魔法少女リリカルなのは 原初の勇者 作:黒色狼
<< 前の話 次の話 >>
12 / 30
第11話無数の魔力弾がシュバルツに一斉に降り注ぐ。流石にこの数は防げないとユウはふんでいただが、
「うおおぉぉぉ〜〜ーー!」
あろう事かその手に持つ剣で全て斬り防いでいる。もうその振るわれる剣筋は目では確認出来ないスピードだ。流石に驚きを隠せないユウだがそれも計算に織り込み済みだ。
そして次の策を講じる。
「爆せろ!エクリクシス !」
するとシュバルツの周りにあった魔力弾が一斉に爆発した。
そう斬られて無効化されるのなら無効化される前に爆発させてしまえばいい。そう考え、前に魔力弾を斬られた時から考えていたことだ。
あれだけの数が一斉に爆発したのだから、普通なら一撃で倒れるだろう、そう普通なら。
「まさか、これを耐えるなんてね…」
煙が晴れると其処には全身のバリアジャケットは所々ボロボロだがシュバルツがしっかりと立っていた。
何が嬉しいのかニヤッと笑みを浮かべている。
「これだ……我が求めていたのはこういう戦いだ!さぁ、存分に楽しもうぞ!」
余程、ユウとの戦いが気に入ったのかそう叫び上げる。
古代ベルカでも剣聖シュバルツは無双の剣と言われ最期の時まで結局一度も敗れる事は無かったとされている。
そうシュバルツは飢えていたのだ、強者との戦いを。そして今その渇きを癒せる相手を見つけた、時間をも超えて。
[ユウ、今ので残存魔力が残り僅かです]
「分かってる、だからあれを使う。ブレードフォームをFIRSTモードで行くよ」
[私もそれが妥当だと思います、じゃあいきます!BLADE FORM…FIRSTモード]
そう先程の立て続けの魔法の行使でユウの魔力は底を尽きかけている。
それに引き換えシュバルツは魔力総量が目測でもS+はあるだろう、あっちの魔力はまだ半分以上残っている筈だ。
そこでユウはブレードフォームを発動させた。名前の通り双銃のデュナミスを剣にするフォームでFirstモードは一振りの剣になる。
「ほう、我に剣で挑もうというのか。中々おもし………なるほど其方が本来の得物という事か」
デュナミスが剣になった瞬間、ユウの雰囲気が変わった。
シュバルツは舐められているのかと思ったがその雰囲気はまるで歴戦の勇者の如く構えで全く隙が無かった。そこで理解する、今までは全力では無く本来の得物を使っていなかったと。そして目の前の者は自分と同じ騎士であり剣士であると。
「想護流 正統後継者 ユウ レグラス……押してまいる!」
次の瞬間、既にシュバルツの目の前に移動していた。そして右手に持つデュナミスを横に振るう。しかし流石の剣聖、反射神経のみでそれをパリィする。何が起こったか分からないシュバルツは後ろに大きく距離を取った。
「貴様…今何をした。転移は使えない筈…」
「何もしてないよ、ただ早く動いただけだ」
そうユウはただ速く動いただけ。
正しくは想護流の歩法を使っただけ、想護流 歩法術 先瞬。
縮地法と似たようなものだが違うのはその移動速度。まるで瞬間移動したかのように見える程のスピードで動く事が出来るのだ。
ユウが言ったように要約すると速く動いただけだが。
デュナミスが一瞬だけ足場を作りユウが先瞬を使う、マスターとデバイスの息が合っていなければ出来ない芸当だ。
またシュバルツの目の前からユウが消える、咄嗟に後ろに剣を振って初撃をパリィするが既にユウの姿は無く横腹に衝撃が走る。
攻撃を受け体制が崩れたシュバルツがこのスピードのユウに着いて行ける訳がなく、
左肩、右足、背中、頬、右腕、左足と次々に斬撃を浴びる。
そして止めと言わんばかりに正面から物凄いスピードでこれでもかという程斬りつけ最後に、
「想護流 一の型 風刃!」
大きく振るわれた剣から衝撃波が飛ばされそれを直接叩き込まれたシュバルツはそのまま地面に叩き付けられ巨大なクレーターが出来上がった。
