魔法少女リリカルなのは 原初の勇者 作:黒色狼
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リアルに一区切りついたので更新します。
たまたま今日は1日空いていたので、今日は書けました。
またちまちま更新していくと思いますがこの作品をよろしくお願いします。
第13話たまたま今日は1日空いていたので、今日は書けました。
またちまちま更新していくと思いますがこの作品をよろしくお願いします。
リリなの編 sts 14
「す、すごいね…」
「あれはもう凄いというより可笑しいの領域よ…」
ティアナとスバルは休憩の合間に今も訓練をしているキャロとレンのいる場所を見ながらため息まじりにそう言った。
その場所では凄まじい爆発が起こったり、翠とピンクの魔力光が輝いては消えてを繰り返していた。
キャロはあのガジェットとの一件以来、力をコントロールする事が出来る様になり特別メニューを今では週一でこなしている。
その後駆けつけたレンによりエリオの負傷はかなり軽いものとなり今では普通に訓練にも参加している。フェイトの方はエリオと比べ傷も多く、少し時間は掛かったが最近復帰した。
あの時にキャロが使ったのはドラゴンユニゾンといって通常のユニゾンとは異なるものである。
通常、ユニゾンはユニゾンデバイスとでしか行う事が出来ないがキャロは使役する竜とならばユニゾンする事ができ、魔力量、身体能力が飛躍的に上がる。
もちろん、魔法の威力も上がり一見かなり最強なのではないかと思われるが力には必ず代償がある。
膨大な力を発揮する代わりに使った後はその反動により魔力が枯渇しまともに動ける状態では無くなり、ユニゾンで活動できる時間も今では30分が限界なのだ。
そのユニゾンをもっと上手く使える様に今は週に1度、そのユニゾンの訓練をレンと行っているのだ。
あのガジェットとの戦闘の際、キャロは想護流 無手の型を使い見事に撃破してみせた。
基本的にキャロは身体能力は其処まで高くなく、凄まじい集中力と的確な判断を有する無手の型を素の状態では扱いきれないがユニゾンする事によってそれを補っている。
今はその無手の型は使っておらず、剣と銃のレイをそれぞれ持ったレン相手に模擬戦をしている。
強化されたキャロの魔法を幾度となく避け、自分の魔法で無力化するレンはさる事ながら一度も当ててはないものの、レンに何度か接近し、近接戦へと持ち込んでいるキャロは中々のものだと言えるだろう。
(私の周りはみんな天才や歴戦の勇者ばかり…私は…)
「私たちもキャロに負けてられないね、ティア!」
「へっ?そ、そうね…」
不意にスバルから呼ばれ慌てて平然を装うが、どうやらスバルは何も気づいていない様でホッとするティアナ。
「っと、エリオ?何処に行くの?」
「いえ、僕はもう訓練に戻ります。先に行ってますね。」
「ああ…行っちゃった…」
エリオは待機状態のストラーダを起動させそのまま歩いて行ってしまった。
その面影を見たティアナは何だかその感じを何処かで見た事がある様な気がしていた。そうこの感じは…
(何だか…自分自身を見ているみたい…)
何かに焦って余裕がない様子、まるで今の、過去の自分を見ている様だった。
しかしティアナにはどうする事も出来ない、自分自身余裕がなく他の人を構っている時間は無くなかった。
だがそんな事も訓練が再開されるとティアナは忘れてしまう。
只ひたすら己の力を示す様にティアナは足掻き続ける、この先に待つものも知らないで。
日も沈み、完全に静けさが辺りを包んでいるが不思議と不気味では無い。
そんな機動六課の裏にある雑木林の中、一人その手にもつデバイスを幾度の無く振り、動き回る影がある。
「ふっ、はぁ、せいやぁ」
