魔法少女リリカルなのは 原初の勇者   作:黒色狼
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103航空隊編
第1話


なのはが大怪我をして半年、必死のリハビリが功を奏し魔法を取り戻したなのは。
それからも管理局で活躍し目標である戦技教導隊への入隊も目前まで迫っていた……のだが

「高町なのは 二等空尉 本日を持って103航空隊への異動を命じる」

「はい、ふぇ?103航空隊ですか?あのエース部隊になぜ私が?私は戦技教導隊に…」

「それが上からの命令でな、何処かの部隊で経験を積んでからとの事だが103をコネで回してくれたのは君の友人、八神はやてだ感謝するといい」


ようやく教導隊に入隊出来ると思っていたなのはは凄く残念そうにしながら異動となった部署に向かっていた。

103航空隊と言えば知らない人はいないエース部隊だ。
103が出れば事件は必ず解決すると言われてるほどだ。それに魔力量はそこまで多くないが空戦SSランクの副隊長がいるのだ。彼は有名で管理局内でも屈指のエースで管理局No.1とも言われている。
そう名前は、ユウ レグラスだ。レアスキル空間制御を持っており転移や空間に関する魔法を得意とし主に二丁の銃のインテリジェンスデバイスとアームドデバイスの複合型デバイスを使うらしい。
そうなのはが考えているウチに航空隊の部署に着いていた。
部屋に入り隊長室で持ち前の明るさで元気に挨拶する。

「失礼します、本日をもって103航空隊に異動となりました高町なのは二等空尉ですよろしくお願いします!」

「ようこそ、103航空隊へ。君の活躍はよく聞いているよ。私は部隊長のリーガル ロウだ」

「それはありがとうございます」

そう言ってなのはは深く頭を下げた。

「そんなに畏まらなくてもいいぞ、此処は基本的に自由な部隊だ。やる時は本気だがな。それとこの部隊は基本ツーマンセルで行動してもらう。そしてお前のパートナーは……」

「僕は副隊長のユウ レグラスです、よろしくお願いし…」

そこで言葉が途切れた、ユウ レグラスの顔は物凄く驚き動揺していた。なぜと。

「え〜〜!、私がユウさんのパートナーですか⁉︎」

「ああ、彼は優秀だ。何でも聞くといい」

そう言うとリーガルは何処かに行ってしまった。

「えっと……高町なのは 二等空尉です。教導隊に入隊するまでですが、よろしくお願いします!」

自分もそこそこ有名なのだが目の前の人は管理局1と呼ばれる程の実力者だ、なのははガチガチに緊張していた。

「……ああ、よろしく。僕はユウ レグラス 一等空佐です」


《なのはが何故この部隊に…》

《もう運命の糸で結ばれてるのかも知れませんね、ユウ、もういいのでは?》

《僕はなのはに不幸を与えるだけだ、大切な人を守れない僕に彼女は相応しくない……》

そうユウ レグラスは久城 優なのだ。
なのはが管理局に入るので自分も入れば守りやすいという事で優も入っていたのだが気が付いたらエースとなっていた。
実は管理局とは別の活動もしているのだが此処では割合しよう。
ユウは本当は剣を得意としているのだが殆ど銃のデバイスを使っている、単純に正体がバレない様にともう一つの方で活動しやすくする為だ。


こうして長い時を得て二人は再開した。




「基本的にウチは重犯罪者とテロリストの鎮圧を目的として設立されたんだ。本部からの要請が無ければ基本動かない。それまで事務所で仕事かこうやって外に出てパトロール、何かあれば対応って感じかな、どうしたの?僕の顔に何か付いてるかな?」

「いえっ!そんな事は……」

(なんだろう…なんだが懐かしい感じがする……とても暖かい…)


[ユウのそのやる気のない顔に嫌気が指したんではないですか?]

