ブラタモリ讃岐うどん編が放映されました。気になったのが、番組内で、タモリさんが何度か、これまで讃岐うどんを誤解していたと発言したこと。内容から、あの丸亀製麺が1枚かんでいるのかな、とふと思いました。
ブラタモリ 讃岐うどん編とは
NHK番組のブラタモリは、通常はブラタモリ仙台編のように、地名がつくのですが、今回は異例の讃岐うどん編。グルメや観光地を一切扱わないブラタモリとしては、珍しいテーマでした。
讃岐うどんが誕生した背景に、扇状地や花崗岩、さらに四国山地が関わっているという、さすがの内容だったのですが、詳しくは姉妹サイトで書かせていただきました。
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タモリさんの讃岐うどんを誤解していた発言
写真:都内の専門店が提供する讃岐うどん
ブラタモリの冒頭で、タモリさんは丸亀市の新進気鋭の讃岐うどん店「山とも」を訪ねました。気になったのは、讃岐うどんは、もっと硬くて太い、なかなか噛み切れないようなものだと誤解していたと、複数回発言したことです。
たとえ東京であっても、讃岐うどん専門店では、硬くて太いうどんは出さないはずなので、過去にどこで食べてそういう誤解が生じたのか気になりました。讃岐うどんを名乗っていて、硬くて太いというと、あの丸亀製麺しか思い浮かびません。
タモリさんが、丸亀製麺に行くとは思えないのですが、そもそもうどん好きですし、タモリさんの場合は、サングラスを外すと誰も気づかないそうなので、あり得ないことではないかと妄想してみました。
タモリさんとうどんの密な関係
タモリさんは、福岡の出身ですので、福岡のやわい(柔らかい)うどんが好物なのは、よく知られているところです。口癖は、うどんは飲むものだです。
あまり知られていませんが、数十年前、福岡の人気店「かろのうろん」に出資し、テレビ朝日近くにお店を開いたことがあります。時期尚早だったようで、数年で閉店しています。
もっと知られていませんが、タモリさんは、首都圏のうどんのチェーン「カレーうどん千吉」の味の監修をしています。カレーうどん千吉は、福岡のうどんでなく、中庸なうどんです。実は、牛丼の吉野家が経営しています。
讃岐うどんのコシとは
写真:埼玉県の専門店が提供する讃岐うどん
関東には讃岐うどん店が少なく、また武蔵野うどんという、硬いうどんの文化があるため、讃岐うどん店=コシが強いうどん=硬いうどんというイメージが持たれているのかも知れません。
しかし、讃岐うどんは、本来、噛むとゆっくりと返してくるような弾力があり、つるりとしたうどんです。ブラタモリでは、しなやか、弾力、切れないをキーワードに、説明されていました。野性味のある、いりこだしも条件となります。
丸亀製麺はなぜ嫌われるのか
丸亀製麺には、一定数のアンチがいます。丸亀市発祥でない、丸亀市に支店がない、讃岐うどんでない、などの理由です。株式会社トリドールは、神戸に本社がある企業ですし、丸亀市に出店していないのは事実です。
丸亀製麺のうどんが、讃岐うどんかどうかは、やや恣意的になり、判断が難しいのですが、「生めん類の表示に関する公正競争規約及び公正競争規約施行規則」に条件が定められています。
讃岐うどんを名乗る条件(生麺、一部抜粋)
・香川県内で製造
・手打ち式(手打ち風を含む)
・加水量が小麦粉重量に対して40%以上
・食塩は小麦粉重量に対して3%以上
・熟成時間は2時
・茹で時間15分以上
これを見ると、店内機械打ちの丸亀製麺は、明らかに条件に該当しておらず、アンチから歓声が上がりそうです。しかし、規則上、ご当地を強調しない限り、セーフとなります。
カトキチの冷凍讃岐うどんのように、名物、本場、特産と書かれていなければ、ご当地産と誤認しないので、規則上問題はありません。すると、丸亀製麺は、規則上は、讃岐うどんと名乗っても良いことになります。
しかし、出汁に関しては、公式にカツオと昆布がメインと説明しています。本場の讃岐うどんなら、いりこが中心、次に昆布とカツオの順番でしょう。やはり讃岐うどんとは到底言えず、名乗るのは止めるべきでしょう。
ブラタモリで、讃岐うどんが香川に生まれた、歴史的、文化的な背景と、水不足を克服してきた、香川の人々の苦労を知ったことで、讃岐うどんを名乗るのをやめてほしいという気持ちは、強くなりました。香川の人が、丸亀製麺にマイナスイメージを持つ気持ちが、よく理解できました。