ビュン、と空気を切り裂く音がその静まり返った雑木林の中に響く。
その小柄な体型には似合わない槍捌き、鮮麗された動きに軽やかな足捌き、どれを取ってもその年齢に似合わない動きを見せているだろう。
「はぁ、はぁ、こんなんじゃ……ダメなんだ。もっと、もっと速く…力強く…」
「中々の槍捌きだね。けど…動きに全然キレがないよ、エリオ。」
「レンさん……」
そんなエリオの前に現れたのはレンだった。
「僕はエリオの真っ直ぐで、それでいて意思のある槍が好きだった。けど今のエリオの槍からはそれを感じられないよ」
「止めないで下さい。僕は…僕はもっと強くならないと…」
そう言うエリオは手に持つ槍、ストラーダを強く握り締める。
その瞳は不安を感じながらも強く意思を持った光を放っていた。
「何も出来なかった、僕は何も出来なかったんです。やられて守られて……守られるだけなんて嫌だ!僕は、僕は自分の力で守れる様になりたいんです!」
「僕は止めやしないよ、多分なのは隊長はいい顔しないだろうけどね」
「止めないんですね…」
エリオは新型ガジェットが出てきた時に何も出来なかった事を悔やんでいた。それどころか同い年の女の子に守られたという事実がエリオは本当に嫌だった。
自分に力が無く、何も出来なかった事が本当に嫌だった。自分は守られる為に槍を手にした訳ではない、この手で、自分の力で目の前の人、レンの様に誰かを守れたら、そう思い槍を手にしたのだ。
しかしそんな焦った様子で無茶をするエリオを止めないレン。
「僕にはエリオを止める権利なんて無いよ、僕も昔はずっと力を求めて無茶を繰り返してたから」
「レンさんでも…ですか?」
「うん、僕には才能が無かった。だから頑張るしか無かったんだ。どうしても…どうしても守りたいものがあったから」
レン、いや優には才能が無かった。だからアベルと呼ばれる前から、呼ばれてもずっと、ずっと力を求めてもがき続けてきた。
それこそ血反吐を吐こうが、四脚が震え立つ事が困難で視界がぼやけようとも優はもがく事を止めなかった。
そんな事を繰り返してきた優、レンはエリオを止める資格なんてない。
「レンさんがそれだったら…僕はどうすれば良いんですか!僕は…僕は…」
まるで吐き出す様にそうエリオがそうレンに怒鳴りつける。
その瞳からは雫が流れている。
「じゃあ、エリオは諦めるのかい?」
「えっ?僕は…」
「確かに今やってる事は無駄かも知れない、努力なんて実らないのかも知れないし守りたいものも守れないかも知れない。だからって諦めるのかい、エリオは?」
レンはそうエリオに語りかける。
「僕は諦める事は絶対にしなかった、もがいて、もがいて…例え罵られようとも、もがく事を止めないよ」
「なんで……其処まで…」
「じゃあ何で今エリオはこうして無茶してるんだい?」
「僕は…自分の力で守りたいものを守りたくて…」
「守りたいんでしょ?なら諦めるな!守れないかも知れない、絶望するかも知れない、それでも譲れないものの為に…守りたいものの為に最後まで足掻く事を止めるんじゃない!」
そう言うレンの言葉には凄く力が籠っているようにエリオは感じた。守れないかも知れないし、もしかしたらこれは無駄なのかも知れない。
エリオは忘れ掛け、沈み掛けていた想いが蘇ってきた事を確かに心に感じ自然と笑みを浮かべる。
「そうでしたね…僕も足掻きますよ、どこまでも!守りたいものを守りたいから!」
「うん、其れでこそだよ。よしっ、じゃあ僕も付き合ってあげるよ」
無駄かも知れないし、意味もないのかも知れない。もしかしたら努力の仕方が違っていて目的地の逆方向に向かってるのかも知れない。
だからって諦めたら何も変わらない、何もしないで諦め絶望するなら、無駄でも足掻き続けて絶望した方が何倍もマシだ。
