魔法少女リリカルなのは 原初の勇者   作:黒色狼
<< 前の話 次の話 >>

27 / 30
今回はレンに魔改造されたお二人がご活躍します←


第11話




無事に列車の両端に着いたスターズとライトニング。
向こうの空では翠色の魔力光が輝いている、なんだかそれを見るだけで自分に不思議と力が湧いてくる。
それに今回は訓練の時とは違い実戦だがそれぞれの隊に隊長が付いてくれている、スターズならなのは、ライトニングにはフェイトがいる。ガジェット如きにそんな機動六課のフォワードメンバーを止められる筈が無い。




スターズのなのは、スバル、ティアナが車両内部に入ると予測通り大量のガジェットが蠢いていた。


「スバル、ティアナ!右側の4機に注意しながら中央の敵からいくよ!」


なのはがそう言うと頷き直ぐさまスバルが中央を突っ切るようにウイングロードでかける。左側からスバルを狙うガジェット2機が攻撃態勢に入るが桃色の魔力弾、アクセルシューターがガジェットを襲う。


言うまでもないがこの魔法はなのはのものだ、センターガードであるなのはは主に中距離、遠距離の魔法で単独で敵陣をかけるフロントアタッカーを援護して、視野を広く持ち次にどんな魔法を如何に早く使うか、フロントアタッカーをどう導くかが問われてくる。このポジションはティアナも一緒であり、少しでも自分の物にしようとなのはを戦況を良く見ながらティアナは待機している。


沈黙したガジェットを横目にスバルは目の前のガジェットへと更に加速する。そしてガジェットへと真っ直ぐ振り下ろされたスバルの拳はガジェットを吹き飛ばし穴を開け沈黙させた。


「すごい…これがお前の力なんだね」


「ほら、ボサッとしてないで次来るわよ!」


スバルは自分の使う新たなデバイスで相棒の力に歓喜している所をティアナに呼ばれ再びガジェットへと向き直る。

次は先ほどとは違い数が多く8機ものガジェットが魔力弾を周りに作成しまさに此方に放とうとしている。
スバルは直ぐさま回避をしようと身体を捻り広く空いているスペースの方へとステップで移動する。しかしこのガジェットの数で魔力弾を放たれれば回避は難しいだろう。

その時、ガジェットの横から大量の魔力弾が飛んで来た。それに気を取られガジェット達は相殺しようと魔力弾を其方に放つが魔力弾はぶつからずにすり抜けてしまった。すぐにガジェットは回避行動を取り、AMFを張るがあろう事か魔力弾はまるで影響を受けて無いかのように直進する。

そんな大量の魔力弾を躱す事が出来る程の機動性は無いので普通なら当たるのだが当たる寸前で魔力弾は消えてしまった。

しかしそれから1秒も満たない時間に桃色の輝きがガジェットを一気に呑み込む。


なのはのディバインバスターだ。
その直撃を貰い、ガジェット達は全て動きを止め沈黙した。


「流石はティアナだね、もうレンさんに教えて貰った魔法を使えるなんてね」


「いえ、私はまだまだです。今もクロスミラージュの補助があってやっとですから、それにレンさんは本物を混ぜたり自分や仲間でさえ同時に生み出して、本当に一つの戦況をそのまま創り出している様なのでもっと訓練が必要ですね」


そう今使われていた魔法はティアナがレンに教えて貰った幻影魔法であるフェイクリンカーだ。

ティアナも自分なりに工夫し、幻影の魔力弾を作って放ったりもしていたのだが精度と溜めの時間が長く余り効率も良くなかった。
其処でレンがティアナに教えたのがフェイクリンカー。

先ほどティアナが述べたように偽物の戦況を生み出し相手を錯乱させる魔法で普通に幻影を生み出すのと違う点は掛けられている対象にしかその幻影が見えない事。

ティアナがやったのは魔力弾の雨を大量にガジェットへと放ったと見せかけたのだ。
幻影を一つ一つ生み出すのではなく、魔力弾の雨を一つの幻影として生み出した為に効率は一つ一つ作るのとは違いかなり良い。
レンが使うと魔力弾の雨の中に本物を入れたり、その中でもスバルが追撃を仕掛けてる様に見せ尚且つ壁をブチ破り他の仲間が援軍で来たかのようにも見せられる。

