魔法少女リリカルなのは 原初の勇者   作:黒色狼
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早く進めてヴィヴィオ出せよと思ってる方、すみません、今回も大して話は進みません。

というより作者は4話までしかstsを見ておらず此処での知識のみでプロットも考えたので修正しつつ、sts見つつ進めて行く為遅くなるかも知れません。


第5話




見渡す限りビル群に囲まれている、此処は訓練施設の空間シュミレーター。
其処に白いバリアジャケットを身に纏った高町なのは、いつも通りフードを深く被り未だにその顔を晒さないレンが二人揃って空中に浮いている。

そしてその下では肩を上下に荒らしバリアジャケットも所々煤けて汚れている新人フォワードメンバーの4人がへばっていた。

あの高町なのはとレン クルーガーがデキているという噂が機動六課に広まってから何日か経ってからの今日の訓練、いつも通りメニューを終えた新人達はもう限界というようにその地面に手を突いたり、倒れたりしている。

「じゃあ今日はレンさんに模擬戦をして貰うよ」

普段なら嬉しくて跳ね回って喜ぶ所だが残念ながら自分達にはそんな余裕はない。それに相手があのレンだ、今の状態の自分達では直ぐに落とされるのは目に見えている。

「大丈夫、今回はレンさんは一切攻撃はしないし、空も飛ばない。といか模擬戦というより鬼ごっこだね、誰かがレンさんに攻撃を当てるか触れるかすれば勝ち、制限時間は10分だよ」

そう今回はレンは一切攻撃しない。それを聞いて一安心する新人達。
たが体力が限界に近いのは変わりない。

「あのぉ〜、もし私たちがレンさんに触れて勝てば何かあるんですか?」

「ちょっと、馬鹿スバル!何言ってるのよ!」

「あはは…ああスバルは言ってるけど、どうするレンさん?」

「う〜ん、じゃあもしスバル達が僕に勝ったら僕がそれぞれ何でもしてあげるよ、勿論出来る範囲でね」

そう聞いた新人達の目には、やる気が戻ってきていた。
あのレンにお願いを一つ出来る権利を貰えるのだ、各々レンに対して憧れなどを抱いている身としては頼みたい事、聞いてみたい事は山のようにある。

(レンさんに何でもして貰える……それなら僕は戦い方をもっと教わりたい!、フェイトさんやレンさんの助けになる為に…)

(何でもしてくれる…私はレンさんと…)

(あのレンさんに……なら凡人の私は魔法を教えて貰いたい…もっとレンさんに近付きたい)

(何でもかぁ〜、あっ!それならあれを聞いてみたいかも!)

それぞれ魔法を教えて欲しかったり、して欲しい事は決まっているようだ。
そう考えると先程までは限界で動かすのもしんどかった体が嘘のように動く。今四人の顔はやる気に満ち溢れていた。

「それじゃあ、今から10分。頑張って行こう!」

なのはの合図と共に模擬戦と言う名の鬼ごっこが始まった。










「僕は飛ばないし、攻撃もしない。思いっきり来ても良いよ」

[遠慮は要りません、寧ろ私たちに当てれるのなら当ててみて下さい]

余裕たっぷりの二人。
デバイスであるレイは待機モードで手には何も持っていないし、その顔から読み取れるに当たってやるつもりは無いようだ。

しかし四人は動かない、恐らく念話で作戦か何かを話し合っているのだろう。すると纏まったのかスバルとエリオが動き出した。

挟み込むように迫って来る二人、初めての模擬戦の時お互いが衝突した時のように寸前で二人の攻撃を躱すが二人は衝突せず、すれ違いざまにスバルがエリオを掴みくるっと一回転してから思いっきりレン目掛けて投げて来た。
初めての頃と比べたら見違える様なチームワークで自然とレンは笑みを浮かべる。

しかしそれで終わりではない、更に横からはティアナが放ったバレットシュートが複数とキャロの出した鎖が迫っている。
真っ向から仕留めに来たのは予想外だがそういうのは嫌いじゃないと更に笑みを強めるレン。
先にくるだろうバレットシュートを己の反射神経、持ち前の戦闘技術で最小限の動きで躱していく。だが迫りくる鎖を躱すのは至難の技、なのでスバルに投げられ勢いよく此方に向かって来ているエリオの方に突撃した。

いきなり突撃してきたレンにエリオは驚きの表情を示すがそれも一瞬の事、直ぐに槍のデバイス、ストラーダを構えて連続で振るい攻撃する。
しかしレンはそれを紙一重でいつも通り躱す、そして物凄い速さでエリオを中心に円を描くように後ろに回り込んだ。

想護流 歩法術 月円。
流れるように相手の背後に円を描くような動きで回り込む歩法。

だが抜かれるのは承知の上のエリオ。ソニックムーブで高速で動きレンを追撃する。
其処でカートリッジをリロード、ストラーダは更に加速しレンに迫る。そしてレンに当たる……が