もしかしたら何か間違いが起きるかも知れない、結局は何かアクションが無ければ何も変わらないのだから。
そうして夜遅くまで槍が空気を切り裂く音が鳴り止む事は無かったという。
「す、すごいね…」
「あれはもう凄いというより可笑しいの領域よ…」
ティアナとスバルは休憩の合間に今も訓練をしているキャロとレンのいる場所を見ながらため息まじりにそう言った。
その場所では凄まじい爆発が起こったり、翠とピンクの魔力光が輝いては消えてを繰り返していた。
キャロはあのガジェットとの一件以来、力をコントロールする事が出来る様になり特別メニューを今では週一でこなしている。
その後駆けつけたレンによりエリオの負傷はかなり軽いものとなり今では普通に訓練にも参加している。フェイトの方はエリオと比べ傷も多く、少し時間は掛かったが最近復帰した。
あの時にキャロが使ったのはドラゴンユニゾンといって通常のユニゾンとは異なるものである。
通常、ユニゾンはユニゾンデバイスとでしか行う事が出来ないがキャロは使役する竜とならばユニゾンする事ができ、魔力量、身体能力が飛躍的に上がる。
もちろん、魔法の威力も上がり一見かなり最強なのではないかと思われるが力には必ず代償がある。
膨大な力を発揮する代わりに使った後はその反動により魔力が枯渇しまともに動ける状態では無くなり、ユニゾンで活動できる時間も今では30分が限界なのだ。
そのユニゾンをもっと上手く使える様に今は週に1度、そのユニゾンの訓練をレンと行っているのだ。
あのガジェットとの戦闘の際、キャロは想護流 無手の型を使い見事に撃破してみせた。
基本的にキャロは身体能力は其処まで高くなく、凄まじい集中力と的確な判断を有する無手の型を素の状態では扱いきれないがユニゾンする事によってそれを補っている。
今はその無手の型は使っておらず、剣と銃のレイをそれぞれ持ったレン相手に模擬戦をしている。
強化されたキャロの魔法を幾度となく避け、自分の魔法で無力化するレンはさる事ながら一度も当ててはないものの、レンに何度か接近し、近接戦へと持ち込んでいるキャロは中々のものだと言えるだろう。
(私の周りはみんな天才や歴戦の勇者ばかり…私は…)
「私たちもキャロに負けてられないね、ティア!」
「へっ?そ、そうね…」
不意にスバルから呼ばれ慌てて平然を装うが、どうやらスバルは何も気づいていない様でホッとするティアナ。
「っと、エリオ?何処に行くの?」
「いえ、僕はもう訓練に戻ります。先に行ってますね。」
「ああ…行っちゃった…」
エリオは待機状態のストラーダを起動させそのまま歩いて行ってしまった。
その面影を見たティアナは何だかその感じを何処かで見た事がある様な気がしていた。そうこの感じは…
(何だか…自分自身を見ているみたい…)
何かに焦って余裕がない様子、まるで今の、過去の自分を見ている様だった。
しかしティアナにはどうする事も出来ない、自分自身余裕がなく他の人を構っている時間は無くなかった。
だがそんな事も訓練が再開されるとティアナは忘れてしまう。
只ひたすら己の力を示す様にティアナは足掻き続ける、この先に待つものも知らないで。
日も沈み、完全に静けさが辺りを包んでいるが不思議と不気味では無い。
そんな機動六課の裏にある雑木林の中、一人その手にもつデバイスを幾度の無く振り、動き回る影がある。
「ふっ、はぁ、せいやぁ」
ビュン、と空気を切り裂く音がその静まり返った雑木林の中に響く。
その小柄な体型には似合わない槍捌き、鮮麗された動きに軽やかな足捌き、どれを取ってもその年齢に似合わない動きを見せているだろう。
「はぁ、はぁ、こんなんじゃ……ダメなんだ。もっと、もっと速く…力強く…」
「中々の槍捌きだね。けど…動きに全然キレがないよ、エリオ。」