ティアナが言った通り、本当に偽の戦況を丸ごと自在に創り出せるのだ。

スターズはそんな連携を早速見せ好調にスタートを切ったのである。









その頃、ライトニングは…


「くっ、エリオ!キャロ!」


「うぐぁぁ…」


「エリオくん!しっかり!」


エリオは横腹から大量に血を流し、背中をヘコんだ車両の壁へとつけ痛みが激しいのか横腹を押さえ苦しそうにしている。
その近くにボロボロになり所々煤けたバリアジャケットを身に纏ったキャロがエリオを守る様に立っていた。


彼らも最初は連携も上手くとれており好調だった。あれが出てくるまでは。


フェイトが今も動き回り相手の厚い弾幕を掻い潜りながら躱し、手に持つ長年の相棒であるバルディッシュのライオットブレードを振り弾を防いでいるが左手からは血が流れており状況はかなり不利だろう。


全長3mはあるだろうと思われる新型ガジェット。
その背中には幾つもの腕の様なものがあり一つ一つ魔力刃…ではなく実刀が付いていてあろう事か幾つもの質量兵器が正面、それから腕に搭載されており実弾を撃ってくる。
それに強力なAMF付きだ。


いきなり現れた新型にエリオはかってが違う質量兵器を諸に受けてしまい致命傷、フェイトは近くにいたキャロを庇い左腕を負傷してしまった。
それからフェイトは注意を引きつけながら新型と対峙しているが左腕の傷が深く絶えず血を流し徐々にその体力を削っていく。
それにAMFの所為で魔法の類は殆ど通らない、物理的な攻撃も装甲が硬すぎて全く通らず非常に不味い状況だった。


それに新型に搭載されている質量兵器はミニガンだ。
最大で秒間100発もの弾を撃つ事が出来て、生身の人間が直撃を貰えば直ぐにその命を散らす事になるだろう。
それを躱し、防御するフェイトは流石と言えよう。しかし完全に回避する事は出来ず徐々に身体に傷は増えていく。
このままでは致命傷を負わずとも出血量が致死量に達してしまうのも時間の問題。



「キャロ!エリオを連れて此処から脱出して!私は此奴を引き付けるから、その間に応援を呼んで!」


フェイトは銃弾の雨を躱しながらそう叫ぶ。
しかしキャロとエリオが脱出し、応援を呼んでも恐らく間に合わないだろう。
それ程にフェイトの傷は酷いしもう肩で息をしている状態なのに長くは保たない。


キャロはどうすれば良いか分からなかった。
このままエリオを連れて脱出すれば間違いなくフェイトは助からない、だからと言って自分がフェイトの役にたてるのかと言われるとそうでもない。
それにエリオ自身も重傷を負っている、できるだけ早く治療をした方が良いのは目に見えている。念話も遮断されているのか通じない。せめてフェイト隊長のリミッターが無ければと思うがそれも今となっては遅過ぎる。


(どうすれば……私は…どうすれば…)


キャロには何方かを見捨てるという選択肢は選択出来なかった。
しかし力の無い自分では何もする事も出来ない、目の前で苦しむ人を守る事は出来ない。


『僕は守りたいんだ…大切な人やこの世界を…』


そんな時に頭に浮かんで来たのはキャロの目標でもあり想いを寄せるあの人の事。
何処か深い、深い悲しみを秘めている瞳に同時に輝かんばかりの光、そして優しさと暖かさを秘めているそんな人。



(レンさんは……どんな時だって諦めない…必ず守ってくれる…なら私も!)



自分に何処までやれるか分からない、だが何もしないで失うなんて嫌だ。レンのように強くあろうとキャロはガジェットへと向き直る。


キャロには力がある。
しかしそれを恐れ未だに制御が出来ていない。だが今使わなくていつ使うのか、それにあの人は言った。



『君の力は守る為の力だ、僕が教えるのはそんな想いを形にする力。キャロが本当に守りたい、そう思った時に使うんだ。いつかキャロが自分の力を制御出来るようになったその時に…』



あの人はそう言った、この自分の力は守る為の力だと。
それにその人にその想いを形にする力も教えてもらった。なら今がその時。


「私は……守ってみせる!来て!竜魂召喚!」


キャロは特大の魔法陣を展開する。
これが竜召喚士としてのキャロの本来の姿。
そして出て来たのは巨大な白い竜、フリードであった。


「フリード…私…もう恐れない…守りたいものがあるから、だから私に力を貸して!」


そう言うキャロに本来の姿へと戻ったフリードは頷く。


「いくよ!フリード、ケリュケイオンも力を貸して!竜の力よ、私に応えて…ユニゾン……イン!」






キャロはずっと封印していたその力を使う守りたい者がそこにいるから。






キャロのこのユニゾンに関してはまた次回の更新の際に詳しく書いておきます。タグにも追加します。


次回、キャロの無双回?