この剣は君の為に〜Sword Art Online 作:黒色狼
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ちょっと原作やプログレッシブより早めにあの方と出会って頂きます。
そしてアリスがsaoにログインしましたが最初はキリト視点でお送りします。
第2話そしてアリスがsaoにログインしましたが最初はキリト視点でお送りします。
薄暗く光が灯る洞窟、其処に一人の少年が剣を振るいモンスターと対峙している。
モンスターの攻撃を軽々しく躱し、隙だらけと言わんが如く相手に連続で斬撃を浴びせる。何度か斬りつけた後、攻撃を躱しすれ違い様に斬りつけ、そして少年の剣が光り輝く。
片手剣 ソードスキル スラント。
その斬撃を浴びモンスターはポリゴンの欠片へと姿を変え消えていった。
「一層のモンスターは歯応えがないな、まぁけど片手剣スキルの熟練度上げには丁度いいか…こんな隙だらけのスキル、本来なら使いたくないんだけどな」
此処は第一層の最前線、迷宮区と呼ばれるダンジョン内だ。
迷宮区にはその層のボス部屋がありそのボスを倒すと次の層に行ける仕組みとなっている。
この少年、キリトはこの迷宮区で片手剣スキルの熟練度を上げていた。正直な話ソードスキルは使うと硬直時間がありそんな隙だらけな技は使いたくないのだがゲーム内でソードスキルは必須スキル。
様々なゲームをして来たキリト、だからゲーマーとしてスキルを上げようと此処まで来たというわけだ。
正直な所、ソードスキルを使うよりキリトが連続で斬撃を浴びせた方が強いのだが。
そしてそろそろこんな雑魚ばかりの相手も飽きて来たキリトはソロで第一層のボスを狩ろうかと思っていた。β時代の時も戦ったが正直な話あまり強いと感じなかった。
あれぐらいならソロでいけると踏んでいた。
危なくなっても自分には御神流がある、あんなボスより余程師匠、恭也の方が強い。
魂の込もらぬデータ如きに御神流の剣士が負ける筈がないのだ。
明日にでもボス部屋を探して挑戦するかと思っていると前方の方で戦闘を行っている者がいた。
此処は借りにも最前線の迷宮区、こんな所でレベリングするなんて何処のどいつだとその場所に近付いていく。
其処にはフードを被りレイピアを持ち複数のモンスター相手に戦う者の姿があった。
そしてその者のレイピアが光り輝き、突きを放った。
速い、キリトは素直にそう思った。
其処らへんの素人や剣士でもない人が見ればそれこそ目では追えない神速のスピードの突きだっただろう。
そしてその突きはまるで教科書通りかの様に綺麗であった、あたかも夜空を切り裂く流星の様な突き。
しかし、何処か動きが機械的だし足運びも素人同然。それにHPが僅かな敵にもその突きを放っている、明らかにオーバーキルだ。よく見なければ気が付かない程度だが足も震えている、キリトには無理をしている様に見えた。
気付けば周りのモンスターは一掃されていたのでキリトはその者に声を掛ける。
「さっきの突きは本当に凄かったよ、けど少し無理をしてるんじゃないか?」
「貴方には関係ない……用がないのなら何処かに行って貰える?」
「そうは言ってもなぁ、休憩しないと身が持たないぞ」
「休憩ならちゃんとしてる、其処のモンスターが出て来ない場所で…」
キリトは耳を疑った。
迷宮区にはモンスターが湧かない休憩スペースみたいな場所が設けられている。
しかし其処で休むといっても近くからはモンスターの鳴き声だって聞こえるしゆっくり休める筈がない。
「そうじゃなくて街に戻って休んでるのか?此処から街まで結構時間が掛かるし…」
「何言ってるの?寝泊りも其処の休憩スペースを使ってるし武器のストックも後3本はあるから当面は帰らなくて大丈夫」
今度こそキリトは聞き間違いかと思ったが聞き返すと本当にそうらしい。
こんな所で寝泊りを行うなんて正気じゃない。それにアイテムの補充や装備の整備も必要だというのにこのレイピア使いは街に戻っていないと言う。
もしかしてとキリトは恐る恐る聞いてみた。
「何時からつづけてるんだ?」
「4日だと思う、もういい?もうすぐここのモンスターが復活する頃だと思うから」
キリトは絶句した。
このレイピア使いはあろう事か4日間も此処でキャンプ生活をしずっと狩りを続けていると言ったのだ。自分も修行で山に何日も篭った事があり死を目の前に感じた事だって何度もある。
