魔法少女リリカルなのは 原初の勇者   作:黒色狼
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Xmas記念として書きました。
まぁ周りがイチャコラしてる中でこんな事書いてる自分がとても悲しくなりました…

完全に物語とは別のお話です。
パラレルだと思って下さい。



番外編 Xmas記念 優となのは Xmasデート





寒空の下で白い綺麗な雪が舞い落ちてくる中1人の青年は、はぁと白い息を手に吐き広場の時計を見て時間を確認する。
時刻は朝の9時半を指していた、待ち合わせの時間は9時でとっくに過ぎている。


過去、彼女と待ち合わせした時に1時間も前から彼女が待っていた事があり今回、青年は1時間15分前から待っているのだが一向に姿を現さない。
今日は12月25日クリスマスの日であり見渡すとかなりの数の男女、カップルがいて手を繋ぎ身体を寄せ合う姿が視界に入ってくる。


この寒空の下で1時間以上も待たされているのだから流石に辛いものがある。しかし彼女はおっちょこちょいで少し天然ではあるが約束は必ず守る、まだかまだかと青年が待っていると遠くから栗色の髪をツインテールにしそれを上下に揺らしながら此方へと走ってくる彼女が見えた。


此方を見つけると彼女は青年へと手を振る、がそれがいけなかった。
地面には深くはないが雪が積もっており滑りやすい、彼女は雪に足を取られ前にいる青年に向かって飛ぶ様に盛大にこける。


「うわぁっと!大丈夫、なのは?」

「にゃはは……ごめんね私は大丈夫だよ優くん。けど…その手は退けて欲しい…かな」


(手?そういえばこの柔らかい感触は何だろう)


優はその柔らかく弾力のある感触が何なのか分からず握ったり開いたりしていると、


「ん、ひゃあ!ゆ、優くん!ダメだってば!」

「ご、ごめん!」


倒れた時に見事になのはの胸を鷲掴みにしていたようで気がつくと優は即座に其処から手を離す。
手をクロスにして胸を隠すようにし、顔を赤くするなのは。


「その……ここじゃ駄目だよ…人がいっぱいいるし恥ずかしいよ…」

「ごめん……」


優も顔を赤くしそう謝った。だが先ほどなのはが言った言葉が優の頭の中で整理される。


(ここじゃ駄目って…なら此処じゃなければ…)


ごくんっと唾を呑み込む優。
そうなのはは此処では駄目と言ったのだ、それならば此処でなければ良いのだと捉える事も出来る。
またあの柔らかい感触を堪能出来るのかと思うと…

(駄目だ!久城 優!お前はそんな軽い男で良いのか、耐えろ…耐えるんだ…)

優の理性があと少しの所でその思考を止めさせる。


「遅れちゃった私が悪いし気にしなくて良いよ!」

「へ?あ、いや、本当にごめん!」


優が己の中の野心と戦っていたとも知らずそう声を掛けるなのは。
優が何かを考え思い詰めている様な顔をしており気に病んでいると思ったのだろう、そうでなく場所を変えて襲うか襲わないかを必死になって抑えていただけなのだが。


「それは遅れちゃったお詫びという事で!その……もしかして嫌…だった?」


「そ、そんな訳ないよ!いや、寧ろありがとうと言いたいよ!」


そんな事を涙目になって言ってくるものだから優はそう言ってしまった。
両者黙りとしてしまい気不味い雰囲気となる。


(付き合ってそれなりに時間が経つのに全く手を出してくれないんだもん……もう少し気付いてくれたっていいんじゃないかな…)


そう思うなのは。
実はこの二人、付き合っていたりするのだが優が奥手でなかなかなのはに手を出さずそういう行為は全くした事がない。キスも1度しかしていないというなんとも優のヘタレっぷりが垣間見える。


なのはも何度もそういうアピールをしているのだが優は手を出してはくれない。確かに大事にしてくれるのは嬉しいが、女の子にこんなに色々されているというのに動じない優になのはもため息を吐くしかなかった。
なので今回は攻めて攻めて優の理性を吹き飛ばせ作戦をはやてと共に考えてきたのでそれを実行するつもりである。


