魔法少女リリカルなのは 原初の勇者   作:黒色狼
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今回はあの人?が出てきます。
人なのか分かりませんが取り敢えずあの人です。

アベルの説明と優に関しての説明が少し含まれてます。


第3話

今、なのははユウをデパートの前で待っている。
集合時間には1時間前で随分早い時間だ、結局あれから2時間で待ち合わせ場所に着いてしまいユウを待っているのだがこれはデートだと意識し始めるとなのはは落ち着きが無くなってしまい今に至る訳だ。

[マスター、落ち着いて下さい]

「うう〜、無理だよ〜」

なのはは絶賛そわそわしていた、完全にデパートの前に立っている不審者だ。
管理局員の制服を着ていなければ通報されてもおかしく無いだろう。
今回は結局の所、服が無かったので制服で来てしまったのだが髪型は少し変えてみようと思い、思い切ってツーサイドアップにしてきたのだ。はやてに、男はいつもと違う女にときめくと聞いたので思い切ってみた訳だ。待ってる間も忙しなく髪型は可笑しくないか、制服は可笑しくないか、などをしきりにチェックをして全く落ち着く様子がない。


「レイジングハート、私可笑しくないかな?」

[見た目は大丈夫だと思います。ただもう少し落ち着くべきかと]

「そ、そんな事言ったってユウさんとのデ、デートだよ⁉︎落ち着ける訳ないよぉ〜」

この光景を既にそのユウに見られているとは知らないなのはだった。



















さて時間を遡りユウがなのはにメールを送る少し前の事だ。

ユウも休みなのだがそれを返上しデスクワークを行っていた。
何故ならユウはなのはの分の報告書や仕事をしている為だ、今日なのはがお休みなのもユウのお陰なのだ。
ここはエース部隊、なので現場に駆り出されるのは切り札なので少ない。その代わり事務仕事がとても多いのだ。
他の部署と比べかなり辛い部署なのだがなのはには負担を掛けたくないユウは全て自分が請け負ってるのだ。

そのデスクワークもようやく終わりユウはミッドの自宅に帰ってきていた。



「ふぅ」

「お疲れ様です、優。今日はレン クルーガーの方にも依頼は珍しくないのでこの後はお休みですよ」

そう言って出迎えてくれたのは優の使い魔であるリニスだ。
PT事件の時にある事をきっかけに優の使い魔となったのだがその話はまた別の機会に話すとしよう。そしてリニスは優の秘密を知る数少ない人の一人で記憶を消され無かった者である。あの日、優はこの世界から忘れられたがデバイスであるデュナミスと、使い魔のリニスの記憶は消さなかったのでその二人と今まで歩んできた。あれから優はミッドに移り住み名前をユウ レグラスに変え生きてきた。そして使い魔であるリニスは主に家事などを良くやってくれていて優も助かっている。そしてレン クルーガーとしての依頼の管理もおこなってくれているのでこうして伝えてくれるのだ。

「そうか、なんか久しぶりの休みだなぁ。管理局の無理難題を押し付けられては解決して危険を察知しては人を助けてたからなぁ」

[優もなのはさんの事を言えませんね]

そう優は103航空隊の副隊長を勤めながら、民間協力者、傭兵のレン クルーガーまで演じているのだ。

「この前のロストロギアもかなり厄介でしたし、休みをとらないと倒れますよ」

「あの夜天の魔道書の剣バージョン見たいやつだね。村雨だったっけ?想護流をコピーされた時は焦ったよ。流石に流刃とかは無理だったみたいだしコピー出来るのも1の型までだったから直ぐに片付いたけどね」

想護流とは優が使う流派の事だ。この剣術は優の誇りであり最強の証である。とても長い年月を掛けて編み出され磨かれてきた剣技は一つ一つが強力である。優は近接戦闘、得物同士の戦いにおいて想護流は最強だと自負している。

想護流を最強たらしめる要素として一つは流刃だ。得物と得物同士が振るわれ当たると弾かれるなり、そのままつばぜり合いになったりするだろう。だが想護流は流刃と言って相手の攻撃をそこには何も無かったかの様に剣で流し相手に圧倒的な隙を生み出す奥義がある。これをされた相手は剣に当てているのにまるで此方の攻撃は空を斬ってるかの様に感じるのである。

