魔法少女リリカルなのは 原初の勇者   作:黒色狼
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今回はちょっぴり戦闘します。戦闘描写、上手くかけてるかなぁ。

そしてかのお方と新キャラ登場します。


第8話



辺りは一面のほぼ真っ暗で薄っすらと火が灯っている通路に3人の影がある。
此処は地下へ続く階段の手前の通路なのだがその前に見張りが居て3人は進めないでいた。

「見張りが2人に…103のメンバーが4人か…」

「どうする?」

「やっぱり正面からは無理なんじゃ…」

今の今までユウの両腕にくっ付いていたなのはとフェイトだったが階段の手前で流石に空気を読んだのか離れてくれた。
無理やりユウに付いてきて調査をする雰囲気では無かったのだが流石はエースオブエースと執務官、こういう場面に出くわすと顔付きまで管理局員のそれに変わっていた。
しかし見張りが103のメンバー合わせて6人もいる。かなりの厳重で隠密に優れている魔導師でも此処を突破するのは至難の技だろう。

「ユウ、転移で彼処は抜けられないの?」

「抜けれてもこの距離の転移じゃ魔力が感知されるし、恐らく彼処からは侵入者用に結界が張られている筈だ、だから転移は出来ないと思う」

フェイトが先ほどユウが見せた転移で抜けれないかと聞いてきたが侵入者用の結界が張られた地下にはユウでも転移する事は出来なかった。

「仕方ないデュナミス、インビジブル迷彩を使うよ」

[了解です、invisible発動…active]

「ちょっと!ユウ、見つかっちゃうよ!」

いきなりユウが見張り達がいる方に歩いて行くのでなのはが止めるが遅かったようで既に見張りの前にユウはいた。
しかし見張りはユウに気付いてる様子がない。

《インビジブル迷彩だよ、さっき見えないバインドを掛けたでしょ?あれのバリュエーションだよ。なのは達にも掛けたからこっち来て大丈夫だよ》

そうやってユウがなのは達に念話で言っているが半信半疑で恐る恐る見張りの前に出て来るなのは達、だがやはり此方に気が付いた様子は無くそのまま横を通り過ぎ下に降りる事に成功した。
此処でフェイトがある事に気がつく。

「この結界の中に入ると感知されちゃうんじゃ…」

「ふぇ?それはちょっと不味いよ!」

「大丈夫、この迷彩は完全ステルス。発動している間は絶対に感知されないよ。けど発動中は常に魔力を消費して燃費が悪くて長くは使えないけとね」

ユウの魔力総量は今現状でC+程度。
決して多いとは言い難い量でなのは、フェイトと比べると見劣りするだろう。
だがあくまで現状では、だ。しかしそんな事は分からないなのは達は成る程と納得する。
そもそもアベルの力を解放したユウは魔力
を無限に生み出せるのだから燃費なんて関係ないのだが。

地下は上より更に暗く、水も流れていないので静まりかえっている。
防犯システムはしっかりと起動しているようだが迷彩を使っているユウ達には関係無くそのまま進んでいく。大して入り組んでいるわけでも無く奥に着くと其処にはカードリーダー式ロックの扉があった。
恐らくこの先が生命の湧き水と言われる物があるのだろう。

「ユウ、流石に此れは開けれないんじゃないのかな?」

「うん…流石に此れは…」

[ユウに無理でも私には出来ます]

「最初のは余計だ、それじゃあデュナミス頼む」

そう言ってユウはカードリーダーにデュナミスを近付ける。
すると、

[解除完了です、此処のシステムは見た目だけですねカモでした]

『ええっ!早!」

なのはとフェイトが声を揃えそう言った。
デュナミスはスペックだけなら次元世界でもトップクラスの性能なのだから出来てしまっても可笑しくはない。その代わり、扱える魔法は少ないがその欠点を補えるユウしか使える者がいないのだ。

扉を開け中に進む3人、部屋はとても広く通路と比べると照明も多くかなり明るく感じる。
周りに色々な機械や機器があり此処で何かをコントロールしているようだ。
すると奥の方の広い空洞のような部屋の真ん中に浮かぶ宝石のような物と、その周りに2…いや3人誰かがいる。
何か喋っているようでユウ達は空洞の端から話を伺うように息を潜める。
すると

「約束通り、103航空隊を此処に呼び寄せたぞ。此れで文句は無いな」

「ああ、本当は君の側に付けるって話だった筈だがね。まぁいいとしよう。生命の湧き水のシステムは安定させておいた、此れで当面は大丈夫だろう」

其処で喋っている二人の片方はセネゲルでもう片方は……

「ジェイル スカリエッティ⁉︎」

「まさかこんな所で大物を当てるなんてね」


ジェイル スカリエッティ、生体改造やその他色々な違法研究で指名手配されている次元犯罪者だ。
その技術力は計り知れ無くかなり有名な犯罪者である。

どうやら裏でセネゲルはジェイル スカリエッティと繋がっていて何やら取引をしていたらしい。
103航空隊を此処に此処に呼び寄せたと言っていたがその内容の全貌は分からず二人の喋る言葉を耳に入れようとしていると、


「どうやら鼠が3匹も迷い込んでるようだな!」


もう一人、セネゲルとスカリエッティが喋っている傍で立っていた大柄の男が此方に気付いたようで間髪入れず持っていた剣を降り衝撃波を飛ばしてきた。

「くっ!、空間転移!」

それを間一髪の所でユウが3人纏めて転移させ回避する。
しかし今ので迷彩は溶けてしまいユウ達の姿が向こうにも見えてしまった。
フェイトもなのはも流石の対応で既にバリアジャケットを身に纏っておりいつでも戦闘を行えるだろう。