「んな!消えた!」

しかしレンに当たると霧散し消えてしまったのだ。レンは攻撃しないし飛ばないとは言ったが魔法を使わないとは言っていない。

得意とする幻影魔法、ファンファクトゥムは違う魔法。
まずファンファクトゥムは戦闘向きではない、一度誤認している事を正しく認識されればもう一度姿を消さなければ誤認させれない使い勝手が悪過ぎるのだ。
それ故に一回の戦闘で一度しか誤認させれないが今回は元から使っていなかった為に誤認させれない。

そして今回使ったのはフェイクシルエットの発展型、イリュージョンシルエット。

作り出した自分の幻影と位置を入れ替えるという一種の瞬間移動だ。
予め建物の中に自分の幻影魔法を配置していたレンはその幻影と入れ替わったのだ。

「まさかこれを使わせるなんてね」

[侮ってました、しかしこれはこれで嬉しいですね]

「うん、これは予想外に嬉しいね……」

なのはと共に訓練を見てきた者としては素直に嬉しい。しかし何か肩が重い、気になり肩を見てみると、

「フリード⁉︎」

「きゅる!」

[どうやら入れ替わりの際まで幻影はフリードと戯れてたんじゃないですか?]

幻影の方のレンもまさか入れ替わると思っていなかったようで暇でフリードと戯れていたのだろう。

フリード、それはキャロが使役する竜の愛称で本当の名前はフリードリヒ。
もしかしてこれは自分の負けではないのかとレンは思う。使役竜といえどフリードも立派な機動六課の一員だ、そのフリードに肩に乗られているのだから。

[どうやら我々の負けのようですね、作戦だったのでしょう、四人はこっちに真っ直ぐ向かって来てます]

どうやら最初からここに幻影を配置しているのはバレていたようだ。彼らの前でこの魔法を使った事がない筈だが何故か看破された事を不思議に思う。

「フリード、良くやったね!」

「きゅるう!」

四人は嬉しくて、今回の功労者であるフリードを撫で回している。

「はぁ、如何して僕がこの魔法を使えるって知ってたんだい?」

「えっと……」

「ティアナはレンさんのファンだから解決した事件とか全部見てるもんね、映像も資料も片っ端から見てそれを真似して頑張ってたんです、だから分かったんですよ」

「何言ってるのよ!この馬鹿スバルがぁ〜〜ーー!」

どうやらティアナはレンが解決してきた事件や事故の資料や映像を全て見ていたらしく、今回の鬼ごっこで不自然に配置された幻影に気付き今回の作戦を思い付いたようだ。
そこまで尊敬されると恥ずかしいがレンは素直に嬉しく思った。


「どうやらレンさんの負けのようだね」

「うん、今回はしてやられたよ。約束通り一人一つずつ何か出来る事で僕が何でもするよ」


「はい、じゃあ聞きたいんですがレンさんとなのはさんは本当にデキてるんですか?」

スバルがそう言い思わぬ攻撃にレンは吹き出してしまう。
待機モードのレイが光った様な気がするがそれ所ではない。

「だからデキてはないよ!それは誤解なんだ!」

顔を赤に染めそう必死に言うレン。
しかし一人では説得力が薄いので、

「なのはさんも言ってやって下さいよ!」

「ふぇ?な、なに?何を言うの⁉︎」

顔を真っ赤にしボーッとしていた様で明らかに聞いていなかったのだろう。
スバルからは疑いの目線が向けられている。

「本当ですかぁ……じゃあレンさんはなのはさんの事は嫌いなんですか?」

またもや思わぬ攻撃を受け更に顔を赤くするレン。
嫌いわけがない、わけがないのだが此処で好きと公言する訳にもいかない。
ぐぬぬぬ、と悩んだ末に絞り出した答えは…

「嫌いではない……何方かと…何方かというと好きな方だよ」

其処まで言った時レンとなのはは耳まで真っ赤だった。それはもうデキてるんじゃ…と思う彼らだが声には出さない。
レンがなのはを見ると直ぐに顔を逸らされとても気不味い雰囲気となる。しかし意外な人物によってその激甘な空間は破壊される。

「っと⁉︎きゃ、キャロ⁉︎」

「レンさん、私と明日はずっと一緒にいて下さい!」

その小さな可愛らしい竜召喚士の少女はまるで自分の物だと言わんが如くレンに抱き着きそう言った。
その顔は少し不安そうな表情が見え目尻には薄っすらと涙が浮かんでいる。

こうして小さな少女とエースオブエースとの大変なレンの1日が始まろうとしていた。






という事で修羅場突入か⁉︎

ティアナは今はレンの事を尊敬しているだけです。
今はという事は…まぁ想像にお任せします←