丸亀製麺に賛否あるもうひとつの理由
丸亀製麺の賛否が分かれる理由として、メニューによって麺の味が違うという点があります。このことは、今回記事を書くために、久しぶりに丸亀製麺に行き、讃岐うどんらしいスタイルのかけうどん(290円)を食べて気づきました。
つゆは、いりこが少ないので論外ですが、麺もおいしくないです! 正直、こんなにまずかったけ?と思いました。弾力もなければ、硬さもない、とても中途半端な麺です。お店を観察しながら、理由を探ると、丸亀製麺は、立ち食いうどんのように茹で麺を温める形式でなく、生麺から茹で上げる方式であることに要因がある気がしました。
茹で時間は、おそらく15分ほどかかるので、お店側で曜日と時間帯でお客の流れを予想し、あらかじめ茹で上げているはずです。そして、茹で上がったタイミングで注文がなくても、もすぐに破棄するわけはないと思います。すると、空いている時間に行くと、茹で上げて、少し時間が経ったものが提供されるはずです。今回は、空いていましたので、おそらくこのパターンです。かけうどんは、食べている間にも、温かい汁に浸り劣化が進むので、どうしてもまずく感じてしまいます。
とはいえ、290円という価格にも関わらず、お店で製麺し、茹で上げている点は、素直に評価します。香川の方は、高すぎると言いますが、丸亀製麺は都心の家賃が高い場所にも多数出店しており、妥当な値付けかと思います。
かしわ天(130円)は、都内の有名讃岐うどん店より、肉質、揚げ方とも上でした。
丸亀製麺のメインは、あくまで釜揚げうどん
そう考えると、混雑していない時間帯でも、茹でたてを提供する釜揚げうどんはうまいはず。よく考えると、かけうどんを頼んだのは初めてで、いつも釜揚げうどんだったのです。
お腹はいっぱいでしたが、改めて釜揚げうどん(290円)を注文し、食べて見ると、かけうどんとは、桁違いのおいしさです。麺の太さに見合った、ある程度の硬さを持っています。もちろん、本場の讃岐うどんにはかないませんが、打ちたての感覚は確かに味わえます。
丸亀製麺の公式サイトを見ると、釜揚げうどんが「当店イチオシ」と明記してありました。
丸亀製麺に賛否がある理由として、各々の頼みグセがあると思いました。いつも釜揚げを頼む人で、讃岐うどんに詳しくない人は、比較的満足度が高いでしょう。かけうどんでも、混雑に行く傾向がある人は、茹でたてに当たる可能性が高いです。逆に、空いている時間帯に、かけうどん系ばかりを頼む人は、ハズレを引く可能性が高いでしょう。また、機械打ちとはいえ、お店で製麺し、茹で上げるので、店員の当たり外れもあるはずです。
(まとめ)タモリさんの讃岐うどん嫌いは、丸亀製麺のせい?
写真:天ぷらは持ち帰りもできます。
タモリさんが、70歳を越えるまで、讃岐うどんに硬くて太いイメージを持っていたのはなぜだったのでしょうか? 恐らくは、風評からそう思い込んでいたのでしょう。丸亀製麺にタモリさんが行くとは思えません。しかし、もし訪ねられていたのなら、かけでなく、釜揚げを注文されたような気がします。しっかりとした、硬さと太さを感じられるのは、かけうどんでなく、釜揚げの方だからです。
ラーメンなら必ずお店イチオシのメニューを食べてから評価をするのに、丸亀製麺に関しては、パッと行ってかけうどんを頼み、まずいと決めつけている人も多いような気がしました。
確かにいりこだしは弱く、たとえ釜揚げにしても、本場の讃岐うどんには、質も安さも及びません。しかし、少なくとも、20歳そこそこのアルバイトが製麺機と格闘し、麺を打ち茹で上げるスタイルは以前はなかったものです。都会の便利な場所や、ショッピングモールに出店をする以上、アルバイトを使わなくては成り立ちません。それにも関わらず、打ちたて茹でたてを提供できるのは企業努力でしょう。値段は人件費などを工夫して、抑えていると感じました。
讃岐うどんの歴史を知ると、丸亀製麺に「讃岐」の看板は降ろしてほしいという気持ちは、以前より強くなりました。しかし、製麺機や大量のお湯と格闘している20歳そこそこのアルバイトの姿や、質と値段を考えると、一定の地位を占めたのがうなずけるお店でもあると感じました。
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