【ニューヨーク=稲井創一】米環境保護局(EPA)は12日、欧州自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が大気浄化法に違反した疑いがあると発表した。違法なソフトウエアをディーゼル車約10万4000台に搭載し、基準を超える排ガスを排出していたとして責任を追及する。
対象車種は2014~16年型の多目的スポーツ車(SUV)「ジープ グランドチェロキー」とピックアップトラック「ダッジ・ラム1500」。どちらも3000ccのエンジンを搭載している。
EPAのシンシア・ギレス氏は「排ガスに影響するソフトウエアの搭載は深刻な違法行為。引き続きこうした機器の使用状況や影響を調査する」とのコメントを出した。
FCAは同日、「規制上の要求についてすべて満たしている」とEPAの指摘を全面否定するコメントを発表した。FCA株はEPAの発表を受け、米東部時間の12日午後12時(日本時間13日午前2時)現在で前日比16%安と急落している。
11日には、独フォルクスワーゲン(VW)が排ガス不正を巡り、刑事上の罰金など総額43億ドルを支払うことで米政府と合意したばかり。
EPAの代理人を務めたカリフェルニア州大気資源局(CARB)のメアリー・ニコラス氏は12日、「再び、大手自動車メーカーの1社がルールを避けて通るような決断をしてしまった」とFCAを批判する声明を発表。今後は、EPAと協力して詳しい調査を進める見込みだ。