2017年1月から個人型確定拠出年金(個人型DC 通称iDeCo)の加入対象者が拡大され、今まで利用出来なかった会社員や公務員が利用できる制度になりました。
個人型確定拠出年金の最大のメリットは、金融機関の専用口座に毎月掛け金を積み立てるだけで、その掛け金が全額所得控除(所得が無かった事)になり、私のような一般的な会社員・サラリーマンでも節税できることになります。
更に、iDeCo専用口座で得られた運用益にも税金がかからないというメリットもあります。
- 個人型確定拠出年金が利用可能な人
- 節税効果
- 個人型確定拠出年金では必ず投資しないといけないのか?
- 税金が戻るタイミング
- 個人型確定拠出年金開始までにはタイムラグがある
- 個人型確定拠出年金を利用する上での注意点
- 手数料
- 金融機関ごとの個人型確定拠出年金管理手数料
個人型確定拠出年金が利用可能な人
2016年12月までは勤務先に企業年金がない会社員と自営業の人しか個人型確定拠出年金は利用できませんでした。
それが2017年1月からは下記表のように企業年金のある会社員、公務員も利用できるようになりました。
これは国から自分の年金は国民年金だけでなく自分で用意し始めなさいというメッセージとも受け取れます。
| 対象者 | 掛金の上限 | 備考 |
| 会社員(企業年金あり) 公務員 |
月1万2000円 | 2017年1月からiDeCo利用可能に |
| 会社員(企業型DCあり) | 月2万円 | 2017年1月からiDeCo利用可能に |
| 専業主婦(主夫) | 月2万3000円 | 2017年1月からiDeCo利用可能に |
| 会社員(企業年金なし) | 月2万3000円 | 以前から個人型確定拠出年金利用可能 |
| 自営業 | 月6万8000円 | 以前から個人型確定拠出年金利用可能 |
節税効果
個人型確定拠出年金(個人型DC 通称iDeCo)を利用した場合、節税効果は具体的にどれほどあるものなのでしょうか?
これは個人型確定拠出年金を行う方の年収など収入によって変わってきます。
例えば勤務先に企業年金がある会社員や公務員の方で、年間の課税所得が400万円の方なら拠出金のうち所得税が20%、住民税の10%が減税対象となり、iDeCoに拠出できる最大額である年間14万4000円を掛け金とした場合、1年間の節税額は約4万3000円にものぼります。
個人型確定拠出年金では必ず投資しないといけないのか?
金融機関に個人型確定拠出年金の口座を開設して、毎月の掛金を拠出しだしたら投資信託を購入しないといけないようなイメージを持っている方もいるかもしれませんが、実は元本保証型商品の定期預金や保険に拠出金を預けておくことも出来ます。
そして、その場合でも得られる節税効果はなんら変わりません。
そのため普通に銀行に預けるより断然お得な訳です。
尚、金融機関によって個人型確定拠出年金の口座で購入できる投資信託や定期預金、保険商品は異なります。
金融機関によってはこれを機に手数料の高い投資信託などを買わせようとしてくるところもあるかもしれませんので、ぜひ事前に基本的な知識を身に着けておきましょう。
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掛け金の変更や積立停止は可能か?