「なっ!お前はユウ レグラス!」

王が何故という顔でそう叫んだ。

「貴方とはまた後でゆっくりと話をさせて頂きます、今は……⁉︎」

ユウが喋っている時に先ほど此方が潜んでいる事を見抜いてきた大柄の男が突然斬り掛かってきた。
咄嗟にそれを目の前の空間を捻じ曲げ壁を創り出し防ぐ。

「ほう、面白い魔法だが今のを防ぐか。噂通り少しは楽しめそうだ」

「お前は…」

「君の考えてる通りだよ、此奴は剣聖シュバルツ。古代ベルカ時代の王のクローンだ」

スカリエッティが自慢気にそう言う。
剣聖シュバルツ、古代ベルカ時代その剣で幾万の兵を斬り倒し1で万を斬るとも言われていた王だ。
しかし幾ら剣聖といえど管理局のエース3人を相手にまともに戦えるだろうか、確実に戦況はユウ達が有利だ。

「そう我は剣聖シュバルツ。此奴に生き返らされ我は強者を求めていた、だがどいつも此奴も弱過ぎる…だがお前は違う!」

またいきなり斬り掛かってくるシュバルツ。
しかしユウもそれを読んでいたのか横に身体を逸らし躱す、そしてお返しと言わんばかりに双銃の銃口をシュバルツに向け、トリガーを連続で引く。

「しっ!」

「んな!」

あろう事かその魔力弾を全て斬って見せた。まさか防がれるのならまだしも斬られ無力化されるとは思わず隙を晒すユウに、

「はぁ!空閃!」

腰を低くし剣の先をユウに向けたと思うとその瞬間シュバルツの姿がぶれた。
目にも留まらぬ速さで剣を突き出したのだ、その衝撃で地面は抉れ裂けている、その剣先がユウに触れる前に

「デュナミス、空間転移!」

[了解です、座標3:1に跳びます!]

「なるほど、その魔法は実に厄介だ」

「それはどうも、そっちこそキレの良い剣筋な事で」

瞬時に空間転移でかわしたユウ。
この間僅か5秒の出来事である。

「大丈夫⁉︎ユウ!」

「こっちは終わったよ、今からは私達も戦う!」

なのはとフェイトにはそれぞれ王の拘束、外への通信を頼んでいた。
王はフェイトによってバインドをされ動けなくなり、なのはが103航空隊に援軍を要請したので間も無く此処に103航空隊の先鋭達が集まってくるだろう。

「もうすぐ103航空隊が集まってくる、お前達に逃げ場はないぞ」

「くくくっ、そう言っても逃して貰うけどね。それに私が此処にいるのは……君の為だユウ レグラス!」

「なに⁉︎」

「それはどういう……」

「どうしてユウを…」

「私はね…君が欲しい、そして正体について知りたいんだ。その転移魔法も上手く誤魔化されてるけどミッドでもベルカ式でもない魔法、それにまだ隠してる事があるだろう久城 優くん?」

「お前⁉︎どこでそれを⁉︎」

ユウは動揺を隠しきれない、その名は忘却の魔法でこの世界から消した筈だ。なのに何故スカリエッティは自分の正体を知っているのかと。

「おっと時間切れだ、此奴は貰っていこう。では街外れの荒野で君を待つ、来なければこの生命の湧き水は破壊させて貰おう、ではさらばだ!」

中心に浮かんでいた宝石のようなもの、それが恐らく生命の湧き水だろう。それを持ち懐から機械を出し起動したスカリエッティとシュバルツは転移で何処かに消えてしまった。
シュバルツは去り際に、

「必ずこい、お前との決着を楽しみにしている」

という言葉を残して消えてしまった。

《不味い事になりましたね、まさか久城 優だとバレてるとは》

《何故知られてるのか分からないけど、このまま逃すわけにはいかないな。それに…この2人には特に知られる訳にはいかない》


デュナミスとユウはそのように念話で会話をしていた。
なのはとフェイト、ユウが久城 優として覚えられていた頃は密接に関わっている。
それにこの世界から忘れられたのも全て元をたどればなのはの為でもある。なのはの為にしてきた事を此処で駄目にする訳にはいかないしもう自分の所為で無茶するなのはは見たく無いのだ。


(久城 優……なんだろう、私知ってるような気がする…それにこの想いは何?」

スカリエッティがそう口にした時、なのはは聞き覚えがあった。
そしてその名を頭の中で繰り返し呼ぶ度に何だか心の中が暖かくなるような感じがした、そう知らぬ間に空いた穴を暖めるかのように。

「逃げられちゃったね……なのは、どうしたの?」

「えっ?いや、なんでも無いよフェイトちゃん」

どうやらフェイトには聞き覚えが無いようで特に気にした様子は無かった。
あの日以来、なのはの心に空いたままの穴は少しずつ塞がっていっている事に誰も、本人も知らなかった。



かの方はジェイル スカリエッティさんでした。
実はまだsts見てないので想像で書きましたので可笑しかったら言って下さい。

この103航空隊編が終ったらstsにも入りますので作者もそれに伴いアニメを見ていきます。
基本は原作沿いかもしれませんがオリジナル展開などもぶっ込む予定です。

最後のなのはが思い出しそうでフェイトが思い出しそうで無かった描写は優に対しての気持ちの強さの問題です、やっぱりヒロインですから此処ぐらい贔屓しとかなきゃね。