この剣は君の為に〜Sword Art Online   作:黒色狼
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少しお話は進みます


そして伝説のあのお方がログインします()


第15話








saoの中にも天気は存在する、雨が降る時もあれば風が強い日もある。

そして今日 12月24日
35層では雪が降っていた。



「本当に行くんだナ?」


「あぁ……」



黒い一張羅を着込み白い息を吐きながらそう答える少年。その顔は酷くやつれ疲れが溜まっている様にも見える。


「お前休んでないだろ、また連続でフロアボスに挑むとかアホな真似はしないよナ?」


「……」













この少年、実は28層から38層までのボスをソロで攻略しているのだ。
当日何の会議もされていないのに連続でフロアボスが攻略された事で何が起きたんだとパニックになっていた。急遽レイドを組みボス部屋に行くとそこにいたのはたった1人の少年。

そう彼は有名な御神流の剣士、アインクラッド1の剣士であると言われておりその側にいる金髪の少女を守るように付き添っている事で有名だ。

しかし周りを見ても金髪の女の子はいない、それどころかボスもいない。ずっと一緒にボスを攻略してきた攻略組として彼の実力を知ってる者は多い、だがここまでとは誰も思いもしない。


だから誰か分からないが聞いたのだ



お前はこれまで手を抜いていたのか、と



だから少年は答えたのだ、そうだと。





それからは言うまでもない、他のものから化け物扱いやチーター扱いをされたり近づく者はいなくなった。





「アリちゃんが泣いて頼まなかったらお前ずっとソロでボス狩ってただろうナ」


「……」


だが少年、キリトは答えない。
あの時だ、人をキルしてしまった頃からキリトは変わった。

プレイヤーをキルしてしまったとはいえ完全に正当防衛、それにやらなければみんな殺られていただろう。
礼を言う人はいても批難する者はいなかった。

だがそれ以来、キリトはずっと人を避けてソロを貫いている。




「アリちゃんは……」


「もういい、俺は行く」



まるで逃げるようにキリトは転移して消えてしまった。ずっとあれからキリトはアリスを避け続けている。
辺り一面真っ白な風景、しかし人々は何処か慌ただしい。まるで荒らしの前の前兆かのように。

















今日はクリスマスイブである、世の中のリア充と名のつく人々は今頃ちちくりあっている頃だろう。だが残念ながらここはゲームの中、少なからずカップルや結婚している者はいるが数は少ない。

ゲームはゲームなりにクリスマスイブを盛り上げてくれる、色々なゲームはそういう記念日等にイベントが開催されると思うがsaoも例外ではない。

このクリスマスイブにだけ現れるボスが蘇生アイテムをドロップする、そんな噂がアインクラッドでは蔓延していた。
だがそのボスの出現場所が分からずみんなこぞって探しているのである。

だがキリトは情報屋から情報を買い、もっとも出現場所と有力である迷いの森にある一本杉に向かっていた。






が、どうやら先約がいるようだ。既にボスと戦っていた。蘇生アイテムは欲しかったが先約がいるのでは仕方がない、見る限りボスのHPはもう残り僅か。プレイヤーが殺されそのお零れを貰う事はなさそうだ。


ここにもう用はない、そう立ち去ろうとした時



「ちょっと待て」



パリィンと音がしたのでボスを倒した直後だろう、そのプレイヤーが話し掛けてきた。
無視して立ち去ろうとした、が何故か身体が動かない。それにこのプレッシャーはなんだろうか、気を抜けば倒れてしまう程の威圧感。