「レンさん……」
そんなエリオの前に現れたのはレンだった。
「僕はエリオの真っ直ぐで、それでいて意思のある槍が好きだった。けど今のエリオの槍からはそれを感じられないよ」
「止めないで下さい。僕は…僕はもっと強くならないと…」
そう言うエリオは手に持つ槍、ストラーダを強く握り締める。
その瞳は不安を感じながらも強く意思を持った光を放っていた。
「何も出来なかった、僕は何も出来なかったんです。やられて守られて……守られるだけなんて嫌だ!僕は、僕は自分の力で守れる様になりたいんです!」
「僕は止めやしないよ、多分なのは隊長はいい顔しないだろうけどね」
「止めないんですね…」
エリオは新型ガジェットが出てきた時に何も出来なかった事を悔やんでいた。それどころか同い年の女の子に守られたという事実がエリオは本当に嫌だった。
自分に力が無く、何も出来なかった事が本当に嫌だった。自分は守られる為に槍を手にした訳ではない、この手で、自分の力で目の前の人、レンの様に誰かを守れたら、そう思い槍を手にしたのだ。
しかしそんな焦った様子で無茶をするエリオを止めないレン。
「僕にはエリオを止める権利なんて無いよ、僕も昔はずっと力を求めて無茶を繰り返してたから」
「レンさんでも…ですか?」
「うん、僕には才能が無かった。だから頑張るしか無かったんだ。どうしても…どうしても守りたいものがあったから」
レン、いや優には才能が無かった。だからアベルと呼ばれる前から、呼ばれてもずっと、ずっと力を求めてもがき続けてきた。
それこそ血反吐を吐こうが、四脚が震え立つ事が困難で視界がぼやけようとも優はもがく事を止めなかった。
そんな事を繰り返してきた優、レンはエリオを止める資格なんてない。
「レンさんがそれだったら…僕はどうすれば良いんですか!僕は…僕は…」
まるで吐き出す様にそうエリオがそうレンに怒鳴りつける。
その瞳からは雫が流れている。
「じゃあ、エリオは諦めるのかい?」
「えっ?僕は…」
「確かに今やってる事は無駄かも知れない、努力なんて実らないのかも知れないし守りたいものも守れないかも知れない。だからって諦めるのかい、エリオは?」
レンはそうエリオに語りかける。
「僕は諦める事は絶対にしなかった、もがいて、もがいて…例え罵られようとも、もがく事を止めないよ」
「なんで……其処まで…」
「じゃあ何で今エリオはこうして無茶してるんだい?」
「僕は…自分の力で守りたいものを守りたくて…」
「守りたいんでしょ?なら諦めるな!守れないかも知れない、絶望するかも知れない、それでも譲れないものの為に…守りたいものの為に最後まで足掻く事を止めるんじゃない!」
そう言うレンの言葉には凄く力が籠っているようにエリオは感じた。守れないかも知れないし、もしかしたらこれは無駄なのかも知れない。
エリオは忘れ掛け、沈み掛けていた想いが蘇ってきた事を確かに心に感じ自然と笑みを浮かべる。
「そうでしたね…僕も足掻きますよ、どこまでも!守りたいものを守りたいから!」
「うん、其れでこそだよ。よしっ、じゃあ僕も付き合ってあげるよ」
無駄かも知れないし、意味もないのかも知れない。もしかしたら努力の仕方が違っていて目的地の逆方向に向かってるのかも知れない。
だからって諦めたら何も変わらない、何もしないで諦め絶望するなら、無駄でも足掻き続けて絶望した方が何倍もマシだ。
もしかしたら何か間違いが起きるかも知れない、結局は何かアクションが無ければ何も変わらないのだから。
そうして夜遅くまで槍が空気を切り裂く音が鳴り止む事は無かったという。
はい、男なら頑張れという話でした。
エリオ君にはがんばって欲しいですね、誰も求めて無いかもしれないが諦めるなエリオ!