軽井沢バス事故から1年 娘を亡くした遺族など現場で献花
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長野県軽井沢町でスキーツアーのバスが道路脇に転落し、大学生など15人が死亡、26人がけがをした事故から、15日で1年になります。現場に設けられた献花台には、事故で娘を亡くした遺族など、多くの人が花を手向け、犠牲者を悼んでいます。
事故から1年となる15日、事故現場に設けられた献花台には、事故が発生した時刻の午前2時前に、友人を亡くし、みずからも負傷した大学生3人が献花に訪れ、黙とうをささげました。学生たちは「事故直後のうめき声が聞こえた気がして寝ていても起きてしまうこともありました。亡くなった友人に『また会いに来たよ』という気持ちで黙とうしました」と話していました。
午前中も多くの人が献花台を訪れ、花を手向けて犠牲者を悼んでいて、このうち、亡くなった東海大学1年生の池田衣里さん(当時19)の家族は、衣里さんが大好きだったというワッフルや飲み物を供えたあと、静かにバスが転落した現場を見つめていました。衣里さんの父親は「娘に会いたいという気持ちは1年たっても変わらないです。本当であれば20歳になっているので、お酒も持ってきました。成人式に晴れ着で会えなかったのがつらいです」と涙をこらえて話していました。
この事故では、警察のこれまでの捜査で、死亡した運転手がギアチェンジの操作ミスをしたことで、エンジンブレーキなどが利かない状態になり、事故を起こした疑いがあることがわかりました。
さらにバス会社側が大型バスの運転に不慣れな運転手の指導を怠っていたとして会社幹部などを業務上過失致死傷の疑いで立件する方針で詰めの捜査を進めています。
午前中も多くの人が献花台を訪れ、花を手向けて犠牲者を悼んでいて、このうち、亡くなった東海大学1年生の池田衣里さん(当時19)の家族は、衣里さんが大好きだったというワッフルや飲み物を供えたあと、静かにバスが転落した現場を見つめていました。衣里さんの父親は「娘に会いたいという気持ちは1年たっても変わらないです。本当であれば20歳になっているので、お酒も持ってきました。成人式に晴れ着で会えなかったのがつらいです」と涙をこらえて話していました。
この事故では、警察のこれまでの捜査で、死亡した運転手がギアチェンジの操作ミスをしたことで、エンジンブレーキなどが利かない状態になり、事故を起こした疑いがあることがわかりました。
さらにバス会社側が大型バスの運転に不慣れな運転手の指導を怠っていたとして会社幹部などを業務上過失致死傷の疑いで立件する方針で詰めの捜査を進めています。
友人「また会いに来たという気持ちで献花」
バス事故で亡くなった首都大学東京の2年生だった田原寛さん(当時19)と一緒にバスに乗り、みずからも負傷した大学生3人が事故が起きた時刻の午前1時55分ごろ、家族らと事故現場を訪れました。3人は献花台に花を手向けたあと、現場のどのあたりにバスが転落したのかなど、警察官から当時の状況を聞いていました。このあと雪が降る中、静かに1分ほど黙とうをささげていました。
みずからも事故で負傷した学生の1人は、「亡くなった方々の人生はここで終わってしまっているので、その人たちに会うにはこの場所だと思って来ました。友人の寛に対しては『また会いに来たよ』という気持ちで黙とうしました」と話していました。
また、同じくけがをした別の学生は「夜眠れないときに頭の中に事故直後のうめき声が聞こえた気がして、起きてしまうことが何度かありました。つらい思いもしました」と、事故後の1年を振り返りました。そのうえで「今回の事故が最後になるように、再発防止に取り組んでもらいたいです。バス会社や旅行業界全体でこの事故を忘れないでほしいです」と話していました。
また、事故を起こした東京・羽村市にあるバス会社「イーエスピー」の高橋美作社長は午前1時前、事故現場を訪れて花を手向けるとともに、亡くなった15人を追悼するため、15本のキャンドルをささげました。
