『真田丸』で魅せたNHKの見事なネット戦略(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ )
俳優・堺雅人主演のNHK大河ドラマ『真田丸』が今月18日に最終回を迎えて、インターネット上では「抜け殻状態」、「これから何を楽しめばいいのか」、「言葉がない」など、いわゆる“真田丸ロス”の声が続出している。
NHK大河ドラマといえば、昨年放送された『花燃ゆ』が平均視聴率12.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で大河史上歴代ワーストタイ記録となるなど、近年は苦戦傾向にある。
そうした中、今回の『真田丸』が人気を集めた理由としては、作品の面白さや主演の堺をはじめとするキャスト陣の名演技、脚本の出来の良さなどさまざまな要因が考えられるが、その一つとして巧妙なネット戦略を指摘する声も多い。
テレビ誌編集者はこう語る。
「『真田丸』に関しては、“早丸”と呼ばれたBSでの先行放送が功を奏した印象もあります。この“早丸”で、ストーリーの展開をザッと確認しながらネットでの実況に参加し、さらに2時間後の“本丸”、いわゆる本放送で細かい演技やセリフ、そして仕掛けやメッセージ性を自分なりに解釈し、SNSで盛り上がるというスタイルが定着した。人より早く情報を得て楽しみたい、通説との違いを見つけたいというネット世代の心を掴んだことも大きいのではないでしょうか」
掟破りとも言える先行放送がネット上で話題を集めて、逆に新しい視聴スタイルを生んだという現象も起きていたようだ。
実際に、『真田丸』の先行放送はBSとしては異例の高視聴率を記録している。
SNSのフル活用で一気に拡散!
NHKによるネットを意識した戦略は、これだけにとどまらない。
「『真田丸』の番組公式サイトでは出演者のインタビューや回顧録が掲載され、大河ドラマでは初の英語版サイトも登場。Youtubeには、PRのために制作されたショートドラマ“ダメ田十勇士”が公開され、その後に地上波でも放送されています。また、インスタグラムでは出演者のオフショットや豪華なセットの様子などの写真が充実しており、ドラマを見た後でも楽しめるようになっています」(前出・テレビ誌編集者)
このような戦略に呼応するかのように、視聴者のドラマ愛もネットを中心にヒートアップしていく。
「朝ドラではファンによる登場人物や印象的なシーンを描いたイラストを○○絵と呼びおなじみみなっていますが、『真田丸』でもSNSに“丸絵”が次々と投稿され、クオリティーの高さ、完成までの早さが話題になりました。ツイッターによるハッシュタグの広がりも影響が大きかったでしょう」(同テレビ雑誌編集者)