人気の秘密は七変化の演技
舞台役者として活動していた堺が、テレビドラマデビューしたのは、『ハートにS』(1995年 フジテレビ系)という深夜ドラマだった。
当時はまだ役者一本で食べていくには心許なかったが、その後着実にキャリアを積み重ね、NHK朝の連続テレビ小説『オードリー』(2000年)の出演で、全国区の知名度を持つようになる。
「90年代後半のドラマは、織田裕二、反町隆史、竹野内豊など、ワイルド系の俳優に人気があった。その反動なのか、2000年代に入ると、藤原竜也、妻夫木聡、瑛太などマイルド系が人気となる。強い男性よりも、むしろ優しそうな男性を世の中が求めていた。堺が活躍し始める時期はちょうどそれに当たっていた。演技力はもちろん、人柄の良さがにじみ出る彼の存在感が時代とマッチしたというのも大きいでしょう」(前出・市川氏)
NHKの連続ドラマに出演したことで親の勘当もとけ、役者仕事だけで食べていける目処もつくようになったという。
次々と仕事のオファーが絶えず、出演作は必ず大ヒット。
そんな堺の人気の秘密はどこにあるのだろうか?
「当たり役を演じると、次回作でも見る側はどうしてもそれに引きずられてしまう。しかし彼の場合は1作ごとのキャラクターづくりが非常にうまい。いい人も演じれば、半ば狂人のような個性的な人物も演じることができる。まさに七変化。撮影現場に入ってくるときは、オーラを一切感じないのですが、いざ本番に入ると、一瞬にして役者の顔に変わる。元々プライベートでの話題が少なかったが、管野美穂と結婚後もこれといった話が出てこない。そうした生活感のないミステリアスなところも、役柄に先入観を持たせないようにと努力しているのでしょう」(民放ドラマスタッフ)
真田丸ロスの視聴者からは、早くも次回作が期待されているが、稀代の七変化の堺快進撃はまだまだ続きそうだ。
(文責/JAPAN芸能カルチャー研究所)