魔法少女リリカルなのは 原初の勇者   作:黒色狼
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今回からstsに入ります


STS編
プロローグ






此処はとある事件の現場。
今まさに立て篭り事件が起きている
管理局の陸戦部隊が対処に当たっていたが潜伏する敵のランク、数それに人質が居るため手を出せずにいた。事実上打つ手無しであった。そこで本部は民間協力者に協力を要請する。

「室内には空戦Aランク魔道士が二人、陸戦AAランクの魔道士が人質を盾に立て籠もっています。その他Bランク魔道士も複数立て籠もって居るようで我々にはお手上げです。頼めますか?」

「うん、任せて。レイ、いけるね?」

[はい、私達に不可能はありません]

「いくよ、ファントム バレット!」

[Phantom Barrett]

一人のフード付きコート深く被りその顔には目元を隠すようにマスクが着けた男が数回建物に向かって銃口を向け引き金を引く。

[一人がAMFを張っていたようで無効化されました、1階非常口付近です]

「わかった、ブレードフォームで行く」

双銃が一振りの剣へと変化し一気に建物へと突入する。中に入ると数名テロリストが気を失っていたのでバインドを瞬時にかける。
どうやらAMFを張っていた一人は、人質を連れ非常口を出たようだ。
しかしフードの男の行動は速かった、建物内を素早く移動し瞬時に非常口へと辿り着きテロリストと鉢合わせた。

「動くな!」

そう言ってテロリストはデバイスを人質に突きつける様に見せ付ける。
そのままテロリストは人質を盾にし逃げようとするが、

「ソニックアクション」

[Sonic Action]

瞬時に移動系魔法でテロリストとの距離を詰めそのまま手に持つ剣で斬り付ける。
この剣、デバイスの魔力刃は非殺傷設定。
魔力ダメージでテロリストは気を失ってしまう。

[ミッションコンプリート、ですね]

「流石は次元世界最強、レン クルーガーですね」

「これぐらいは大した事ないよ、では僕は失礼するよ」


テロリストを鎮圧し終わるとその場を指揮していた管理局員がそう男に話しかけてきた。
そう管理局の民間協力者で解決不能と言われた任務すらこなしてしまう男。
それが彼、レン、クルーガーだ。

管理局の無理難題をよく押し付けられるのだが彼はそれを簡単に解決してしまう。
そうしていつしか次元世界最強と言われる様になっていた。
いつも任務を終えると何処かに転移してしまうし顔はフードを深く被り、目元全体を覆い尽くす様なマスクをしているのでどんな顔なのかは誰も分かっていない。
















クラナガンのとあるマンションの一室。そこにレン クルーガーの住まいはある。
しかし本当は駄目なのだが直接家に転移しているので誰にもその場所は知られていない。
今回も同じ様に任務を終え家に帰って来ると頭に耳を生やした若い女性が迎えてくれる。

「優、お疲れ様です」

「ああ、ありがとうリニス。今回はロストロギア関係でもなかったしすぐ終わったよ」

この女性はリニス。
ある事件をきっかけに使い魔となりそれ以来、行動を共にしている。
そしてレン クルーガーの正体は世界から自分の記憶を全て消した久城 優であり、昔ウミリアで起こった事件で行方不明となったユウ レグラスでもある。

「最近はロストロギア関係の仕事も少ないようですね、それにジェイル スカリエッティの動きも最近は殆どありません」

「そうだね、それに最近管理局の部署でロストロギアを専門で扱う部署が出来るって噂だし……今後はそこと連携する事になるかもね」

[そうなるでしょうね、スカリエッティの動きが無いのは少し不自然ですが此方からは何も出来ない以上は当面は楽が出来そうです]

もちろんデバイスはあの高スペックのデュナミスである。
正式名称、デュナミス。そして愛称はレイ。
元々、久城 優としてデバイスを使っていた時はレイと呼んでいたのだが記憶を消し去った際に不都合が無いよう正式名称で呼んでいた。
しかしユウ レグラスとしてデュナミスを使う内にデュナミスの名も知れ渡ってしまった為、再び愛称で呼んでいるのだ。


[ユウ、通信です。管理局からですがこの個人の番号は初めてのものですので誰かは不明です]

「また新しい依頼だろうね、繋いでくれ」

優には頻繁にこうして管理局から連絡が来るのだ。それの殆どが依頼であったり協力要請、無理難題の押し付けだ。
いつもは決まって上層部の人間が連絡してくるのだが今回は違う人らしい。フードを再び深く被り目元にマスクを付け優は通信を繋いだ。

『初めまして、レン クルーガーの番号で合っているだろうか?』

「……はい、僕がレン クルーガーです。また管理局の依頼ですか?それとも現場急行の協力要請ですか?」

優はレンのモニターから映し出させる人物が意外な者で驚いた。そう久城 優だった頃にもお世話になった…

『そうか、僕はクロノ ハラウオンだ。君に直接お願いしたい依頼があって連絡をさせて貰った』

そうクロノ ハラウオンだ。
PT事件や闇の書事件の時にお世話になった執務官だ。今では提督となっているらしくレン クルーガーの連絡先を入手出来るまでには偉くなったみたいだ。

『実は近々、管理局で新たな部署を立ち上げる事になった。薄々は聞いていると思うが…古代遺物管理部機動六課、通称機動六課だ』

「ええ耳にはしています。ロストロギアを専門に扱う部署だとか。それでわざわざ私に連絡を入れるなんて大方協力を仰ぎたいのでしょう?」

優達の予感は的中していた。クロノがこの話を持ち掛けてきたのは予想外だったが管理局側がこの話をしてくると予想はしていた。

『そうだが今回は主旨が違う。君にはこの機動六課に民間協力者として協力する形で入隊して欲しいと考えている』

「何ですって?僕が其処に全面的に協力しなければならない程切羽詰まっている状況なのですか?」

優がそう聞くのも無理もない。次元世界最強と言われている人材をその部署に入れようとしているのだ。確かにロストロギアは危険だが優が全面的に協力しなければならない程人員不足な訳でも無いだろう。

『実の所そういう事なんだが…近い内に何が起こるのは間違いない。予言系のレアスキル持ちの者がその様な予言をしたんだ。機動六課はレリック問題を名目に建てられる部署だがそういう裏もあるんだ。それにバックアップには僕を始め伝説の三提督に総務統括官のリンディ、聖王教会の騎士であるカリムがいる』

「なるほど……分かりました。その依頼、お受けします」

この機動六課の後ろ盾に存在する人物はどの人も大物で文句の付け所がなく、どうやら本当にこれから起こる事に備え準備しているようだ。
自分たちも此れから起こるであろう事に備えていたが同じようにその危機に準備をしているのであれば好都合でもあった。

『すまない、本当に助かるよ。詳しい案内はまた此方から送る。では』

そうして通信は終了した。
かなり大掛かりな対策を管理局が講じている事に驚いたがそれはそれで自分も利用させて貰おうと考えている優。


こうして運命の歯車は回り始める。
何度離れてもお互いは知らぬ間に再会する運命にある二人。
忘れようともその心には確かにその者が存在し引き付け合う。

二人の行く末は誰も知る由もないが一つ言えるのは…

運命は自分で掴むもの。

二人がどんな運命を切り開き掴み取るのかそれは誰にも分からない。