「おい、デュナミス。お前は黙ってろ」

「えっと、今のは…」

「ああ、こいつは相棒のデュナミス。最近は小言が煩くて参ってるよ」

[デバイスのデュナミスです、ユウは寂しがりやなのでずっと側に居てあげて下さいね]

「ふぇ?」

デュナミスがまたいらん事を言ったのでなのはは顔を赤くし固まった。

「おいデュナミス!解体するぞこのポンコツが!」

[ユウにポンコツ扱いされたくありませんね]


この2人はお互いに文句をギャアギャア言い合っている。


(ユウさんもこんな感じに話したりするんだ…)

エースで真面目で何処か完璧に感じるユウにこんな一面があると知り少し緊張も解け笑顔を浮かべる。
そんな時、

[ユウ!、103からの収集命令です。一先ず部署に戻りましょう]

「え?どうしたんですか?」

「要は仕事が来たって事だよ、まぁ多分また厄介ごとの押し付けだろうけど」


ユウが言っていた事をなのはは理解していなかったが直ぐに知る事になる。









103航空隊の部署に戻ってきた2人は隊長に呼び出され隊長室にいた。

「今回は立て篭もったテロリストの鎮圧及び人質の救出だ。敵の数は凡そ15 、人質はその倍以上の40以上だそうだ。それに今回も……悪いがお前だけの出動になる」

「やはりそうですか……分かりました」

「え?どうしてですか?何故ユウさんだけの出動なんです?それにまたって…」

「どうやらレアスキルのお陰で実力も未知数のユウは上から危険視されてる様でな、あわよくば死ぬ様な任務や失敗を前提にしている任務を個人に回されるんだ、今回の様に敵に103の出動がバレると暴走する恐れあり、ユウ レグラス単体で任務を遂行しろってね」


そんな事がとなのはは驚愕に顔を染める。
こんな危険な任務を、無理な任務をいつもこの人は遂行しているのかと。

「私も……私も行きます!」

「高町さん?何を言ってるんだ?」

「そうか、それは助かる!ユウが無茶をしない様に頼んだぞ!」

「隊長まで!なんてこと言うんですか?これは危険なんですよ!」

そこで理解する、隊長がなぜなのはをユウの相棒にしたのかを。
エースオブエースと呼ばれる彼女ならユウに付いていけると考えたのだろう。

[ユウ、別にいいんでは無いですか?今回の任務は貴方の十八番です。一瞬でおわるのでは?]

「分かった……けど高町二等空尉、僕の側を離れない様にいいね」

「はい、ありがとうございます!」

そうして2人は現場に急行するのであった。





















現場に着いた2人を待っていたのは現場を指揮する陸戦部隊だった。

「すまないな、ユウ レグラス一等空佐。では簡単に説明するぞ」

「はい、お願いします」

そこで作戦内容はこうだ。
ユウ及びなのはがテロリスト15人を掃討、人質は40人以上を無傷で救出。
建物には爆弾が何処かに仕掛けられている模様。鎮圧前にこれを解除。テロリストのうち5人はAAランク以上の魔導師もいて質量兵器も装備してる模様。これを迅速に鎮圧せよというものだ。

なのははふざけてると思った。こんな大規模な任務は小隊が幾つも集まって本来するものだ。それをユウは一人でやっているのだ。

「高町さん、そこで見ていてくれ」

「けど私も……」

「大丈夫だ、一瞬でおわるから。デュナミス、いけるか?」

[私を誰だと思ってるんですか?貴方のデバイスですよ?]

「そうだったね、行くよ!セットアップ!」

[OK、セットアップ!]

ユウは主に黒で所々白、そこに青いラインが入ったロングコートのバリアジャケットを身に纏い手には双銃のデュナミスを持っている。

[爆弾捕捉しました、これはジャミングを掛けるだけで無効化できそうです]

「分かった、人質の場所も全て把握出来た。これより鎮圧を開始する。デュナミス、ファントムバレット!」

[行きます、Phantom barrette!]

建物に向かって何度も引き金を引くユウ、それからしばらくして。

[敵、全員沈黙。念の為バインドしておきますか?]

