魔法少女リリカルなのは 原初の勇者   作:黒色狼
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さぁ、特に求められてない人が出てきますよ。

そして好き勝手改変する作者←


第3話


「お疲れ様、どうでしたか?あの子達は?」

「みんな筋がいいよ、しっかりと特訓すればエース級になるね。チームワークはまだまだだけど、作戦立案も悪くないしこれからに期待かな」

模擬戦を終えたレンはなのはともう一人の女性がいる場所へと来ていた。
この場所は訓練風景を見る為の部屋でモニターが沢山付いている。此処で色々な設定も行えるらしい。

「シャーリー、データは取れたかな?」

「はい、いいのが取れました!これもレンさんのお陰ですね」

彼女はシャリオ フィニーノ。
通信主任兼整備副主任で自称メカニックデザイナーだ。もちろんデバイスマイスターの資格も所持している。
そして過去にフェイトの執務官補佐を勤めた事もある。


レンは新人のフォワードメンバーがどの様に成長していくか楽しみに思っていた。
自分には特出した才能もセンスも無かったが彼等には光るものがある。案外訓練を見続けるのも悪くないと思った。

エリオの咄嗟の判断やその行動、見切り等は素晴らしく磨けばかなりものになる。

スバルは少し直線的過ぎる所があるが一撃が重くパンチなどのキレも悪くない、フェイントや基礎を磨きそれを体に覚えさせればもっと強くなるだろう。

キャロは強力なレアスキルを持っているのをレンは知っている。それを恐れ使っていないがそれを制御出来ればかなりの戦力になる。

そしてティアナ。
レンは彼女の事を1番高く評価し先を最も楽しみにしている。
あの作戦も彼女の案であったし幻術魔法も悪くない、正面からぶつかる様な強さではなく情報分析、戦術立案、戦闘行為のマルチタスクに秀でている。
上手く立ち回れば無類の強さを発揮するだろうとレンは考えていた。
それに彼女の使う魔法やスタイルはレンに似ている、教えれる事は多いだろう。


「シャーリー、こんな所にいたのね。デバイスのデータは取れたかしら?」

「はい、良いのが取れましたよプレシアさん」

今部屋に入ってきた女性はプレシア テスタロッサ。
機動六課の整備主任でライトニング分隊の隊長、フェイト テスタロッサのお母さんでもある。ある事件で罪を犯し裁判で管理局への無期限の協力を条件に自由を得ている。
彼女を助けたのは優なのだがもちろんそんな事は覚えていない。

「貴方があのレン クルーガーね……一度貴方のデバイスの中身も見てみたいものだわ」

[何だか嫌な予感がするのですが……]

どうやらレンには興味はあまりない様で、レンのデバイスのレイに興味があるようだ。
今度しょうもないことを言うようならプレシアさんにメンテナンスして貰おうと思うレンだった。






















その日の夜管理局本部へ行っていた、はやてとフェイトそしてリインフォースⅡ、愛称はリイン。
リインははやてが作成した人格型ユニゾンデバイスである。

彼女達はその帰りでフェイトの車で機動六課へと帰っている途中だ。

「リイン、寝ちゃったね」

「よう頑張ってくれてるから疲れたんやろな」

運転席のフェイトと助手席のはやてに挟まれるように置かれた鞄の中にはぐっすりと眠るリインがいた。
その鞄の中はリインの部屋の様になっていて小さなハンガーに管理局の制服を掛け眠っている。

「ねぇ、はやて。そろそろ機動六課設立の本当の理由を教えてほしいんだけど…」

「ごめん、フェイトちゃん。今は無理なんや。けど時が来たら話すだからごめんね」

実はなのはやフェイトは機動六課の本当の設立理由を知らない。
聞いてもはやてが教えてくれないのだ。しかし彼女達はお互いに信頼している、何か理由があるのだと納得しその時が来るのを待つ。
レンも詳しい内容は知らないが大体は知っている、依頼を受ける際に情報はクロノからもらっているからだ。

(この予言の内容を知るのは僅かな上層部の人間だけ…話す時が来たら話す…だからごめんね)

そう心の中で謝るはやて。
上層部しか知らない予言の内容、よく分からない部分もあれば重大な事も書かれている。
それに予言は一つではない。そしてその内の一つが凄く問題なのだが…
そしてその予言にはかの有名な昔話にも出てくる伝説的な英雄、勇者の事が予言されている。
それだけで管理局が対応出来る範疇を超えている。



『旧い結晶と無限の欲望が交わる地死せる王の下

聖地より彼の翼が蘇る 死者達は踊り

しかし中つ大地の法の塔は原初の勇者により守られ

だが数多の海を守る法の船は原初の勇者により砕け落ちる』



これが二つの内の一つの予言。

恐らく中つ大地の法の塔とは管理局地上本部の事だと推測されるがそれを守るのに管理局システムを崩壊させるというのだ。
それだけで矛盾している。それにもし原初の勇者が敵として現れるのなら管理局が対処出来るとは思えない。

原初の勇者。
それは昔、世界が一つだった時この世界を守ったとされるアベルの事だ。
誰もが知る昔話にも出てくる勇者アベル。


もう一つの予言はその原初の勇者、アベルの事について多く書かれているのだがこの予言がまた謎なのだ。


『愛すべき者が窮地に陥る時 原初の勇者は姿を現わす

その時封印は解かれ……


で予言が途切れてしまったのだ。
こんな事は過去に無く前代未聞の事で予言したカリム自身も戸惑っていた。
愛するべき人が窮地に陥る時、原初の勇者は現れるというがそもそも原初の勇者が今この時に存在しているのか、愛するべき人とは誰なのかも分かっていないのだ。
封印は解かれの先も分からないので何の封印が解かれるのかすら分からない。

