顧客を馬鹿にする状況を、美しく描いた音楽はこちら。
♪ 弱い者たちが夕暮れ
♪ さらに弱いものを叩く
♪ 見えない自由が欲しくて
♪ 見えない銃を撃ちまくる
♪ 本当の声を聞かせておくれよ
マック食べるお客がどういう人たちかを知りたければ、こちらの映画が良いでしょう。
さて、マックではなく、おいしいバーガーでくつろぎたい人は、こちら。
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*1:なお、私も肉肉しいバーガーが好きであることは付言しておきます。