魔法少女リリカルなのは 原初の勇者 作:黒色狼
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やってしまった…
今回は作者が暴走したので心して呼んで下さい←
第4話今回は作者が暴走したので心して呼んで下さい←
(さて、どうする…考えるんだ…お前は数々の窮地を潜ってきたじゃないか…僕ならいけ…)
「優…くん」
(無理だ……僕には出来ない…)
今、優はなのはにがっちりホールドされた状態でなのはのベッドに横になっている。
自分の顔のすぐ下にはなのはの寝顔があり随分と幸せそうだ。抱き着かれ身体は密着している、昔もこうして寝た事があったがその頃と比べ身体も成長し右腕には柔らかく弾力のあるなのはの胸が当たっている。
正直色々とやばい。まずこの甘くて良い匂いが優を揺さぶり、すぐ近くにあるなのはの可愛らしい寝顔、右腕に感じる柔らかい感触。聞こえてくる息遣い。
優の精神は暴走寸前だ。
何故こんな状態に陥っているかというと、昨晩なのはが優の肩で寝た後、なのはを起こす訳にもいかずこれまで不足していたなのは成分を補うべく寝顔を拝見させて貰ったり頬っぺたを突いてみたりしていたのだが気が緩んだのかそのまま寝てしまい、起きたらがっちりホールドされていたという訳だ。
レイを部屋に置いてきて本当に良かったと思う。
そしてがっちりホールドされている為抜け出せずそれに少し動くと、んぁ…と少し声を上げるので襲って……ではなく起こしてしまうかも知れないので動けなかった。
それにこの幸せそうな顔で寝るなのはを、なのは至上主義の優が起こせる筈もなく打つ手なしだ。
それ何処ろか自我を保つので精一杯、此れで愛の言葉でも囁かれれば間違いなく襲う……ではなく失神してしまうだろう。
これ程の窮地、恐らくアベルとなった時以来だろう。
此れならまだ10万の兵相手に剣1本縛りで戦っている方がまだ楽なレベルだと優は思った。
少し顔を動かすだけでキス出来てしまう様な距離、己の中の野獣がその衝動を暴走させようとするが、己の中の紳士的な部分がそれは駄目だと抵抗している。
そんな風に大戦争を繰り広げる優の事も知らずなのはは少し動く。
しかし動いた場所が悪かった。
上にズレる様に動いてきたなのは、だがすぐ上には優の顔がある。ふとなのはの方を見てしまった優は、
「ん……」
そしてお互いの顔の距離がゼロになる。
唇に伝わって来るなのはの熱、目の前にはなのはの顔がある。しかし優は何が起こったのか全く理解出来ずにいた。
そして目の前にあるなのはの瞼が開き何度もパチパチさせてから……
「ふぇぇぇぇ〜〜〜〜ーーーー⁉︎」
この日の朝は高町なのはの叫び声で始まった。
此処は起動六課の食堂。
今は朝早い時間だが大勢の隊員で賑わっている。
その食堂の奥のテーブルに座る二人は無言で朝食を口に運ぶ。二人ともほんのり顔が赤く、落ち着かない様子だ。
((ど、どうしよう…ものすごく気まずい…))
それが二人の心境だった。
なのはは目を覚ますと目の前にレンの顔があり抱き付いていたのもびっくりだったが、一番びっくりしたのは唇と唇が合わさっていた事だ。
教導の話をしていたのは覚えている。しかしレンが喋り出した時に何だか安心感を抱きそこから記憶がない。
抱き付いて居たのは自分の仕業だろう、どう足掻いてもレンがそうさせられる訳がないのだから、そう考えると余計に恥ずかしくなり更に顔を真っ赤にさせる。
そしてまだ唇には柔らかい、レンの唇の感触が残っている。無理やりレンがした事とは思えないので恐らく事故だろうがそれでもやっぱり恥ずかしいのだ。
それにあれは一様ファーストキスだ。ファーストキスがあんな形で終わってしまったのは不甲斐ないが不思議と嫌では無かった。
それに今日は何だか身体が軽く何でも出来てしまう様な気がする。
自分の心が満たされている事がはっきり感じられた。
「その……ごめんなさい…私寝ぼけてて。しかも私となんて嫌…だったよね…」
「嫌な訳がないよ!、寧ろ嬉しかっ……」
悲しそうな顔でそう言ってくるものだったのでついそう口に出してしまう。
しまったと口に手を当てるが既に後の祭り。なのはの顔は耳まで真っ赤になり、湯気でも出てるんじゃないかと思わせる程真っ赤だった。
なんだこいつら……
食堂に居る者たちはそう心を一つにした事だろう。
(そっか…嫌じゃなかったんだ…)
そう聞いて安心するなのは。
(あれ?私、安心してる?)
