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世界最強の大学新聞「イラン学生通信」 検閲の国でぶれない報道 「最も頼りになる」海外メディアも引用

withnews 1/14(土) 7:00配信

無給、薄給……

 なぜ思い切った報道ができるのか。経営主幹のモタギアンさんは「うちのモットーは『すべての学生は記者、すべてのアイデアはニュース』。先入観を持たないことを誇りとしています。ただ、確実なことしか報道しないというのは徹底しています。記事には自信を持っていますよ」と言います。

 しかし、それだけが理由ではないようです。

 ISNAに入ろうとする学生は、まず大学でジャーナリズムに関する3カ月の講義を受けます。受講は有料。その後で試験を受け、成績優秀者だけがISNAで2年間働く権利を得ます。しかし、働き始めは無給。数カ月して実績を認められると、少しずつ賃金がもらえるようになります。いわば、インターンと新入社員研修が一体化しているわけです。

 かつてISNAで働いていた男性記者は、「最初は1記事あたり8万リアル(実勢レートで約240円)程度。これを2年やって、正規に雇用されて、ようやく月給1200万リアル(同3万6000円)くらい。まあ、安いよね」

 平均的な月給が4万円程度とされるイランですから、若者にとっては悪くない稼ぎとも言えますが、キャリアの上積みを求める学生は他メディアにどんどん転出。モタギアンさんも「うちはイラン最大の記者養成所」と認めます。学生記者の募集は3カ月に1回の頻度であるとのこと。

 つまり、在籍する記者の回転が非常に速い。そのため、特定の政治勢力や「体制」とのしがらみも乏しいというわけです。

 なお、ISNAの収入源は主にネット広告ですが、大学協会を通じて政府からの支援も受けているそうです。

アマチュア扱いしないで

 とは言え、卒業後も残る人は少なくありません。ケブリア・ホセインザデさん(30)は「他のメディアへの転出も考えたけど、ここが一番自由だから」。

 ISNAは完全なフレックス制。1日8時間の労働という条件さえ満たせば、出社や退社の時間はまったく自由だそうです。これは、大学で活動や講義のある時間が人によってまちまちなため、採用されている制度だとか。

 しかし、通信社は24時間365日、ニュースを配信しなければいけません。要所はベテラン社員が輪番制で回しているそうです。

 オフィスを見学していて私が一番驚いたのは、小さな子ども2人が走り回っていたこと。この日たまたま幼稚園が休みになり、ISNAで働いているお母さんと一緒に来たんだそうです。特に珍しいことではないそうで、とがめる人もいませんでした。良い意味で、大学の雑然とした空気を残していると言えるかもしれません。

 最後に、創設メンバー20人の1人で、いまは文化部のデスク(記者の原稿をチェックする編集者)を務めるアリレザ・バフラミさん(39)から。

 「東京で開かれた映画祭でイラン映画が受賞作にノミネートされ、うちの記者が取材に行こうとしたら、『学生通信』という名前でアマチュアだと思われ、登録できなかったことがあった。とても残念だ」

 日本のみなさん、イラン学生通信は間違いなく、イランを代表する報道機関の一つです。

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最終更新:1/14(土) 7:00

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