管理局から回される無理難題はロストロギア関係の物が多いのだ。
それ以外に人に化けるロストロギアや、無限の軍勢を生み出すもの、周りの人を洗脳するもの等の厄介な代物ばかりだった。
やっと休めると思った矢先、一件のメールが入ってくる。

[優、メールです。どうやら部隊長からですね]

いやな予感を感じながらメールを開くと、

「ユウ、仕事が終わった所で申し訳ないが本部からの要請だ。次元世界、ウミリアでの王族の護衛で今回は部隊で出動だ。遠征になる、お前から高町二等空尉に報告してやってくれ。この際だし一緒に買い物にでも出掛けたらどうだ?」

それから任務内容の詳しい物が書類で転送されてきた。


「どうやらお休みは無くなってしまったようだね」

[そのようですね、にしてもこの内容……裏がありますね]

「だね、執務官も来てくれるみたいだし調査の方はそっちに任せよう」

優はなのはに簡単にメールでそれを伝えようとすると、

[優、何故なのはさんを買い物に誘わないのですか?]

「管理局の仕事は仕方がないけどわざわざ自分からなのはと関わろうと思わないよ。僕はなのはに早く想いの人が現れて欲しいと思ってるしまた僕との思い出を作ると、記憶の忘却は完璧に何重にも施したけど何があるか分からないしね」

「別に買い物ぐらい良いんじゃないですか?それに……実は一緒に居たんですよね?」

「それは……そうだけど……」

[なら決まりですね、メール送信しました]

デュナミスは満更でも無い優をみて勝手に優の音声でメールを作成し送ってしまった。
本当に無駄に高性能なデバイスである。

「なんて事をするんだ!僕がどんな思いで決断してきたと思ってるんだ!」

[それぐらい知ってますよ、けど私には無理している様にしか見えません。この頑固者]


またギャアギャアと言い争う二人である。
実はこのデュナミスもリニスが作った物だ。PT事件の時に優がリニスに提案し、闇の書の時に完成したのだがデュナミスは特殊な素材を使っているので他のデバイスと比べかなりスペックが高い。だがスペックの高さを追求し過ぎて魔法を登録する余裕が無く探知魔法、防御魔法、後は優の空間制御の魔法が登録されてるぐらいだ。後は全て優が自分で魔法を起動しデュナミスを通して発動してるだけだ。なのでデュナミスを使えるのは優ぐらいのものだろう。


使い易さは別としてスペックだけならデバイスの中でもトップクラスのデュナミス。
実は優より口論は強かったりする。
そんなしょうもない口論をしている間に時間は進んでおりそれからリニスが優になのはが待ってるんじゃ無いかと言われ出て行くまで二人の口論は続いた。


「行きましたか、あれで世界を救ってまわるアベルなのですから驚きです」

実は優はアベルなのだ、別に今代の生まれ変わりとかではない。あの昔話として語り継げれて来たアベル張本人だ。

此処からアベルと優の事を話そう。
あれから幾億年と経って何故優があんなに若いのかというと、アベルは言わば世界を守る意思。この無限とも言える世界では必ず何処かで危機が訪れていたり救済を求めている世界がある。

アベルは世界を救うと別の世界に転生されて6歳になったり9歳になってたりと様々なのだ。精神も身体に引っ張られるので今も優は精神年齢は高くはない。だがこの無限に転生する長い長い年月の中で優は己を鍛え続けた。その中で心護流は完成したし、経験も充分過ぎる程積んだ。そして転生した先の世界はそれぞれ発展しているものが違う。魔法も魔法で根本から違うがそれを行く先行く先でそれらの技術を優は吸収していき今ではほぼ無敵と言っても過言ではないだろう。
アベルはさして特殊な能力を持っている訳ではない。
アベルの力は想いを力にする力、想いをカタチにする力だ。

想いを力にする力は要するに、何かに対する想いが強い程、アベルも強くなる。
そして優は守りたいという想いを胸に戦っている。その者を守りたい、何かを守りたいと強く想えば想う程、何処までも強くなれるのだ。