「此処で立ってても寒いだけだし、早速行こうよ!ほらほら、今日は私をしっかりとエスコートしてね♪」


「う、うん。任せてよ。じゃあ行こうか」


そう言って早速なのはは優の腕へと抱き着いた。その時の笑顔で優はまたドキッとしてしまったが何とか平然を装い歩き始める。













「見て見て優くん!これ凄くかわいいと思わない?」

「うん、凄くかわいくてなのはにとても似合いそうだけど…僕、外で待ってたら…」

「駄目だよ、折角のデートなんだからずっと一緒に居ないと駄目!」


逃げようとする優の逃げ道を即座に潰すなのは。
彼らは今、都内で有名なデパートのランジュリーショップにいる。


『優をランジュリーショップに連れ込むんや!其処で自分に似合う下着選んで貰ってそれを見せる!そしてそのまま試着室へと引きずり込んで抱き付けば流石の優も一発KOやろ!』


これははやて談である。


今まさにその作戦を決行しようとしている。
優に選んで貰った白色の下着を身に纏いよし、と一度1人で姿を確認し頷く。
そしてなのはは試着室のカーテンを開けた。


「どう…かな?」

「とても良く似合ってるよ、やっぱりなのはは白色が良く似合うね」


そうニコッと笑みを浮かべながらそう言う優。それを聞いたなのはは耳まで真っ赤になる。
やはり真っ正面からそう褒められると恥ずかしいし笑顔でそう言われときめいてしまった。

「あ、ありがとう…じゃあ着替えるから待っててね」

そう言ってカーテンを閉める。

(うう〜、あれは反則だよぉ〜。私がドキドキしちゃったよ)

作戦は失敗したが褒められたのは素直に嬉しくにやけ顏が止まらない。
カーテンがあってよかった、さぞ今の顔は間抜けな顔をしていただろう。



(あ、危ない…マルチタスクを20分割して素数を数えてなかったら危うく…)


レジで先に会計を済まし外に出た優はそう一息を付いた。
自分がこの世で一番愛している女性の下着姿だ、興奮しない方が可笑しい。白い下着はとてもなのはに似合っており恥じらう姿とマッチしており最高にかわいかった。


「お待たせ、ありがとうね。買って貰っちゃって」

「そりゃ此れでも僕はなのはの彼氏だからね、それぐらい何でもないよ」

「ふふふ、それは頼もしい彼氏さんだよ」


そうやって再び定位置と言わんが如く優の腕に抱き着くなのは。






次はお昼ご飯だ。
元から行く場所は決めており、其処はお洒落な雰囲気が漂うお店でメニューに値段は書いていない。知らずに頼めばそれだけで1か月の食費になるのではないかという程のお金が無くなる羽目になるのだが幸いお金には困っていないので普通に注文する二人。


続々と運ばれてくる料理はどれも見た目からして高そうである。
それを普通に食べてみせる所を見るに二人は相当VIPなのだろう。正面に座る優の様子をチラッと伺うなのは。


『お昼のランチタイムはアピールタイムと同義なんや!そこでや!優のほっぺか唇でもどこでもええけど何か付いてると言う事にすんねん、それを自分の口で取るんや!その時に舐める様に取るのを忘れたあかんで!』


これもはやて談である。
もちろん様々の事を完璧にこなしてしまう優に食べカス等が付着する事なんて考えられない。だが付いてると人は言われると確認してしまう、それをさせる前にしてしまえば良いだけの事。


「あっ、優くん。ほっぺに何か付いてるよ」

「えっ、そんな筈は…」

「ちょっと待って!私が取ってあげるね」


そう言って席を立ち優へと近付いていくなのは。後ろから近付く様にしている為に優には気付かれない。
目の前に優の顔があり、息づかいだけで気が付かれてしまう様な距離。なんだか逆に意識してしまい此処で躊躇ってしまう。