そしてキリトは振り向く、



「んなぁ!な、なんで……」

「あぁ、久しぶりだな。あほ弟子」



そこには現実世界にいるはずの、自分の師匠である高町恭也がそこにはいた。



「し、師匠がなぜ……」


「そんな事より……お前見ない間に随分腐ったな」


そんな事は分かってる、今の自分は狂ってる。けどそれでもやらなくちゃならない事がある。

今にもその場でへたりこんでしまいそうになる、それほどまでに今プレッシャーを浴びさせられている。そう、今高町恭也は物凄く怒っているのと同時に悲しんでいた。


「向こうにいた時のお前はもっと男らしかった、もっと輝いていた。けど今のお前はなんだ?そのごみくず振りはなんだ?」


「貴方に……何が分かるんですか……」


「あぁ、何も分からんよ。けど1つ分かることがある。今自分が弟子に失望している事だ」


だからどうしたんだ、そんなのは関係ない。自分は守る為にやっている、この剣を振るっている。それに何も分かっていないのはそっちだろう。



「お前は何度も繰り返すのか?」













黙れ…













「また目の前で誰かが傷付くところを見てるしか出来ない」











黙れよ…
















「今のお前じゃ何一つ守れない」

















「黙れよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」





キリト、いや和人の中で何かが切れた。
雄叫びと共に和人は片手剣を2つ装備して恭也に突っ込む。


ガキィィィン


甲高い音が周りに響く
まるでゴミを見るような顔で和人を見下す恭也、それが和人は堪らなく許せなかった。


「お前に、お前に何が分かるんだ!」

「何も分からなんな、お前みたいなゴミが考える事なんかな」

「うああぁぁぁぁぁぁぁ!」


一心不乱に嵐の如く乱舞する、だがそれを1歩も動かず冷めた顔で心底残念そうに全て受け切る恭也。


「なんだその剣は?そんな怒りしかこもらない剣、俺には届かないぞ」


「うるさい、うるさい、うるさい!」



このままでは本当に届かない、悔しいが相手の実力は本物だ。1度だって和人は恭也に1本を入れた事がない。
一撃一撃が必殺の威力を秘めている、スピードだって凡人には何も見えない程に速いだろう。

だがそれだけだ。
威力が高い、物凄く速い。確かに脅威だ。
しかし剣というのは振るう者の魂でどうにでも変化する。それを恭也は和人に何もこもっていないと言ったのだ。
なら見せてやる、和人は意識を極限にまで集中する。


そして世界が灰色一色に染まった。


これなら届く、右手の剣をガラ空きになった横腹へと叩き込む、が
あと1歩の所で上手く弾かれてしまった、恭也も神速を使ったのだ。


「本当に何も分かっちゃいないな、お前は」

「お前に何が……」

「お前は何の為にその剣をとった?そして何の為に剣を振るう?」


そんなものは決まっている


「そんなもん、守りたい者がいるからだろ!」


そう叫びながら剣を思い切り叩きつける


「笑わせるな、今のお前は何も守れちゃいない

2人は距離をとる、そうして世界の色も戻ってきた。肩で息をする和人に対して恭也は息一つ乱れていない。


「和人、俺のレベルいくつだと思う?」


いきなりなんだ、そう思ったが今自分のレベルは70だ。このゲームの中で絶対なのはレベル、自分は今攻略組の中でもトップクラスにレベルが高いと思っている、それを真正面から受け切っている恭也のレベルはいくつだと。


「正解はな、18だ」


「そ、そんなことあるわけ!」


「信じれないのなら信じなくていい、俺は1週間前に来たばっかなんだ。実際多分俺はお前の一太刀を掠るだけで死ぬかもしれんという事を言っておきたくてな。まぁ今のお前じゃ一生無理だがな」



恐らく恭也は嘘を付いていない、信じられないが本当に18なんだろう。
以前として恭也のもの言わせない眼光が和人を睨み付けている、この圧倒的な存在感、現実にいた時もそうだが勝てる気が全くしない。

いつも自分が強くなってもその数段上の実力を出されやられている、本当に底が知れない。


「それとお前に合わせたい人がいる」


すると木の陰からからこちらに向かってくる影が2つ。2人はとも見た事がある、見違える事なんてありえない。

「和人……」


「なん……で」


金髪の髪をなびかせこちらに歩いて来たのはアリス、そして後ろにはアスナがいる。
アリスの髪がこの真っ白な風景の中で光を反射し綺麗に輝いて見える。本当に可愛くて、それでもって美しい。

こうして2人は久しぶりに再会した



師匠来ましたね

ちょっとかけあし気味で申し訳ありません。






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