弱気の原因は意識が“今”に向いていないせい!?
酉年に“チキンな俺”を克服!その鍵は「マインドフルネス」
2017.01.14 SAT
あなたが“チキン”を克服できないのは、過去と未来へのこだわりのせいかも!?
写真提供/hanapon1002 / PIXTA(ピクスタ) いざという時に“弱気”すなわち“チキン”になって、失敗する…。そんな経験はないだろうか。上司や先輩からは、「強気で行け!」なんてよく言われるけれど、誰もができるわけではないし、そもそも思い切ることが簡単にできれば苦労はしない。
とはいえ、心の中では、「弱気な自分と決別したい」「チキンな俺を変えたい!」と思っている人も少なくないはず。そこで、産業医としてさまざまな企業でカウンセリングを行う、精神科医の奥田弘美さんに、 “チキン克服法”を聞いた。
そもそも、人はなぜ、チキンになってしまうのだろう? 奥田さんは、「弱気というのは、気が強い、弱いといった性格だけが原因ではありません」と、話す。
「多くの場合、問題となる場面では失敗の経験がある“過去”、もしくはネガティブな予測の“未来”へ意識が向いています。そのため、まだ現実には何も起こっていないのに『失敗の心配』や『不安』が出現するため、弱気になってしまいます。本来意識を向けるべき“今”に集中できなくなり、十分に力が発揮できなくなるのです」
つまり、“心ここに在らず”状態が、「チキン」を引き起こす原因のひとつということ。では、“未来”や“過去”に流されず、“今”に集中するには、どうしたらいいのだろうか?
「そのためにはまず、自分を見つめ直すことが大切です。過去の失敗の原因をつきとめ、これから起こり得る失敗を列挙し、しっかりと準備・対策しておくことで、不安要素が減り、より“今”に集中しやすくなります」
とはいえ、ビジネスの現場において可能な限り不安材料を取り除くというのは、比較的当たり前の話。いくら準備万端にしておいても、いざその場に立つととたんにチキン化してしまう…というのが、そもそもチキンたるゆえん。
そこで、奥田さんが推奨するのは、「マインドフルネス」という手法。普段から、この「マインドフルネス」を習慣にしておくことで、ネガティブな過去や未来の心配に心が囚われにくくなり、意識を“今“にとり戻し集中させやすくなるという。
「『マインドフルネス』は、Google社員も実践していると言われる『瞑想』の一種です。ストレス軽減や抑うつ、マイナス思考の軽減などさまざまな効果が期待され、医療現場やビジネスにおいても、注目されています」
なんだか難しそうだが、「歩く」「食べる」「呼吸する」など、日常生活にそのまま取り入れることができるのだとか。
「マインドフルネス瞑想の中でも最も気持ちが落ち着きやすいのは深呼吸瞑想です。まずお腹に手を当て、呼吸によるふくらみを手のひらやお腹の皮・筋肉でしっかりと感じながら、ゆっくりとした腹式呼吸を何回かやってみましょう。そうすると意識が“今”ふくらんだりへこんだりしているお腹に向かうので、“未来”でも“過去”でもなく、心を“今”に取り戻せ、目の前のことに集中する力がアップします」
プレゼン前などの弱気がでてきそうな緊張する場面でもできそうだ。
「そういった“ここぞ”の場面でも役立ちますが、普段から“今ここ”に五感を集中させて心を戻すマインドフルネスの習慣をつけておくことが大切なのです。それが弱気の原因となる“心ここに在らず”の状態に素早く気づき心を安定させる訓練になりますから。例えば食材の舌触りや匂いに五感を集中しながら食事するイーティング瞑想や、足の裏の感覚に意識を集中させて歩く歩行瞑想なども効果的。日常の行動の意識を少し変えるだけでできますので、ぜひ試してみてください」
必ずしもすぐに効果が実感できるわけではなく、“今の”積み重ねが肝心ということか。それでも、今年ほど「チキンな俺」を克服するのにちょうどいい機会はないだろう。 「酉年」だけに。
(明日陽樹/考務店)
取材協力・関連リンク
奥田弘美さん 精神科医・産業医・作家
精神科医・産業医として日々多くの働く人のメンタルケアに関わる。著作も多く、近著は『1分間どこでもマインドフルネス』(日本能率協会マネジメントセンター)。日本マインドフルネス普及協会(http://mindfulness-fukyu.net)にてマインドフルネス瞑想の普及も行う。