この剣は君の為に〜Sword Art Online 作:黒色狼
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凄く遅くなってしまい申し訳ありません。
リアルに一区切りがついたので更新です、まだ忙しいのでペースはまちまちになるかとは思います。
第11話リアルに一区切りがついたので更新です、まだ忙しいのでペースはまちまちになるかとは思います。
「キリト?何処かに行くの?」
「ああ、ちょっと今日はクエストに行く約束をしてる奴がいるんだよ」
「それって…女の子と…かな?」
キリトは外へ出掛けようと扉に手を掛けた状態のまま只ならぬ雰囲気を感じ取り、後ろの方へ向き直る。
其処には顔は笑っているが物凄い殺気を飛ばして来るアリスの姿があった。
笑顔ではあるがもはや笑っているかと言われると微妙である。
御神流の剣士であるキリトであるが何故かこのアリスに勝てる気がしない、師匠である高町恭也以上のプレッシャーを全身に受け、本能的にやばいと感じ取ったキリトは咄嗟にこう言った。
「い、いや、男だけだよ…」
「ぼっちで黒色でコミュ症のキリトに友達なんているの?」
「黒色は余計だ…まぁ、俺にだって友達ぐらいいるさ」
そういうキリトにアリスは疑いの目を暫く向けていたがプレッシャーが霧散し、信じてくれたのかとキリトは力が入っていた肩を下ろしふぅ、と息を吐いた。
「そう…じゃあ今日も遅くなるの?」
「まぁそうなるな、じゃあ俺は行くよ」
そう言ってキリトは扉を開け、外へと出て行ってしまった。
「最近よく出掛けるなぁ……偶には私と出掛けてくれても良いのに!」
キリトは最近、頻繁に何処かへと出掛けるのだ。かれこれ長い間キリトの側に居るがそんな事は今回が初めてだ。
キリトが自分ではなく誰かの所へ行っていると思うと悲しくなるがその反面、もっと自分に構って欲しいと思いイライラしてくる。
その可愛らしい顔の頬を膨らませ、ギャアギャアと此処には居ないキリトに向かって日頃の不満を撒き散らすのが最近の日課になりつつあるアリスである。
「いつも素っ気ないし、私が遠回しにデートに誘っても気付かないし、食い意地はるし、よく寝るし、しょうもない事ばっかするし、真っ黒だし……もう!何なのよ!」
挙げだすと止まらないキリトへの不満をその部屋にある何の罪もないベッドへとぶつける様にバシバシと叩く。
「私…女の子として見られてないのかなぁ…」
アリスは自分で思うのもあれだがそれなりに容姿には自信があった。
しかし如何だろうか、キリトは全く動じる事もないしこの間だって一寸纏わぬ姿を見たというのにあんな反応だったのだから自分に自信が無くなるのも無理もない。
如何にかしてキリトに振り向いて欲しいアリスはむむむと唸りながら考えるが全くアイデアが思い浮かばず、考えれば考える程キリトへの不満を思い出してしまい考えてはイライラし不満を撒き散らしを繰り返すアリスであった。
「何だか寒気を感じる…気のせいか」
キリトは一瞬だけ寒気を感じたが、本当に一瞬だったので気のせいだと流した。
キリトは下の層へと降りてきていた、最近はずっとこの辺りの層へと足を運んでいる。
理由はそうあのギルド、月夜の黒猫団への協力の為だ。
少し前、彼等を助けた時に色々あり暫くの間協力する事になってからは定期的に下の層まで出向きレベリングを手伝ったりアドバイスをしたりしている。
(やっぱり誰か付いて来ているな…)
実はこの層へと降りてくる時から、背後から何者かが付けて来ているのをキリトは気が付いていた。
それに此れは今日だけでない、何時もは転移門から転移すると気配は消えるのだが今回は転移先まで付いてきている、幾らスキルで身を隠そうとも研ぎ澄まされたキリトの感覚からは逃れる事は出来ない。
街の中にいる限り早々は危険な目にあう事は無いが、相手の目的が分からない以上は野放しにするのも危険だ。
キリトは後ろから何者かが付いてきているのを確認し、左側の道へと進み曲がって直ぐの場所に張り付き身を潜める。
何も知らない追跡者はそのまま左側の道に曲がってくる、その瞬間キリトは相手の腕を取り回すように捻る。
相手は急に捻られたものだから身体も捻り痛みを和らげようとする、それに合わせ足を払い一瞬その者は宙に浮くその隙に押し倒し両手を拘束、身体を抑えようと手を伸ばすと
「ひゃあ!」
甲高い声でそんな声が発せられる。
付けてきたくせに間抜けな声をだすなぁと思いその者の顔を見ると、
「なんの為に俺を付け……ってアス、ぶほぉ⁉︎」
その顔は見知った顔であった。
まだデスゲームが始まって間もない時、死に急ぐ様にダンジョンに潜り続けていた所を見つけ、一緒にボスを攻略した仲間でもあったアスナだったのだ。
しかしその顔は真っ赤、更にその瞳からは涙が少し出ている。キリトがアスナだと理解しその名前を呼ぶ前にアスナはキリトをぶっ飛ばしていた。
「はぁはぁ、キリト君のばかぁ!どこ触ってんのよ!」
「いてて……何処って…」
ぶっ飛ばされたキリトは反対側の壁に逆さで倒れながら抑え付けようと手を伸ばした右手を握ったり離したりしてその時何処を触っていたかを思い出す。
あれは凄く柔らかかった、そしてアスナは両手でその胸を隠す様に覆っている。その情報から導き出される答えは…
「あっ……」
キリトは全て理解した、自分は目の前の女の子の胸を鷲掴みにしていたのだと。
だが男としては例え殴られようともあの感覚を味わえたのなら本望かも知れない、それにアスナはどう見てもかなり美人、そう思うと自然とこう言葉にしていた。
「なんと言うか…ごちそうさまで………」
キリトは最後まで言い切れなかった。
ごちそうさまのごの時点でアスナはレイピアへと手を掛け、さまを言う時はまだレイピアは抜かれてはなく、立ち上がり此方に向かっている途中だったのにも関わらず、でしたのでを言った時点でそのレイピアから放たれたあの頃にも見た神速のリニアーが流星の如くキリトの顔へと迫り寸前で止まった。
途中の加速の度合いもさる事ながらリニアーの完成度が更に上がっている様だ。
その事に関心しているのも束の間、アスナの顔は笑っているが笑ってはいない、そう先ほどアリスが見せた様な表情で尋常じゃない程のプレッシャーを放っている。
逆さに倒れたまま、キリトはレイピアを突き付けられたまま全く動けずにいた。
いや動けなかった。
目の前の者の機嫌をこれ以上損ねると…死ぬ、そう己の本能が囁き掛けてきている。
実際は圏内なのでダメージは無いのだがそんな当たり前な事を忘れさせる程のプレッシャーをアスナは放っていた。
変な汗をどばどばと背中にかきながらキリトはこの場面をどう切り抜けるかを頭をフル回転させ考える。
そんな時、キリトの元に天使が舞い降りた。
「えっ?キリ……ト?」
「……やぁ、サチ。今日もいい天気だな」
偶々そこの道を通り掛かったのはなんと月夜の黒猫団のメンバーでキリトが今付きっ切りで色んな事を教えているサチだったのだ。
レイピアを突き付けられ逆さに倒れたままサチへと苦笑いで挨拶するキリト。
今日この日、命を助けられた?恩をキリトはこの先一生忘れないだろう。
リア充爆発しろ←