不調を感じつつも、ついつい後回しにしがちな日本人。世界有数の長寿国であるが、果たして日本人は健康なのか? 医学や科学は日進月歩。一昔前の常識にとらわれていては、早死にや突然死のリスクも高まる。マルチタスク、朝の会議、バリウム検査はNGなど、錆びた知識を一新すべし!
◆睡眠のコントロールはスケジュール管理が命!
不眠に悩む人や、寝ても疲れが取れないという人が後を絶たないこのご時世。作業療法士として「睡眠マネジメント」を行う菅原洋平氏は「一日のタイムスケジュールを制する者が、睡眠を制する」と言う。
「我々の脳と体は、ある一定の生体リズムに従って動いています。このリズムに生活を合わせることが、よい眠りと、ひいてはパフォーマンスの高い日中活動につながるというわけです」
人間の体は、起床から11時間後に最も活発に働くという。
「この時間帯に体を動かすなどして体温をしっかり上げておくと、その反動で夜に向かって体温が下がっていくので、寝つきがよくなる。夕方にラジオ体操を行うことで、睡眠の深さに効果が出たという研究もあります」
反対に、いちばんやってはいけないのは、夕方に仮眠をとること。
「夕方はちょうど疲れが出てくる時間帯ですが、ここで“寝落ち”してしまうと体温が下がり、肝心の寝る時間には体温が下がらずに寝つきが悪くなってしまう。これを避けるには、『計画仮眠』と言って、本格的に仮眠を取りたくなる前の、ちょっと集中力が切れてきたなというあたりで寝てしまうことです」
朝6時起きが習慣の人なら、仮眠をとるのは午後3時までに。
「起きて活動している間に脳内に蓄積される『睡眠物質』が多いほど、深い眠りが得られますが、睡眠物質は仮眠をとるとリセットされてしまう。就寝時間までに十分な量の睡眠物質を溜めるには、就寝の8時間前までが目安です」
それでもなかなか寝つけなかった場合は「無理にベッドに入らないこと」という驚きのアドバイスが。
「眠れないままベッドに入っていると、『ベッドは眠れない場所』という記憶が脳に定着してしまう。ベッドに入って15分以上寝つけないようなら、一度ベッドから出て、眠くなるまで本を呼んだりするのが得策です」
起床時の新常識としては、「アラームのスヌーズ機能は目覚めを悪くする」と覚えておきたい。
「起床時の“覚醒”をつかさどるコルチゾールというホルモンは“いつも起きる時間”にピークになるよう分泌されます。ですが、スヌーズ機能を使って起床時間をだらだらとズラしていると、どのタイミングにピークを持ってくればいいのか脳が判断できなくなる。1回でスッキリ起きられないからスヌーズ機能を使っているという人は、実は逆効果だったんですよ」
<知っ得! 新常識ベスト5>
1.夕方の仮眠はNG
知ってる…53%
知らない…47%
2.仮眠は本気で眠くなる前に「計画的」にとる
知ってる31%
知らない69%
3.寝つけないときにベッドに入ると逆効果
知ってる…18%
知らない…82%
4.スヌーズ機能を使うほど、寝覚めは悪くなる
知ってる…17%
知らない…83%
5.寝つきがよすぎるのは睡眠不足の兆候
知ってる…15%
知らない…85%
【菅原洋平氏】
作業療法士。ユークロニア代表。企業を対象に、生体リズムや脳の仕組みを使った人材開発を行う。近著に『脳にいい24時間の使い方』(フォレスト出版)
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