しかし、
「くっ、なかなかしぶとい…」
「まあまあ効いたが…そんな生温い剣じゃ我は倒せんぞ」
それでもあまり効いていないようで更に笑みを強くしそこにシュバルツは立っていた。
デュナミスの魔力刃は非殺傷設定、当たれば痛いし魔力ダメージがあるのだがシュバルツは在ろう事かピンピンしている。
だがシュバルツは殺傷設定のまま剣を振るっている、斬られればそれだけで致命傷になり得る。
「確かにお前は速い、なら当たるまで剣を振るうまで!」
そう言ってシュバルツはユウに突撃してきた。しかし完全にスピードではユウの方が上。また先瞬で背後に移動し斬りつけようとするがパリィされる。しかし初撃が防げてもこのスピードの斬撃を連続でパリィするのは不可能だ。また背後に移動したユウは背中を斬ろうとするが突然横腹が斬られた。
斬られた事によりスピードが緩んでまたシュバルツにパリィされてしまう、明らかに隙が出来てしまったユウに連続で剣を振るう。
横、右斜め、縦、横、縦、左下斜め、突き
、横と二人の剣が魔力を散らし合わさる。
最後は大きく右上から振るわれた剣をパリィし後方に吹き飛ばされた両者には大きな距離が出来る。
「それがお前のデュアルコネクトか…」
「我にこれを使わせるとはな…貴様と戦える事を嬉しく思うぞ!」
デュアルコネクト、剣聖シュバルツが使う特殊な魔法で1度剣を振るうだけで2箇所斬る事が出来る魔法剣術だ。
どれだけパリィで防ごうとも1度で2度斬られるので必ず当たってしまう。
シュバルツが距離を詰め再び二人の距離は近くなる、そしてデュアルの剣がユウに迫る。
それをパリィするがやはりもう一筋の剣撃がユウに炸裂する。左肩から微量に出血したがシュバルツがそれで待ってくれる筈もなく次々とデュアルをぶつけて来る。後ろに下がる暇もないユウはそれを幾度となくパリィするがデュアルがユウの身体を確実に斬りつけていく。
「ははは!どうした、まだまだ行くぞ!」
[ユウ!出血量がもうすぐ危険域です!]
「くっ!分かってる!」
デュアルの所為でユウの身体の至る所から出血している。身体を上手く逸らし致命傷は避けているがこのままでは不味いだろう。
しかし此処で思わぬ乱入者が現れる。
「ディバイン…バスタァー!」
少し下の方から桃色の魔力が光り輝き一筋の光が両者に……いや的確にシュバルツだけに目掛けて飛んで来た。
それをシュバルツは咄嗟に躱すがユウにその隙に距離を取られてしまう。
「なのは!なんで此処に…」
「そんな事より何で1人で言っちゃうの⁉︎そんなに怪我して……私たちはパートナーじゃ無かったの?偶には私の事を頼ってよ!」
目尻に涙を溜め肩で息をしながらそう叫ぶなのは。
余程心配で急いで来たのが伺える。そんな剣幕で迫られたのでユウは何も言い返せなかった。そんななのはにユウは近付くとなのはは、傷だらけのユウを見てまた泣きそうになり抱き着いた。
いきなりでびっくりしたユウだが本当に心配してくれていたのだろう、自分の胸で啜り泣くなのはを見て頭を撫でた。
「ごめん…けど僕は…」
「バルディッシュから連絡があって本当に心配したんだよ?間に合って本当に良かった…罰で今度1つ言う事聞いて貰うからね!」
顔を上げそう叫ぶなのははもう泣いておらず笑っていた。
今回ばかりは自分が悪いので素直に分かった、と頷く。
あのフェイトを気絶させた時、どうやらバルディッシュがこの事をレイジングハートに伝えていたらしくそれを聞いたなのはが急いで飛んで来たらしい。
本当はなのはを危険には晒したくないが此処まで来てしまったのなら仕方がない。
(昔の僕とは違う、なのはは僕が…必ず守る!)
そう胸に何度も誓ってきた。
昔の大切な人一人守れなかった弱い自分とは今は違う。今自分には守る力がある。
こうして戦いは第2ラウンドへと突入する。