このあと高橋社長は、「重大な事故からきょうで1年になります。亡くなられた一人一人の皆様におわびの気持ちを込めて手を合わせました。また、けがをされて今なお治療中の皆様の一日も早い回復を心よりお祈り申し上げます」と述べました。そして、「すべての皆様に改めて心よりおわび申し上げます。本当に申し訳ありませんでした」と謝罪しました。一方、警察の捜査については、「誠意をもって対応させて頂いています」と述べるにとどまりました。
みずからも事故で負傷した学生の1人は、「亡くなった方々の人生はここで終わってしまっているので、その人たちに会うにはこの場所だと思って来ました。友人の寛に対しては『また会いに来たよ』という気持ちで黙とうしました」と話していました。
また、同じくけがをした別の学生は「夜眠れないときに頭の中に事故直後のうめき声が聞こえた気がして、起きてしまうことが何度かありました。つらい思いもしました」と、事故後の1年を振り返りました。そのうえで「今回の事故が最後になるように、再発防止に取り組んでもらいたいです。バス会社や旅行業界全体でこの事故を忘れないでほしいです」と話していました。
また、事故を起こした東京・羽村市にあるバス会社「イーエスピー」の高橋美作社長は午前1時前、事故現場を訪れて花を手向けるとともに、亡くなった15人を追悼するため、15本のキャンドルをささげました。
このあと高橋社長は、「重大な事故からきょうで1年になります。亡くなられた一人一人の皆様におわびの気持ちを込めて手を合わせました。また、けがをされて今なお治療中の皆様の一日も早い回復を心よりお祈り申し上げます」と述べました。そして、「すべての皆様に改めて心よりおわび申し上げます。本当に申し訳ありませんでした」と謝罪しました。一方、警察の捜査については、「誠意をもって対応させて頂いています」と述べるにとどまりました。
軽井沢町 藤巻町長らが献花
長野県軽井沢町の事故現場では、午前9時ごろ、地元の軽井沢町の藤巻進町長ら町の関係者が現場の献花台を訪れ、花を手向けました。
藤巻町長は「若く尊い命がこの場所で奪われました。二度とこのような事故が起きないよう願い、手を合わせました」と話していました。
藤巻町長は「若く尊い命がこの場所で奪われました。二度とこのような事故が起きないよう願い、手を合わせました」と話していました。
石井交通相「対策を着実に実施」
スキーバスの事故から1年がたったことを受け、石井国土交通大臣は「このような悲惨な事故を二度と起こさないという強い決意のもと、改正法の円滑な施行に全力で取り組むとともに引き続き総合的な対策を着実に実施し、貸し切りバスの安全対策に万全を期してまいります」とするコメントを発表しました。
これまでの経緯
事故は、去年1月15日の午前2時ごろ起きました。長野県軽井沢町の碓氷バイパスで、スキーツアーのバスがセンターラインを越え、時速96キロまで加速して道路脇に転落。乗客の大学生13人と乗員2人の合わせて15人が死亡、乗客26人がけがをしました。
東京のバス会社イーエスピーが、法令で義務づけられている出発前の点呼を当日行わず、死亡した運転手の健康状態を記した台帳を作成していないなど、運行に関わる多くの法令違反が見つかり、ずさんな安全管理の実態が浮き彫りになりました。
さらに、バス会社が、ツアーを企画した旅行会社から国の基準を下回る安い運賃で受注していたことも明らかになりました。規制緩和で貸し切りバスに多くの業者が参入して受注競争が激化し、旅行会社から仕事をもらう立場のバス会社が受け身になってしまう構造的な問題が事故の背景にありました。
犠牲になった大学生の家族らは遺族会を結成し、国などに安全対策を求め続け、先月、貸し切りバス会社に対する規制強化を盛り込んだ改正道路運送法が成立しました。
東京のバス会社イーエスピーが、法令で義務づけられている出発前の点呼を当日行わず、死亡した運転手の健康状態を記した台帳を作成していないなど、運行に関わる多くの法令違反が見つかり、ずさんな安全管理の実態が浮き彫りになりました。
さらに、バス会社が、ツアーを企画した旅行会社から国の基準を下回る安い運賃で受注していたことも明らかになりました。規制緩和で貸し切りバスに多くの業者が参入して受注競争が激化し、旅行会社から仕事をもらう立場のバス会社が受け身になってしまう構造的な問題が事故の背景にありました。
犠牲になった大学生の家族らは遺族会を結成し、国などに安全対策を求め続け、先月、貸し切りバス会社に対する規制強化を盛り込んだ改正道路運送法が成立しました。