何故自分は安心しているのだろうか、何故こんなにも自分は満たされているのだろうか、そう考えるが答えは出ない。
自分はレンに恋をしていたのだろうか?しかしなのはが恋をしていた相手は自分の目の前から姿を消してしまった。それ以来、恋愛なんて考える暇もなく過ごしてきたがまた自分は恋をしたのだろうか?
こんな事を言うとあれだがなのは自身、恋愛なんて興味ない方の人間だ。
昔から不思議と興味が無かった、どんな男の人を見ても何も感じず惹かれる事が無かったのだ。
だが103航空隊のユウを見た時、彼に直ぐに惹かれていった。
そしてユウと同じものをレンに感じている。
暖かさも懐かしさも優しさもどれも似ている。そして何より何も感じ無かった心が、元は其処に何かがあったかのように満たされるのを感じるのだ。
もしかしてレンはユウなのでは、と考えるが何故か違うと思った。
どれも似ているし使う魔法もデバイスも似ているがやっぱり違うと思ってしまう。
なのはが何故レンをユウと認識出来ないのか、それは優の幻影魔法、ファンファクトゥムを継続してなのはだけに掛けているからだ。
一種の呪いの様に掛けた為に余程の事がない限りそう認識する事は出来ない。
誤認というより封印の意味合いに近いだろう。
「どうしたの、二人とも?何だか落ち着きがない様だけど?」
「そ、そんな事ないよ⁉︎ねぇ、レンさん」
「う、うん、全くもって何にもないよ」
すると二人の座る席にフェイトがやって来た。レンはフェイトが起動六課に居るのは知っていた。
元から仕事の都合上、レンとフェイトは会う事が多かったし顔見知りでもあった為に仕事先で話をしてそれを知っていたのだ。
二人は必死に誤魔化すが逆に怪しく見える。
フェイトはそんな二人を怪しむ様な目で見ると二人は揃って目線を逸らす。
「…怪しいなぁ、それに朝の叫び声ってなのはのだよね?」
「えっ?聞こえてたの?」
「それはあれだけ大きな声で叫んでたら…ね。殆どの人は聞こえてたんじゃないかな?」
どうやらあの叫び声は殆どの人を叩き起こし結果、かなりの人数に聞かれていたようだ。
それを聞いてなのはは恥ずかしくなり顔を伏せる。
「それでなのはとレンさんは部屋で何をしてたのかな?」
「べ、別に一緒に寝てないよ⁉︎教導のメニューを相談してただけだから!」
それは殆ど自白した様なものだ。
流石は大の親友で執務官、親友の事なら何でもお見通しのフェイトは上手くなのはを誘導して喋らせた。
レンはというとそれは言っちゃ駄目だろと頭を抱えた。
「へぇ、レンさんとなのはってそういう関係だったんだ〜」
「だから違うってばぁー!」
[レン、大人の階段を遂に登ったんですね!私はこの時をどれだけ待ち侘びた事か…]
「いや、違うから!お前が思ってるような事はしてないから!それにお前は僕の何なんだよ!」
其処に今まで黙っていたレイまでも参加する。恐らくレイにはお見通しだったのだろうが此処ぞとばかりに茶化してくる。
お互いに身の潔白を主張するがもはや無駄だった。食堂でそんな話を繰り広げていたものだから噂は瞬く間に広がるのであった。
激甘展開でしたね。
なのはが恋愛に興味が無かったのは優に惚れてて其処の記憶だけごっそり消えたからです。
ユウやレンに簡単に惹かれたりするのもそのせいです。
まぁ全員同一人物なのだから当たり前か←