魔法少女リリカルなのは 原初の勇者 作:黒色狼
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UAもお陰で4000を超えました、良い評価を頂ける様にまだ至らない所が沢山ありますが頑張りますのでこの作品をよろしくお願いします。
第9話UAもお陰で4000を超えました、良い評価を頂ける様にまだ至らない所が沢山ありますが頑張りますのでこの作品をよろしくお願いします。
「どうしたんだ!くっ、これは⁉︎」
103航空隊の隊員達が地下の部屋に駆け付けた時にはもう既にジェイル スカリエッティとシュバルツは逃げた後で戦いの痕跡を残すだけだった。
「部隊長、やはり裏では色々動いていたみたいです。そしてその主犯はセネゲル王、協力者は……ジェイル スカリエッティです」
「なに⁉︎あの次元犯罪者か、また厄介な事に…」
103航空隊は何度かジェイル スカリエッティの研究所に踏み込んだ事があるのだが幾度となく逃げられているのだ。無駄に手の込んなトラップや痕跡を残さない用意周到さ、長い間指名手配されてるにも関わらず逃げ果せて来ているので要注意人物としても有名だ。
「取り敢えず、当事者に話を聞いてみましょう。フェイト、セネゲル王をこちらに連れて来てもらえる?」
「うん、ちょっと待っててね」
すると遠くでバインドで動けなくされていたセネゲル王をフェイトが連れて来た。
その顔は真っ青でこの世の終わりを見たかのような顔だった。
「セネゲル王、全て話して頂けますか?」
「終わりだ……もうウミリアは終わりだ…」
セネゲル王の目線はあっておらずそう何度も呟くばかりだ。先ほどの出来事でどうやら気が参ってしまったようだ。
しかし此処で情報を喋って貰わなければこっちとしても手詰まりなので非常に困る。それにまだ終わった訳じゃない。
「セネゲル王!貴方が喋らなければ何も変わらない、まだ終わった訳じゃない。話してください、この国はまだ終わってないのです」
そう叫ぶように言うユウ。
ユウとてこのままスカリエッティを好きにさせておくつもりは無いし、この国を見捨てるつもりは無い。純粋に守りたいのだ、この手に届く範囲のもの全てを。
「……分かった、まず始まりは生命の湧き水の調子が悪くなった事から始まる…」
ユウの想いが通じたのか唐突に喋り始めるセネゲル王。
どうやら前々から生命の湧き水の調子が悪かったようでこのままでは水が枯れ果て荒地と成り果ててしまうと焦っていたが、其処に思い付いたのが技術者を集い生命の湧き水を調整し元どおりにしようと言うものだ。
しかし古代の遺産である生命の湧き水を調整できる技術者はそう簡単に見つからず途方に暮れている所に管理局上層部にツテがある者が紹介出来る優秀か技術者がいると言われそれがジェイル スカリエッティだったそうだ。
管理局上層部とスカリエッティが繋がっていた事にその場の者達は驚きを隠せないがセネゲル王の話はまだ続く。
「それで私は藁に縋る気持ちでスカリエッティに協力を要請した、次元犯罪者とは分かっていた…それでも私はこの美しいウミリアを守りたかったのだ…」
そう涙を零しながら語るセネゲル王。
本当にそう思っているのだろう、こんな形にはなってしまったが自分の国を守ろうと必死だったのだ。
「協力をする、その変わり条件があると奴は言ってきた。それが…」
「僕たちを此処に呼び寄せる…という事ですね」
「ああ…その通りだ。あの生命の湧き水を此処に戻さなければいずれウミリアは枯れ果てる……お願いだ、生命の湧き水を取り戻してくれ」
スカリエッティは生命の湧き水を調整する見返りに103航空隊をウミリアに呼べというものだったようだ。
セネゲル王も詳しい事は聞かされておらず、何故103航空隊を呼んだのかは分からないらしい。そしてスカリエッティが去り際に持ち去った生命の湧き水がなければウミリアは枯れ果てしまうらしく早急に取り返さなければならない。知っている情報を全て話したセネゲル王はひとまず103航空隊が身柄を預かる事になった。
《スカリエッティの目的は十中八九…》
