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【社会】

青森中2自殺 学校現場に動揺も ネット中傷で児相通告

葛西りまさんのスマートフォンに残されていた、LINEの書き込み。仲間はずれにされたことがうかがえる=画像の一部を加工しています、遺族提供

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 インターネットを通じた悪口に苦しんだことを訴え、青森市立浪岡中二年の葛西りまさん(13)が自殺した問題で、青森県警が二十日に書き込みなどをした生徒数人を児童相談所に通告した。ネットでの中傷で通告するのは異例で、学校現場には動揺が広がる。遺族は対応を評価する一方、詳しい通告内容を知ることができず不満を残した。

 「ネットで人を傷つけてはいけません。悩み事があれば相談してほしい」。二十一日、浪岡中の全校集会で、生徒指導担当の男性教諭が約四百三十人の生徒に語り掛けた。

 りまさんが自殺した八月以降、学校は教室に追悼スペースを設け、生徒らは菓子や、折り紙で作った花を供えている。だが同級生(13)は校内の様子を「先生は話題に出さない。生徒にも話してはいけない雰囲気がある」と打ち明ける。

 ネット上には加害者とされる生徒の実名や顔写真、住所などが次々と投稿された。県警が「生徒の特定を防ぐ」として、通告した人数や性別を明かさなかったため、誰が対象なのか臆測も飛び交う。市はサイト管理者らに五千件超の削除を依頼、対応に追われた。

 県警はりまさんのスマートフォンを調べ、生徒が無料通信アプリLINE(ライン)で「きもい」「死ね」などと書き込んだことを確認。侮辱などに当たると認定した上で「児童福祉司の指導を求める」との意見を付けて通告した。

 警察庁のまとめでは、少年によるネットいじめのうち、警察が介入したのは二〇一三〜一五年で計七十一件。大半は、被害者の服を脱がせた画像を拡散させるなど児童買春・ポルノ禁止法違反に当たる事案で、言葉の暴力はわずかだ。

 今回の通告について、りまさんの父剛さん(38)は「言葉の暴力を甘くみてはいけないという教訓になった」と評価。だが「生徒の名前や詳しい通告内容は教えられないと言われた」と悔しさをにじませた。

 元家裁調査官の佐々木光郎氏は「いじめは被害者も加害者もつらい思いをする。社会全体で子供に言動を制御する能力を身に付けさせることが大切だ」と語った。

 

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