魔法少女リリカルなのは 原初の勇者   作:黒色狼
<< 前の話 次の話 >>

28 / 30
とても遅れてしまい申し訳ありません。

一区切り付いたので更新です、ただまだ忙しいので更新ペースは落ちると思います。

戦闘回です、キャロさんがやってくれました←


第12話






眩いピンク色の光が車両内を明るく照らす。
フェイトに向かって質量兵器、ミニガンを乱射していた新型のガジェットは動きを止め突然強い魔力と共に光を放っている方に向き直る。


「うぅぅ、これは…キャロ?」


銃弾の雨を縦横無尽に駆け回り回避していたフェイトもその足を止め全身ボロボロで、至る所から出血する身体で膝を付きその光が放たれている場所を見る。


そしてその光が霧散し1人の少女が姿を現わす。

その背中には翼が生え、バリアジャケットも全身変わっており今は白銀とピンクが入り混じり先ほどの物より機動性が増している様に見える。

そして明らかに違うのはその魔力の質。

通常時のキャロの魔力は抱擁感があり、包み込む様な感覚を思わせるのだか今のキャロの魔力は何処か荒々しく爆発的な何かを秘めている様に感じる。

此れがキャロの力、余りに強過ぎて制御も出来ず誰かを傷付けてしまうのではないかと恐れていた力。


ドラゴンユニゾン。
使役する竜とユニゾンする事でその力を発現させる。


しかしガジェットはそんな事もお構いなしにそのミニガンの銃口をキャロへと向ける。


「キャロ!避けて!」


フェイトがそう叫ぶがガジェットは無慈悲な銃弾の雨をキャロへと放つ。
最大秒間100発もの銃弾を放つ事が出来るミニガンを幾つも乱射しその弾はキャロへと迫る。
この銃弾を受ければ間違い無くその身体に無数の穴をあける事になるだろう。


「ドラゴンセンス…」


キャロが片手を上げ手のひらを広げてその様に言うと障壁の様なものがその手から発せられる。
その障壁に無数の銃弾が貫かんばかりの勢いで甲高い音を発しながら当たるが障壁は破れない、何秒か耐えた所で障壁にヒビが入る。流石にこのミニガンの威力には耐えれない様だが数秒耐えただけでも十分だろう。


「ブーストアップ…ドラゴニックアクセラレーション」

障壁が破れると同時にキャロが魔法を詠唱し終わる。
本来、自分にブーストアップの魔法は使えないのだがドラゴンユニゾンしたキャロは自分にも強化魔法を掛ける事が出来る。

するとキャロの両手両足、翼がピンク色の魔力に包まれる。
だが目の前にはミニガンの銃弾が迫っている、1秒にも満たない内に自分へと当たるだろう。

キャロは咄嗟に横へステップしそれを躱す、次の瞬間キャロの姿はぶれガジェットの目の前へと移動していた。


「は、はやい!」


フェイトもスピードには自信があるがあのスピードは自分のトップスピードに迫るスピードだ。
しかもそれを予備動作無しで出しているのだから驚くのも無理もない。


ガジェットの目の前まで近付いたキャロは前方に付いているミニガンにその魔力が纏われた拳で横から弾く様に殴った。
するとガジェットに付いていたミニガンはガジェットから切断され遠くに飛んでいく、そして器用にくるっと回転し空中で逆さに回りながらも反対側に付いているミニガンを同じ要領で蹴りガジェットから切断する。

しかしガジェットも黙ってやられているだけでない。
その、後部に幾つもある手の様な触手をキャロに向かって振り下ろす。
その触手には刃が付いておりまともに受ける訳にはいかない。
蹴りを放ち、隙が出来たキャロに向かってその触手が幾つも迫る。がその背中に付いた翼を羽ばたかせ後ろに下がり回避する。


それの距離を即座に詰め追撃と言わんばかりにガジェットは触手を振り下ろす。
それに合わせ魔力を纏わせた手のひらで横に弾き受け流す、幾つも振り下ろされるが身体を逸らし躱したり、その両手で器用に全てを受け流すキャロ。


そして何回かそれを繰り返した後、同じ様に振り下ろされた触手を掴み流れる様にガジェットを反対側の壁に投げ叩きつけた。


「想護流…無手の型…レンさんに教わった想いを形にする力…私には如何なる攻撃も通りません!」


レンがキャロに教えたのは想護流、無手の型だ。察しの通り素手で戦う戦闘術でその本質は流と発。

如何なる攻撃も受け流し強力な発で一撃を放つカウンター型の戦闘術。
誰かを守りたい、誰かを救いたい、誰かの為に戦う者だけが使えるレンが編み出した想護流の一つの流派だ。


壁に激突したガジェットだがその程度では壊れはしない。
また直ぐに今の敵、キャロへと迫る。
幾度と無く触手を振り下ろすが全てキャロは受け流す。


「すごい…けどこのままじゃ…」


確かに全ての攻撃を受け流し無効化しているのは凄まじい、だがそれだけでは埒があかない。ガジェットを倒さない限りこの攻防は終わらないし防御していてもガジェットは倒せない。
それに少しずつだがキャロの魔力が弱まりつつある、魔力は無限ではない有限だ、いつしか底をついてしまう。


それでも受け流す事を止めないキャロ。
そう全ては一撃の為に。


すると振り下ろされた触手をキャロは身体を少し逸らすだけで躱し、次に振り下ろされる触手を挟む様に掴みそれを後ろに回転させ投げ、ガジェットは完全に宙に浮き動きを封じた。


想護流 無手の型に奥義は二つしか存在しない。
一つは完全に相手の攻撃を受け流す、流全。
そしてもう一つ…







キャロは腰を低くし右手の拳を強く握りしめ後ろに引く。放つは一撃必殺の奥義、己の想いを形にする力。

もう弱い自分ではない、守られるだけの自分ではない。
今度は自分が守ってみせる、あの人のように…






「私の想い、受け切れるなら受けきってみて下さい!想護流…勇護心全発!」




完全に動きを封じられたガジェットにそのありったけの想いを乗せた拳を叩きつける。
強い輝きと想いを秘めたその拳はガジェットを跡形も無く消し飛ばし、車両半分が吹き飛んだ。


勇護心全発、想護流 無手の型の奥義で残り一つの奥義だ。
相手の防御を全て抜き、内側に直接ダメージを与える一撃必殺の奥義。


カウンター型の無手の型は全てこの発を相手に与える為だけに攻撃を受け流し動きを完全に見切る。
此れが流と発の究極の型。



「私…やり……ま…し……た…」



全てを乗せ一撃を放ったキャロはその場で倒れユニゾンも解けた。


こうして力を解放したキャロにより新型ガジェットは殲滅された。