「ああ、頼む」

なのはは理解が追い付かず慌てふためいていた。

「え?どういう事ですか⁉︎敵沈黙って……」

「うん、今ので全て沈黙させた。今のはファントムバレット、目標と銃口の距離を空間を捻じ曲げてゼロ距離にして打つ魔法だよ。此方ユウ カジマ一等空佐だ、敵は鎮圧した。後は頼んだぞ」


なのはは思う。この人は本当に凄いと。一瞬で中の事を把握してみせた。空間認識能力は自分も有能な方だと思っていたがユウのは別格だと。そして敵を鎮圧してみせた魔法もすごかった。やはり噂通りの人物で自分が追いつくべき人間だとも思った。

《レイジングハート、見てたよね?》

《はい、見てましたがあの高度な感知魔法と空間認識能力は群を抜いてますね。極め付けはファントムバレットという魔法です。あれは分かっていても回避不可能でしょう》

(私もあんな風になりたいなぁ〜)

現場に後は任せ本部に連絡を遠くで入れているユウを見ながらそう思うなのはだった。
そんな時、

「あれ?君はエースオブエースの高町なのはだよね?何でこんなトコにいるんだい?」

一人の局員らしい人がなのはに喋り掛けてきた。顔はイケメンで魔力もそこそこありそうで典型的なエリート思考の人間だ。

「あ、はい。今日から103に出向になりまして、ユウさんの相棒を務めさせて貰ってます」

「それはなのはちゃんも大変だねぇ、あんな何でも出来ちまう天狗野郎と一緒なんて」

そう言ってなのはに寄ってくる局員。
いきなりなのはちゃんとか言われ少し寒気を覚える、それに今はかなり近くまで近寄られている。上官でなければ砲撃をお見舞いしているところだ

「あんな自分さえ良ければ良いやつなんかほってさぁ、俺と今から遊びにいかない?」

そう言ってなのはに触れてくる局員。

「いえ、その……困ります…」

本当に困るなのは、距離はほぼゼロだ。少しずつ触る場所もイヤらしくなってきた。

(うう〜、誰か助けて!)

そう思った時、一瞬視界がブレて気が付いた時はユウに肩を抱き寄せられていた。

「おい、お前。なのはに何をしようとした」

「うるさいなぁ、良いところだったのに。ただちょっと大人にしてやろうとしただけじゃんか」

そう局員が言った瞬間、その局員はぶっ飛んだ。そうユウが回避不能魔法、ファントムバレットを叩き込んだのだ。
今は地面に倒れのびている。


「次、なのはに触れてみろ。こんなもんじゃ済ませないぞ」

ユウは物凄く怒っていた、これでもかという程に。
それでなのははというと、

(私、ユウさんに抱きしめられてるぅ〜、しかもなのはって……)

顔を茹でダコの様に真っ赤にし軽くパニクっていた。

そこで冷静になってきたユウはなのはを抱き寄せている事に気が付き咄嗟に離した。

「うわ!ご、ごめん!」

「いえっ、此方こそありがとうございます」

それから気不味くなりお互いに無言になる。
するとユウが、

「取り敢えず、103に戻ろうか高町さん」

(さっきはなのはって呼んでくれたのに……)

そう落ち込むなのはだった。それに気が付かないユウはそのまま行こうとするが

[はぁ、ユウ。なのはさんが落ち込んでますよ。さっきは名前で呼んで貰えたのにって]

デュナミスがそこでそんな事を言い出した。

「えっ?僕、名前で呼んでた?」

[はい、呼んでました。俺のなのはに手を出したら息の根止めるって言ってました]

「んな⁉︎だからお前はいらん事をいうなぁ〜〜」

またギャアギャア言い合う2人である。

(うう〜、なんか物凄く恥ずかしいよ。けどなんだが暖かくて懐かしい……)

するとユウが

「ああ、もう!もう良いよ!ほら、早く帰るよ!なのは」

するとなのはは満面の笑みになり、

「はい!ユウさん!」

こうして2人は帰っていくのであった。