しかしまるでこのレイピア使いは死に急いでいる様に見える。着ている布装備はボロボロ、動きもふらふらとしている。
「このままだと……死ぬぞ」
キリトは気付くとそう言葉を掛けていた。
例え他人だろうと目の前で死に急ぐ者を見て黙っていられる訳がない。
「取り敢えず街に戻って…ってうお⁉︎」
街に戻れと言おうと思ったらいきなりそのフードを被ったフェンサーはキリトには向かって倒れてきた。
「だから言わんこっちゃない……ん?これは…って⁉︎こいつ女か!」
突然倒れて来たので危うく受け損ねる所だっが何とか受け止める事に成功する。
しかし受け止める場所が悪かった、キリトの左手はその者の胸をしっかりと掴んでいた。柔らかく弾力もある感触、キリトは暫く手を握ったり開いたりしているとフェンサーは、んあぁと微かに声を上げたがキリトは気付かない。そして理解する、これは女性特有の胸だと。
しかしこのフェンサーを此処に放置していく訳にも行かない、だが運ぼうにも容量オーバーで運べない。
「仕方がない、後で怒られるかも知れないけど…」
そうしてある物を自分のアイテムストレージから取り出しその者を運び出すキリトだった。
「ん…此処は…」
「おっ、目が覚めたか」
此処は迷宮区の外の草原。
下は草が生え寝転がって居ても気持ちよく、心地よい微風が吹き自分を助けた長めの黒い髪の少年の髪を持ち上げる。
全体的に黒い格好でその両目はとても深い黒だが確かにその目の中に光る何かが見え隠れしている様な気がした。
「余計な…ことを」
あの時あの瞬間自分は死ぬ筈だった。始まりの街の、国鉄宮に鎮座する生命の碑のAsunaの名前に滑らかな横線が引かれ其処で自分は終わりの筈だったのだが、この少年はそうさせてくれなかった。
「けどあのままじゃ本当に死んでたぞ」
「どうせ…みんな死ぬのよ」
その声は悲しみに満ちていた。
まるで全てを諦めてしまったかのような音色。
「たった一ヶ月で二千人が死んだのよ、それなのに最初の層もクリアされてない…このゲームはクリア不可なのよ。死ぬのも早いか遅いかのちが…」
しかし其処からは続かなかった。
「何でそうやって諦めるんだ…何がクリア不可能だ…誰もが諦めるんなら俺だけでも絶対に諦めてやるもんか!この層は俺が明日クリアしてくる!」
そう言うキリトの目の奥は光り輝き燃えている様に見えた。その真っ黒な夜空の様な瞳に
一つの星が輝いている様に。
フェンサーは余りの勢いに怯んだが直ぐに言い返す。
「あんた馬鹿なの?クリアなんて出来る筈がないのよ!どうせ私も貴方も死ぬの、私はどうせ死ぬなら戦って死にたいのよ!邪魔しないで!」
「馬鹿はお前だ…なら俺がクリアしてやる!お前が死に急ぐなら何度だって俺が助けて守ってみせる!だから…」
そう言った時、フェンサーは驚きの表情をしていた。何で其処までやれるの、何で他人の私を其処までして守ろうとするの?と。
絶対にこのゲームはクリア出来ない。ただの一層すら攻略される前に既に二千人もリタイアしているのだ。
しかし目の前の少年は諦めるどころかクリアする気でいる。だが何故か少年の言葉には説得力がある、本当にクリアしてしまうのではないだろうかと思わせる程の説得力が少年の言葉にはある。
ならと次の言葉を発しようとした所で予想外の乱入者によって止められる。
「せっかく、せっかく人が心配してずっとあんたに会いたいと思って遥々此処まで来たというのに……俺が守ってみせる?なんなのよ…何だっていうのよぉ〜!」
「えっ?お前は……アリス…か?っておいやめろ!剣を振り回すな、危ない!死ぬ!死ぬから!」
「うるさいうるさいうるさい!」
其処にはまるで天の川の様に輝く長い金髪、顔はまだ幼さが残るがとても綺麗で可愛らしい、まるでおとぎ話の国からやって来たかの様な女性がいた。
その女性は自分を助けた少年に剣を振り回しながら追い掛け迫っている。
状況が分からずフェンサー、アスナはポカンと其処に座って見ている事しか出来なかった。
感動の再会が台無しですねw
そしてキリト君が強過ぎるくね?と思った方…御神流の恭也や士郎、美由希を想像して下さい。
そしてsaoで戦う姿を思い浮かべると…負けるビジョンが見えませんよねw
その御神流をキリトが使うのですからこれぐらい強くなるだろうと思い書いてみました。