毎月の掛け金には上限が決められています。
そして上限額は自分自身の属性によって変わってきます。
企業年金のある会社員・公務員は毎月1万2000円が上限で、企業型DCの会社員は毎月2万円、専業主婦(主夫)は毎月2万3000円が上限となっています。
掛け金の変更は4月から翌年の3月までの期間で1年に1回のみ可能となっていて、上限一杯までの掛け金をかけていたのを、余裕がなくなってきたために減額したり、積立そのものを一時停止することも出います。
但し、一時停止は手続きに1ヶ月~2ヶ月かかる点には注意しておきましょう。
税金が戻るタイミング
一般的な会社員・サラリーマンの場合は年末調整や毎年2月から3月にかけて行われる確定申告を行うことによって還付されます。
その場合、国民年金基金連合会から届く「掛金払込証明書」を添付して手続きを行います。
個人型確定拠出年金開始までにはタイムラグがある
個人型DCの口座開設を申し込んでから、実際に運用が開始されるまでには1ヶ月から2ヶ月程度のタイムラグが発生します。
会社からの証明書が必要だったりもしますので、口座開設する上で書類不備がないように準備したいところです。
個人型確定拠出年金を利用する上での注意点
年金であるため、金融機関の個人型確定拠出年金口座に入金したお金は60歳になるまで原則引き出すことは出来ません。
そのため、個人型確定拠出年金を利用するうえでは、自分達の家計について良く考えたうえで掛金を決めるようにしましょう。
手数料
個人型確定拠出年金の利用には下記手数料が発生します。
| 手数料の内容 | 手数料額 | 備考 |
| 加入資格の確認費用などの初期費用 | 2777円 | 最初に一回のみ必要な手数料 |
| 口座管理手数料 | 年間2004円~ 8000円程度 |
金融機関によってこの手数料は異なります。 毎年発生する手数料です。 |
| その他の手数料 | 投資した金額に対して年間で0.2%ぐらいから2%前後まである | 投資信託の信託報酬などの手数料が発生します。 |
| 金融機関の変更 | 4000円程度 | 金融機関の変更を行う際は、年金資産を一度現金化するため、それに伴うコストがかかる |
金融機関ごとの個人型確定拠出年金管理手数料
個人型確定拠出年金を利用するうえで、どこの金融機関で運用するかは重要です。
それは金融機関によって毎年発生する手数料が異なるからです。
iDeCoを利用する最初の一回のみ国民年金基金連合会に支払う加入時手数料は殆どの金融機関で2777円で共通ですが、毎年発生する年間口座管理手数料の額は金融機関によって安い高いがあります。
ただ、どの金融機関を利用するにしても毎月国民年金基金連合会に103円、信託銀行に毎月64円が手数料が発生するため、年間で最安でも2004円の手数料は発生することになります。
もし万が一年間の手数料が2004円未満のところがあった場合は、金融機関が赤字を出しているということになります。
そこで、一部ではありますが、主要金融機関の個人型確定拠出年金の手数料リストを作成しましたのでiDeCoの口座をどこで開設するかの参考に利用してみてください。
| 金融機関名 | 加入時手数料 | 年間口座管理手数料など |
| 野村證券 | 2777円 | 5400円 *2018年3月までは2004円 *残高が100万円以上で4980円、200万円以上で4440円に手数料が下がる |
| みずほ銀行 | 2777円 | 5520円 *掛金の引き落とし口座をみずほ銀行に指定。 |
| ゆうちょ銀行 | 2777円 | 6444円 |
| 損保ジャパン | 2777円 | 3684円 *掛金が1万円以上の場合 *掛金2万円以上や、残高100万円以上で2004円に手数料が下がる。 ネット証券に次ぐ手数料の安さだがアクティブ投資信託が多い品揃えには注意が必要 |
| SBI証券 | 3857円 | 5892円 *残高50万円以上は2004円に手数料が下がる 年間手数料が2004円になるのは、一般的な会社員だと4年以上かかる点に注意 |
| 楽天証券 | 2777円 | 2004円 *残高10万円未満は5892円の手数料 |
| 岡三証券 | 2777円 | 4464円 |
| りそな銀行 | 2777円 | 5148円 |
| 日本生命 | 2777円 | 5760円 |
| 大和証券 | 2777円 | 5892円 *低コスト投資信託であるiFreeは利用できない |
| 三井住友銀行 | 2777円 | 5760円 |
| スルガ銀行 | 2777円 | 5244円 *残高50万円以上なら2004円に手数料が下がる。 |
金融機関を選ぶうえで取扱金融商品も重要
個人的に個人型確定拠出年金を利用するでの金融機関選びは、第一に上記で紹介した手数料の安さで判断したいところではありますがが、金融機関がiDeCoの口座で取り扱う金融商品についても考慮したいところです。
定期預金や保険だけで運用するというのであれば、あまり関係ありませんが、低コストのインデックス投資信託での運用も考えている場合は、取扱商品も確認しましょう。
結局どこの金融機関がお勧めなのか?
勤務先に企業型年金や確定拠出年金がある一般的な会社員の視点でいうと、現時点では楽天証券が残高10万円以上で年間口座管理手数料が最安の2004円になるでお勧めです。
SBI証券やスルガ銀行も年間口座管理手数料が最安の2004円になりえますが、残高が50万円以上必要です。
残高が50万円以上に達するには4年必要なので、それまでは楽天証券の方がコストは安く済みます。
私の場合、元々楽天証券をメインに資産運用しているので、早速申込をしてみました。
既に多くの申込が発生しているようで、書類が届くまでに2週間ほどかかるようです。
1年間に拠出できる掛金には上限がありますので節税効果を最大限にしたい場合は、なるべく早く申込をしましょう。
但し、60歳までは拠出したお金を引き出しできない点はくれぐれも忘れないようにしましょう。