そして想いをカタチにする力は優の場合は守るという想いを具現化させ武器にする事が出来る。これも想いの丈でどこまでも強くなっていく。言わば己の心と同義の武器である。

そして優には血筋的に受け継ぐ能力もあるのだがそれはアベルの能力とは全く関係ないので此処では割合させて貰おう。

今、優が強いのはアベルだからではない。努力したからだ。何かを守る為に必死に。



「なのはさん、どうか優の心を救ってあげて下さい…私では優の心を本当の意味で支える事が出来ない、私に出来るのはお手伝いぐらいなのですから…」

誰も居ない部屋で悲しげにそう呟くリニスだった。


















そして現在約束の1時間前、優は待ち合わせ場所に着いた途端なのはがいるのに気が付いたが、

「なぁ、デュナミス。あれなのはだよな?僕には不審者にしか見え無いんだけど…」

[あれは間違いなくなのはさんです、かわいいですね、かなり緊張されてる様子で。それに髪型も変えてますね]

ここから見るに、うう〜や、うにゃぁぁ〜と何やら奇声を挙げているなのははいつものツインテールでは無くサイドアップだった。
いつもと違うなのはを見て少しドキッとしてしまったユウ

「……かわいいのは否定しないけど、帰っていいかな?」

[駄目です]

だよねぇと呟きながらユウはなのはの元に向かって歩き出した。


ユウはなのはの目の前まで行ったのだがそれでも気が付か無いで唸っていた。

(凄く声掛けずらいんですけど…)

そう思っていると

[マスター、ユウさんが来ましたよ]

心の中でレイジングハートにナイスだ!とサムズアップするユウ

「ふぇ?にゃぁぁ〜〜!ユウさん居たんですか!」

「う、うん。まぁさっき着いた所だよ。随分早かったね」

「は、はいぃ〜。その待たすのも悪いですし……」

(絶対に変な子だと思われちゃったよぉ〜)

自分の失態を見られて落ち込み悄気るなのは、穴があったら入ってるほど恥ずかしい。

「髪型変えたんだね、その…似合ってるよ。本当は男が先に待っておくべきだったね。それなのになのはさんが先に来ていたのは僕の落ち度だから何かお詫びを…」

「似合ってる……じゃなくて、お詫びだなんてそんな!私が勝手に早く来ちゃっただけですから!」

一瞬違う世界にトリップしそうになったがなんとか持ち直しそう言った。

「う〜ん」

ユウはお詫びをどうしようか考えている。なのはは自分が本当に待ちきれずに早く来過ぎただけなので悪いといえばなのはが悪いのだ。だからどうしたものかと慌てふためいてあると、いい案を思いつく

「だ、だったら!その……なのはって呼んで貰っても良いですか?」

なのはは恥ずかしそうに言ったので上目づかいになりそう言った。
ユウは顔を真っ赤にし、目線を反らしてから、

「うん……良いよ、なのは…」



なんだこのバカップルは……

少し気不味い雰囲気になってしまったがデパートの中に入ると割りかし会話は弾んだ。
最初はパニクりなのはの頭は真っ白だったがレイジングハートの機転もあり年の話を切り出す事が出来た。
今回なのはと同い年という事を話したりと、なのははユウの事を知れて心底嬉しそうだ。

[同い年だと言う事も分かりましたし、敬語なのも変でしょう。もうタメ口でも構わないのでは?]

「と言っても仕事の時は仕方がないだろ」

[じゃあ、仕事以外のプライベートならタメ口で良いのですね!だそうですよなのはさん]

「ふぇ?い、い、良いんですか⁉︎私としてはユウさんが良いのなら……」

ユウが逃げ道を探すが既にデュナミスによって退路は断たれてしまった。恐ろしい策士である。
此処で断ろうにも上目遣いで此方を見ているなのはに、無理と言う度胸も勇気もユウにはなかった。
今度のメンテ、延期してやると心で思ったユウだった。

「…うん、僕は全然構わないよ」

「本当ですか⁉︎あっ、えっと違った…ありがとう、ユウ!」

そこには太陽の様に輝く笑顔があった。そうこれだ、高町なのはの本当の姿。優が1番好きななのはの姿。
そんな笑顔を直視出来ず顔を逸らしてしまう。

[どうしたんですか?顔が赤いですよ?]

「⁉︎お前は何も言うなぁ〜!」

《いい笑顔でしたね》

《ああ、本当に眩しい良い笑顔だよ》

念話でデュナミスがそう言ってきたのでユウもそう返す。
もしかしたらこれも計算尽くだったのかもしれないとユウは思い、近い内にメンテでもしてやるかと思った。


それから二人は一度解散し、103航空隊の部隊で合流する事になった。
第9管理世界ウミリアへと行く為に。




あの人とはリニスの事でした。

それと次回は遂にあの子が……!