今年一年、本当に色々な事があった。その中で見事に優とこうして付き合う事も出来た。なのなとしては幸せいっぱいなのだが出来ればもう少し思い切って欲しいと思う。
愛おしくて大好きな優、今でこそヘタレっぷりが目に見えるが普段は凄く頼りになり、自分を幾度と無く守ってくれた。


「ん……」

「んなぁ!な、なのは⁉︎」


そう思うと自然とほっぺにキスをする事が出来た。

「ふふ、此れで取れたね♪」

そう、とびっきりの笑顔で言うなのは。
そんななのはを見て優は雷に打たれたのかという様な表情を浮かべ顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまう。


「…そんなのずるいじゃないか…」

「えっ?今なんか言った?」

「な、何でもないよ…」

「う〜、教えてくれても良いじゃない」


そんな風に頬を膨らまして怒ってますという顔をされてもかわいいだけなんだがと思う優である。
それに単純に優は見惚れていただけだ、なのはの眩しい笑顔に。







そうして楽しい時は直ぐに過ぎていく。
なのははその中で何度もはやてと考えた作戦を決行するが難攻不落である優の理性は崩せずいた。
そしてもう時刻も午後の9時を回っており、Xmasデートで行く予定だった場所は全て周り尽くしなのはは流石にもう無理だと思っていたがそれでも自分の心は満たされていた。優と一緒にいるだけでそれで、その存在を自分の近くで感じるだけで自分は幸せなんだと思う。


「おっと、この辺で良いかな…」

「えっ?優くん、此処で止まってどうするの?」


陽も落ち辺りもすっかり暗くなっており空から降ってくる雪が幻想的に見える。
そんな街中を歩いていると突然優が歩くのを止めたのでどうしたのかとなのはも立ち止まる。


「まぁ、そこでじっとしてて……ほい!」


優が指をばちんと鳴らすと次の瞬間、先ほど見ていた街の風景でなく昔懐かしい場所へといつの間にか移動していた。


「わぁ!優くん!あんな所で魔法使っちゃって良かったの?それにここって…」

「うん、僕となのはが初めてあった場所…海鳴公園だよ。魔法は…まぁばれなきゃ大丈夫、それに最悪クロノに頼めば良いんだし」


そう其処は優となのはの出身地でもある地球、そして海鳴市の海鳴公園だった。
魔法は許可無しに使う事は禁じられているのだが顔が効く優は提督であるクロノに頼めば良いだろうと苦笑いを浮かべる。


「その…僕…ずっと考えてたんだ…」


優はなのはへと向き直り喋り始める。


「僕は君を…なのはを守りたい…」


その胸に秘める想いを少しずつ言葉にしていく。積もりに積もった想いは言葉では表しきれない、それでも優はなのはに伝えたい、この想いを。


「僕の大好きなその何よりも眩しい笑顔を守りたい…」


その笑顔を思い出すだけで頑張れた、まるで冷え切った自分の心を暖めてくれるようなその輝かんばかりの笑顔を守りたい。


「だから僕は決めたんだ、なのはの側にずっといるって…だから…」


ずっと悩んでいた、そんな太陽の様にみんなを照らしその暖かさで包み込むなのはの側に自分は居ていいのかと。
こんな自分はずっと相応しくないと思っていた、それでも優はなのはが大好きなのだ。
ずっと側でその笑顔を守りたいそう思った。
だから…































「僕と…結婚してくれ…」




その言葉聞いた瞬間、視界は自然と歪む。これは涙だ。しかし悲しみから来るものではない、これ程嬉しいことはあっただろうか。

気が付いたらなのはは優へと抱き着いていた。今までもずっと側にいた、けどこれからは本当の意味で心も身体も一つになれる。
それが堪らなく嬉しい。

そして見つめ合う二人。





そしてお互いの顔の距離がゼロになる。


此処からだ、彼らが本当に幸せになるのは。


降り注ぐ雪はそんな二人を祝福しているかのように舞い散り続けていた。











そんなん書かないでさっさと更新しろよと思った貴方。
すみません、書きたかったんです←

出来れば明日にでも最新話を投稿出来たらと思ってますのでどうぞこの作品を此れからもよろしくお願いします。