分かっているのは一つ。
原初の勇者がその時に現れるという事だ。
その原初の勇者が味方なのか、敵なのかも分からない。
しかしはやてはそれに備え今の過剰戦力とも言えるメンバーを集めて来た。
極め付けは次元世界最強のレン クルーガーだ。準備はしてきた、後は全力で対処に当たるだけ。


そんな事を胸にはやては既に陽も落ちた空を眺めるのであった。

















もう既に陽は落ち外は暗くなり機動六課の者達もそれぞれ寝静まって来た頃。
その隊舎の廊下を歩く者がいる。

「んー、やっぱりスバルとティアナは……で、エリオは……」

普段ツーサイドアップにしている長い髪を下ろし部屋着姿の女性、高町なのはは何やらブツブツと呟きながら廊下を歩いている。
すると自分の部屋の横の部屋から、


「あれ、レンさんどうして此処に?」

「いや、僕の部屋此処なんだ。ちょっと夜風に当たりに外に出ようかなって」

へぇ、知らなかったとなのはは言う。
レンも当時は機動六課に住み込みで入隊する気は無かったのだがクロノ提督の説得により此処に入る事を急遽決めた為、空き部屋だったなのはの部屋の横に住む事になったのだ。

「なのはさんはどうして外に?」

「実は教導のメニューを考えてたんだけど、気分転換に外に出てたの」

[マスター、丁度いいですからレンさんとも相談したらどうですか?]

「えっと…どういう事だい?」

「実は教導メニューで手伝って欲しい箇所が幾つかあってレイジングハートとも話し合ってたんだけど…レンさんが良ければ今から私の部屋で相談に乗ってくれないかな?」


なのはは教導メニューをレイジングハートと考えていたのだがレンに手伝って貰えれば効率も質も上がるし何よりスタイルも魔法も似通っているティアナの相手もして欲しかったと考えていたのだ。
だがレンに相談しないと決めれないのでどうしようかとレイジングハートと話して外に出ていた所を運良くレンと出会した訳だ。

「うん、僕も暇だし別に構わないよ」

「ほんと⁉︎それじゃあ入って!」

そう笑顔で言うなのは。
その笑顔が可愛らしくドッキっとしたのだがそれは内緒だ。
部屋の中に入ると中はまだ生活感は無いが女の子らしい部屋となっていて既に仄かになのはの匂いが香っておりレンの精神を攻撃してくる。

「ごめんね、何も出せないけど…取り敢えず此処に座って」

と言われ自分の横をトントンと叩くだが場所が問題だった。
なのはが今腰掛けているのはベッドなのだ。
そういう事では無いのは分かっていても意識するのが男というもの。それにこの部屋にはなのはの匂いが漂っている、既に入り口で笑顔という初撃を貰った後でレンの精神はズタボロだ。

「どうしたの?」

「あっ、い、いや……うん分かったよ」

諦めてなのはの隣に座るレン。
ベッドに腰を下ろした瞬間ふわっと甘いなのはの匂いが鼻をくすぐる。
早速なのはが何か喋り出したが自分の自我を保つので精一杯で殆ど耳には入ってこない。
何せこの何年もなのはの事を思い続けているにも関わらず遠くで見守り見ているだけ、溜まるものも溜まっているし我慢の限界というものも存在する。

「………でチームの核になって貰おうと思ってるの……その、そんなにじっと見られると…恥ずかしい…かな」

「へっ?あ、ご、ごめん!」

どうやら無意識の内になのはの事をじっと見つめていたようだ。
なんとも言えない気不味い雰囲気になる。

(やばい、なのはの良い匂いが漂い過ぎて集中出来ない…くっ、最初の笑顔は反則だ)

自分と必死に戦うレン。
其処でこのままでは不味いので自分の意見を淡々と述べる事でなのはの匂いから意識を逸らそうとする。

「僕的にはスバルとエリオの筋は悪く無いと感じたよ、それどころか才能があると思う。だから……」



なのはは隣に座っているレンを見る。マスクをしているから顔が分からないが何処か懐かしい。
そういえば使う魔法もあの人そっくりだし体格も似ている。それに何よりあの人と同じように暖かく、心が満たされるような感覚。
そして何かが頭に浮かんできそうになっては消える。

(分からない、何なんだろう…けど気持ち悪くはない…寧ろ暖かくてあんし、ん…)

「……だと思うんだ。だから僕は偶に模擬戦を……ってなのはさん⁉︎」

突然肩に重さを感じ横を見るとなのはが自分の肩に顔を乗っけて寝ているのだ。
しかも、

(か、かわいい…)

静かに寝息を立て安心したような顔をして幸せそうに眠るなのはの寝顔を見てそう感じてしまうレンはもう末期だろう。

「……優…くん…」

そして寝言を口ずさむ。
それは昔の自分への呼び名、そう呼んで貰うだけで優は何でもできる気がしていた。

「レイのやつ…彼奴の勘は侮れないな…」

案外、なのはも自分の名前を寝言で言ってるかもと言っていたがまさにその通りだった。
久しぶりに本当の名前を呼ばれ今まで頑張ってきた事が報われたような気がしてくる、それ程優の心は擦り減り傷付き続けている。

しかし今はこの寝顔を見ているだけで充分だった。この後優も寝てしまい起きた後凄い気不味い雰囲気となったのは言うまでもない。






そして地味にプレシア生存。

無印、A’sもいつか投稿しようと思っているので詳細はその時に明らかになります。