【シリコンバレー=兼松雄一郎】米アマゾン・ドット・コムは12日、今後1年半の間に米国で10万人以上を新たに雇用すると発表した。2016年時点で18万人いる米国の従業員を18年半ばまでに28万人に拡大する。直近5年は年間3万人ペースで増やしていたが、これを倍増させる。
増やすのは倉庫の荷造り係やソフトウエア技術者など。米国内の雇用創出を企業に求め、圧力をかけているトランプ次期大統領にアピールする狙いもありそうだ。
フルタイムの従業員を雇用する。ネット通販の拡大などを背景にアマゾンはテキサス、カリフォルニア、フロリダなどの州に新たな物流拠点を建設中で、今後も高水準の雇用を維持する。同社は1万人以上の退役軍人を雇用しており、今後5年で退役軍人や従軍者の配偶者ら2万5000人をさらに雇うという。
個人向けの配送委託などで数十万件単位のパートの仕事も生み出していることも強調した。プレスリリースではアマゾンが雇用を生み出している地域やサービスを列挙し、貢献をアピールした。
アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は選挙期間中にはトランプ氏を「火星にロケットで打ち上げた方がいい」などと批判していた。一方のトランプ氏も「ベゾス氏はメディアの権力を利用し反トラスト法違反をしている」と応酬。トランプ氏は、ベゾス氏が所有する米紙ワシントン・ポストから度々批判されていたこともあり、両者は激しい対立関係にあった。
だが、トランプ氏の当選後はベゾス氏も矛を収め歩み寄りをみせている。昨年12月、ニューヨークで開催されたトランプ氏と米IT(情報技術)企業のトップらの会談にはベゾス氏も招待され参加していた。