警察の捜査は
警察は、事故を起こしたバスと同じ型のバスの走行実験を進めるとともに、先月末までに会社側の関係者の事情聴取をほぼ終えるなどして、事故原因の捜査を進めています。その結果、死亡した土屋廣運転手(当時65)が現場から700メートル手前の下り坂でギアチェンジの操作ミスをしたことで、エンジンブレーキなどが利かないニュートラルの状態になり、フットブレーキも十分踏み込めずにカーブを曲がりきれなかった疑いがあることが、捜査関係者への取材でわかりました。
さらに東京のバス会社イーエスピーの社長と運行管理担当の元社員は、死亡した運転手が入社面接で「大型バスの運転は不安だ」と話すなど、重大な事故を起こす可能性があることを予測できたのに、大型バスの運転技能を確認せずに乗務させるなど、指導を怠っていたこともわかったということです。
このため警察は、死亡した運転手を過失運転致死傷の疑いで、また、会社の社長と元社員を業務上過失致死傷の疑いで、来月にも立件する方針で詰めの捜査を進めています。
さらに東京のバス会社イーエスピーの社長と運行管理担当の元社員は、死亡した運転手が入社面接で「大型バスの運転は不安だ」と話すなど、重大な事故を起こす可能性があることを予測できたのに、大型バスの運転技能を確認せずに乗務させるなど、指導を怠っていたこともわかったということです。
このため警察は、死亡した運転手を過失運転致死傷の疑いで、また、会社の社長と元社員を業務上過失致死傷の疑いで、来月にも立件する方針で詰めの捜査を進めています。
国は法改正で規制強化
国土交通省は軽井沢町のバス事故のあと、85項目にわたる再発防止策をまとめ、去年12月に道路運送法を改正するなどして、貸切バス会社に対する規制を大幅に強化しました。
例えば、バス会社に対する監査の人員不足を補うため、民間機関が巡回して安全管理をチェックする仕組みを導入したほか、事業許可を原則5年ごとの更新制度としました。
また、違反を繰り返した場合や社会的に影響の大きい死亡事故などを起こしたバス会社に対し、直ちに事業許可の取り消しや停止の処分を下せるようになりました。さらに、違反した場合に運行停止になるバスの台数や日数を増やし、命令に従わず違反を行った会社に対する罰金の額を100万円から1億円に引き上げました。
運行の安全管理を担う運行管理者については、バスの保有台数にかかわらず、最低2人必要とする制度を導入しました。
運転手の技量確保のため、バス会社に対し新たに採用した運転手には、適正診断や運転経験に応じた実車研修の実施を義務づけました。
車両の対策については、運転手やバスの前方をカメラで撮影するドライブレコーダーの搭載をすべての貸切バスに義務づけることになりました。
国が定めた基準を下回る価格で発注する旅行会社や請け負うバス会社をなくすため、運賃の不正についての通報窓口を設けました。
利用者への情報提供として旅行会社にツアーのパンフレットにバス会社の名前を明記するよう義務づけました。
例えば、バス会社に対する監査の人員不足を補うため、民間機関が巡回して安全管理をチェックする仕組みを導入したほか、事業許可を原則5年ごとの更新制度としました。
また、違反を繰り返した場合や社会的に影響の大きい死亡事故などを起こしたバス会社に対し、直ちに事業許可の取り消しや停止の処分を下せるようになりました。さらに、違反した場合に運行停止になるバスの台数や日数を増やし、命令に従わず違反を行った会社に対する罰金の額を100万円から1億円に引き上げました。
運行の安全管理を担う運行管理者については、バスの保有台数にかかわらず、最低2人必要とする制度を導入しました。
運転手の技量確保のため、バス会社に対し新たに採用した運転手には、適正診断や運転経験に応じた実車研修の実施を義務づけました。
車両の対策については、運転手やバスの前方をカメラで撮影するドライブレコーダーの搭載をすべての貸切バスに義務づけることになりました。
国が定めた基準を下回る価格で発注する旅行会社や請け負うバス会社をなくすため、運賃の不正についての通報窓口を設けました。
利用者への情報提供として旅行会社にツアーのパンフレットにバス会社の名前を明記するよう義務づけました。