《ユウ、貴方でしょうね。まさか魔法式を看破されるとは思いもよりませんでした》
ユウの使っていた空間転移の魔法、レアスキル 空間制御の魔法として登録されているが実はベルカ式でもミッド式でもない。
ユウがアベルとして長い間戦う中で身に付けてきた技術、魔法の一つだ。だからこの世界の魔法とは根本から違うのでベルカでもミッドでもない魔法なのだがそれを上手く隠蔽して使っていた訳だがそれをスカリエッティは見抜いていたらしい。
そしてもう一つ、ユウの正体を知っている事だ。アベルとしてではなく久城 優としてのユウをだ。
それについては本人に聞かなければ何故知っているのか分からないのでどうしようもないがもしこの事がなのはにバレたら非常に不味い、早急になんとかしなければならない。
恐らく自分のDNAでも欲しいのだろうとユウは考えている。
大方その未知の魔法を自分のものとし、クローンでも作りたいのだろう。
「ユウ、俺たちはもう少し此処を調べる。また明日生命の湧き水を奪還する為に会議を開く送れるなよ」
「はい、了解です」
そういってリーガルは行ってしまった、リーガルはスカリエッティの103航空隊を呼んだ理由がユウだったという事を知らない。
できるだけ魔法の秘密や自分の正体は隠しておきたいのだ、それに完全に巻き込んでしまった側としてはこれ以上迷惑を掛けまいと思っているようでもあった。
全て此れから一人で終わらせる為に…
《奴は街外れの荒野で待っていると言ってたよね、準備が出来たら直ぐに向かおう》
《確かにそう言ってました、ひとまず部屋に戻りましょう》
そう念話で会話しユウは部屋を出て行った。
(なんだろう、ユウを見てると懐かしい…今まではそんな風には感じなかったのに。久城 優……ユウ レグラス……)
出て行くユウを無言で眺めていたなのはだが頭の中ではそんな事がぐるぐると渦巻いていた。あと少しで何か思い出せそうなのだがなかなか出て来ない、すると
「なのは、本当にどうしたの?さっきからずっとボーッとしてるけど?」
「ふぇ?う、うん。何でもないよ。私も先に部屋に戻ってるね」
執務官としての調査が終わったフェイトが先ほどからボーッとしているなのはを心配して話し掛けてきた。
それを誤魔化す様になのはは自分の部屋に戻ると告げその部屋を後にした。
「本当にどうしだろう……あれ?そういえばユウは…部屋かな?」
ユウに用事があったフェイトだがその場にユウがいない事に気が付き部屋に戻ってるかも知れないとユウの部屋に向かった。
「ユウごめん、疲れてるかも知れないけど聞きたい事があって…」
「フェイトか?別に構わないよ、入ってきて」
そのまま真っ直ぐユウの部屋に訪れていたフェイトはユウの部屋と入っていった。
「えっとね、スカリエッティの言ってた事だけど……此処に来たのはユウが目的って…」
「…うん、そうらしいね。僕のレアスキル 空間制御に興味があるんだと思う。僕を殺すなり捕まえた後に実験でもしたいんだろう」
そうフェイトが聞きたかったのはこれだ、なのはは別の事で頭がいっぱいでそれどころでは無かった様だがフェイトはしっかり覚えていた。スカリエッティの此処に来た理由はユウだと。
「そんな、直ぐにリーガルさん達に…」
「駄目だ、これ以上103航空隊に迷惑を掛ける訳にはいかない。僕の所為でこんな事態になっているんだ、此処からは僕一人でやる」
リーガルに連絡を取ろうとするフェイトを止める。しかしフェイトはそんな事では納得がいかない。目の前の人は無謀な事をしようとしているのにそれを見過ごす訳にはいかない。
「なら私も行く、それなら文句はないでしょ?」
「それも駄目だ、危険過ぎる」
お互いに一歩も引かない。ユウとしてもこれは自分の責任だと思っているので一人で終わらせたいのだ。それにこれ以上、誰かを巻き込みたくもない。
するとフェイトが、
「あのね、私実は人造魔導師なんだ…」
唐突に自分の事を話し始めた。
この日、ユウにとってもフェイトにとっても……そしてなのはにとっても運命を左右する忘れられない日となるのだがこの時そんな事を知る者は誰もいなかった。