この剣は君の為に〜Sword Art Online 作:黒色狼
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まぁ今回は話を強引に2つに分けたので短いです。
第5話「ねぇ、お兄ちゃん。今週の日曜日って暇?」
「ん?どうしたんだよ突然、まぁ暇だけど…」
今日は平日だが二人は今家に居る。なんたって今日は祝日、学校に通う者にとっては最高の日だ。父と母は両方とも朝早くに仕事へ行ってしまったので家には和人と直葉しかいない。
「えっとね、私友達に要らないからって遊園地のチケット貰ったんだけど日曜日は剣道の試合なんだよね、だからお兄ちゃんに譲ろうかなって。2つあるから誰か誘って行ってきてよ」
「て言ってもなぁ、俺そんなん誘う友達いないし…」
「何言ってるのお兄ちゃん、アリスさんがいるじゃない。多分アリスさんも誘ってあげたら喜ぶと思うよ」
「あっ、そういえばどっか行って思いっきり遊びたいとか言ってたような…まぁ誘ってみるだけ誘ってみるか」
そして和人は遊園地のチケットを2つ受け取る。実は和人は友達が少なかったりする。
本来お調子者な性格で話せば話は普通に弾んだりするんだが自分から話そうとしないので友達は多くない。
その点最近良く会っている仲の良い女の子、アリスは和人としても話しやすく誘いやすいし誘うだけなら…と誘う事になった。
その翌日、いつも通り河川敷の上を歩いていると丘にはやはりアリスは其処にいた。
アリスは和人が来たのにいち早く気付き、和人〜と言いながら笑顔で此方に手を振っている。そんなアリスにおうっと手を挙げて反応しいつも通り隣に腰を下ろした。
「なんだよ、今日はやけに嬉しそうだな」
何だか今日は何時もよりアリスが嬉しそうに感じた。もし尻尾があるのなら左右に揺れている事だろう。
「ふふ〜ん、あのね!私この前お母さんのお手伝いでお料理したんだけど、上手く出来て才能があるって褒められたのよ。凄いでしょ?」
「ああ、すごいすごい」
何よ、その適当な返事はー!とアリスはポカポカと和人を叩く。
会った時に比べるとアリスは本当に良い表情をするようになったと思う。
先ほどの自慢話にしても心から笑っていてとても魅力的だったし怒った時の顔も何処か嬉しさが滲み出ていたと和人は感じた。
出会った当初はこんな風に笑ったりしなくてそんな顔をして欲しくないが為に自分に出来る事、側に居るという事しか出来なかったがこうして自然に笑ったり怒ったりするアリスを見ると和人も嬉しかった。
「まあまあ、そんなに怒るなよ」
和人はそう言ったがアリスはまだうう〜と唸り此方を威嚇しいつでも跳びかかれますという感じだった。
「そういえばアリス、今週の日曜日暇か?」
「何よ突然、別に予定は無いけど」
「んじゃあ、良かったらこれ一緒に行かないか?」
そう言って和人はアリスに遊園地のチケットを見せる。
「えっ、これを私と2人で?」
「ああ」
和人が肯定した瞬間から頭から湯気が出るんじゃ無いかという程、アリスの顔がみるみる赤く染まっていく。
あわわ〜、とかなり動揺してるがどうしたのだろうか?和人には理解出来なかった。
「ふ、ふん。和人がどうしてもって言うんなら行ってあげても良いけど?」
「ん?じゃあ頼むよ」
くるっと回転し後ろを向きながらそう言って来たアリス。
何だかプルプルと震えてるような気がするが……まぁ気のせいだろう。
(こ、こ、これって……で、デートのお誘いよね?うう〜、ど、どうしよう⁉︎)
和人にそんなつもりは無いのだがアリスはどうやら完全にデートに誘われたと思っているらしい。
まぁ側から見たらどう見てもデートの誘いなのだがそういう経験が皆無な和人にはそんな事は意識していなかった。
こうして今週の日曜日、和人とアリスはデート?をする事になった。
「ふわぁ、眠い…スグのやつこんな早くに行かせるとはなんなんだよ」
今日は日曜日、そうアリスとのデートの日だ。
待ち合わせ時間は9時なのだが和人は40分前にもう来ている。何故なら直葉に朝早くに叩き起こされさっさと行けと家を追い出されたからだ。なので和人はぶつぶつと妹に文句を言いながら待っているという訳なのである。
和人の服装は比較的に無難な格好をして来ており全体に黒っぽい。
ぶつぶつ文句を言いながら待っているとちょんちょんと肩を叩かれたのでそちらを向くと、
「ごめんね、待った?」
其処にはアリスがいたがいつも通りの格好とは違っていた。
いつもはワンピースにエプロンの付いた様な格好なのだが今日はその長い金髪はさる事ながら頭に可愛らしいリボンが付いたカチューシャ、服装は普段よりも可愛らしくその長い金髪とあっており見た瞬間和人は見惚れてしまった。
「どうしたの和人?」
「い、いや何でもない。じゃ、じゃあ行こうか」
「へんな和人」
いつもと違う姿に不覚にもドキッとしてしまい和人は動揺してしまった。
(いつも思ってたけど…やっぱ此奴めっちゃかわいいよな…)
そんな事を思う和人はちらりとアリスの方を向く。横を歩くアリスの顔は綻んでいる、どうやら楽しみにしてくれているようで誘った方からしたらそれは素直に嬉しかった。
こうしてデートは始まった。