熟女とは何か?
艶熟女認定士・球磨川明恵は著書『艶熟女のススメ』の前書きで次のように語っている。
世間一般で言う熟女は40代前後の女性を指すことが多い。しかし、人によっては60代以上の女性を指すこともある。広義の意味での『熟女』は、実年齢で区切るものであるが、私たち艶熟女認定士が提唱する狭義の意味での『熟女』は、実年齢ではなく肉体年齢と精神年齢から判断する。肉体的な成熟はもちろんのこと、精神的な成熟こそが大事なのだ。そのため、人生経験豊富な20代女性でも、狭義の意味では『熟女』となる。
残念なことに、世間での『熟女』のイメージは肉体が若くない女性であり、私たちが求める理想の熟女像とは大きくかけ離れることになる。この『熟女』の定義に対しては、毎年日本で行われる『日本熟女愛好学会』でもたびたび問題にあがっているテーマでもあるが、私は外見でしか判断できない人が多い日本社会において、狭義の意味での『熟女』は浸透しないと考えている。
そこで本書では、狭義の意味の『熟女』を『艶熟女(えんじゅくじょ)』と呼ぶことで広義の意味での『熟女』と区別することにする。この『艶熟女』だが、艶のある色気と成熟した精神を併せ持つ人間として円熟した女性を表した造語である。私はこれからも艶熟女認定士として、世界中から『艶熟女』を探し出し、これからも認定していきたい。それが男として生まれた私の役割だと思っている。
(球磨川明恵『艶熟女のススメ』前書きより引用)
俺は『熟女』の定義に精神の成熟を含める考え方に驚かされた。そして、著者が『艶熟女』として認定した女性たちに会ってみたいと思った。著者の言う『艶のある色気と成熟した精神を併せ持つ人間として円熟した女性』とは、どんなに素晴らしい女性なのであろうか?著者の言う『艶熟女』について、物凄く気になる反面、「艶熟女認定士・球磨川明恵?あんた誰?」という疑問もある。いや、マジであんた誰よ?というか認定って何よ?
女性を実年齢だけで評価する男は、実につまらない。食わず嫌いもいいところだ。年月を経ただけでは、女性は艶熟女になれない。腐った牛乳になるかチーズになるか、腐ったブドウになるかワインになるか。牛乳が腐るかチーズになるかの違いは、腐敗か発酵で違う。あらゆる人生経験を経た女性は、その経験により、腐敗か発酵の道を選ぶことになる。
私が今までに艶熟女認定してきた女性たちは皆、恋愛経験豊富で男性経験も多かった。つまり艶熟女になるための発酵に必要な酵素とは、男性なのである。艶熟女たちは、人前では常に自分が女性であることを意識している。落とし物を拾う時、目の前に男性がいなくても、後ろから見られているかも知れない、遠くから見られているかもしれないと考え、スカートの中が見えないように両足を完全に閉じ片膝立ちして落とし物を拾う。いくら女性同士の会話で「私はおばさんだから。」と笑って話していても、こういう男性視線を意識した行動を自然にとれる女性は色っぽくとても魅力的である。
女性が女性たらしめるのは、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンによる肉体的変化だけではない、精神的変化もである。男を意識しなくなった女性は女性ではない。肉体は年月で老化するが、精神は老化しない。心が生き生きして若々しい女性は、その内面から溢れ出すエネルギーにより肉体も若々しく、味も実に美味であった。
(球磨川明恵『艶熟女のススメ』第一章より引用)
正直、ここまで読み進めていくと、著者が何者なのか分からなくなってくる。女性を食品に例えたかと思えば、医学的なこともあれこれ言いだしてきて、意味分からん。引用しなかった部分になるが、長ったらしく、脳梁の太さが女性は男性よりも太いから、感情的であり、精神の感度がいいとかなんとか書いてあったが理解できない。著者が女性が好きだと言う理由をまわりくどく書いている印象を受けた。その点は、俺も共感できる。
艶熟女と言っても色んな女性がいた。ビジネスパーソンとして働いている女性もいれば、主婦もいる。大学生もいる。彼女たちの共通点は、いい男を見分ける独特な嗅覚を持っていることだ。彼女たちは、多くの男性との付き合いから培った経験から、男の目利きができるようになっていた。彼女たちに『いい男は他の男と何が違うのか?』と聞くと、「オーラが違う。」と皆一様に答える。ここで言うオーラとは比喩であり、オカルト的なものではない。ちょっとした発言や態度に、他の男と違うものを感じ取れるらしい。私は彼女たちを艶熟女認定する最後の質問でいつもこう尋ねる。
「私に、いい男オーラはありますか?」
彼女たちは笑顔で次のように答える。
「いいから早く、私をイカせて!」
念のため補足しておく、ここで彼女たちが言う「イカせて!」とは、軟体動物門頭足綱十腕形上目のイカをどうこうすることではない。イカを捌いてイカ刺しにすることではない。おまけに作った塩辛で酒が進むということでもない。
(球磨川明恵『艶熟女のススメ』第五章より引用)
俺はここまで読んで気づいた。著者は頭がおかしいと。なぜかこの後、長々とイカが日本酒に合うことについて書かれており、その後で、女性たちとの体験を海洋生物で例える謎のシーワールドが繰り広げらている。著者の本を読めば分かってもらえるが、後半はただの官能小説だ。会話内容がやたらと生々しいため、男の俺でもちょっと引いてしまった。モテない男にとって、女性とデートしたとか、女性に囲まれて酒を飲むのは楽しいとか、そういう話はあまり聞きたくないものだ。爆ぜろリア充!
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最後まで読んだが、著者の肩書である『艶熟女認定士』について一切触れていないことが気になる。また、その認定方法も不明だ。著者についてはあまりよく分からなかったが、とても面白い本であるのは間違いない。是非、他の人にも読んでもらいたい!俺はこの本を読んで、『熟女』がもっと好きになったと言っておこう。
(この話に登場する『艶熟女のススメ』は架空の本です。真に受けないでくださいね!)
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