この剣は君の為に〜Sword Art Online 作:黒色狼
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第4話あれから2人の仲は良くなり和人は毎日の様に河川敷に訪れお互いに話をする様になっていた。その2人で談笑する姿は本当に仲の良い友達のようだった。
が今日はアリスがどれだけ待とうと和人は来なかった。
「和人、遅いわね……なにしてるのかしら?」
いつもならとっくに来て話をしている時間なのだがそろそろ日も落ちてくる時間となっていた。
時間も遅いので仕方がなく帰ることにした。
「あら、お帰り。今日は少し早いのね」
「うん…」
家に帰ると理沙が迎えてくれたが直ぐにアリスに元気がない事に気がつく。
いつもならまたいらん事をしてきたやら、こんな話をしたなどと楽しそうに今日話した内容を教えてくれるので元気がないのは直ぐに分かった。
「どうしたの?今日は元気がないわね、喧嘩でもしたの?」
「ううん、今日は待っても和人が来なかったの」
「なるほどね、和人君も毎日来れるとは限らないでしょ?明日来なかったら一度家を訪ねてみたらどうかしら?熱でも出して寝込んでるのかもしれないわ」
「うん、じゃあそうしてみるね」
何故アリスが和人の家を知っているかと言うと和人が教えてとも聞いてないのに教えて来たからだ。あの河川敷からそう遠くない所に和人の家があるのでアリスもすぐに何処にあるか分かったという訳なのだ。
次の日アリスはいつも通り河川敷の丘で和人を待っているのだがやはりいつもの時間になっても和人はなかなか来ない。
もしかして自分と話をするのに飽きてしまったのだろうか?待っても来ない和人の事を考えるとそんな事を思うようになってしまった。
(じゃあ、もう私は和人とはもうお話出来ないの?そんなの嫌だ…)
そう思ってからアリスの行動は早かった、自分でもびっくりするぐらいそう思うと早く行動していた。それも殆ど無意識に。
(和人…和人…)
その瞳から涙を流しながら和人の事を考え走るアリス。初めて出来た友達、どれだけ皮肉を言おうと優しく接してくれる。アリスにとって和人は知らぬ間に掛け替えのない人となっているようだ。そうして気が付いたら教えられていた家の前まで付いていた。桐ヶ谷、そう書いているのを見て合っていると確信する。
だがいざ家の前まで来てみると緊張してしまいなかなかインターホンを押せない。
しかしこんな所で突っ立って居ても何も変わらない、勇気を振り絞りインターホンを押す。
すると扉が開き大人の女性が出てきた。
「あら?どちら様でしょうか?」
「あ、あの!ここは和人君の家でしょうか?」
緊張してしまってか少しへんな日本語になってしまった。
がその女性は優しく微笑んでくれた。
「ええ、そうよ。和人にこんなかわいいお客様だなんて珍しいわね。学校のプリントでも届けに来てくれたの?」
「そうじゃなくて……あの、和人君に何かあったんですか?」
「和人は今熱を出しちゃってね、昨日から寝込んでるのよ」
そう聞いて少し安心したが和人が寝込んでると聞いてまた別の心配事が出来てしまった。
和人の様子を伺いたいが何せ友達の家に招かれたこともなければ行ったことも無いアリスは、もじもじするだけでなかなか切り出せない。
するとその女性、翠は、
「せっかく来てくれたんだから和人の様子でも見て行く?」
「えっ?あっ、はい!」
翠はそんなアリスの心中を察したのかそう切り出してくれた。
そうやって家に招き入れてくれたが友達の家に招かれたのは初めてなのでとても緊張している。
「お、お邪魔します…」
その声もよく聞かなければ聞き取れない程か細い声だった。
そうやって2階に上がり連れていかれた部屋に和人は横になっていた。
「和人、貴方にお客さんよ」
「俺に?それはとんだ物好き……ってアリス⁉︎」
「悪かったわね、物好きで」
まさかアリスが家まで訪ねて来るとは思っていなかったので和人はかなり驚いていた。
翠はそれじゃあごゆっくりと部屋を出ていってしまったので部屋には今和人とアリスしかいない。
「や、やぁアリス」
「せっかく来てあげたのに、結構元気そうじゃない」
「昨日はかなりキツかったんだぜ?今日は大分マシにもなったから学校にも行こうかと思ったんだけどお母さんに止められて……っておい!何泣いてんだよ!」
「う、うるさい!し、心配して来たのに…物好きとか、言うし…」
突然アリスが泣き出したので和人はどうしたら分からずオロオロしている。
無理もない、見限られたと思い掛け付けたら病気だったと知り心配して様子を見に行くと元気そうで物好きとも言われたが何時とも同じやり取りで安心したのだ。
「心配…したんだからね、何時まで待っても和人が来なくて…もう飽きて来なくなっちゃったのかと…」
「はぁ、お前はアホか」
「あうっ」
そう言って和人は啜り泣くアリスのおでこにデコピンをした。
「そんな訳ないだろ、俺だってアリスと喋るの毎日楽しみにしてたんだぜ。それに…俺たちもう友達だろ?」
「うう、うわ〜〜ん!」
そうやって和人が言うとアリスは突然大泣きし始めてしまった。
そうアリスは単純に嬉しかったのだ、自分との会話を楽しみにしてくれていた事、それに友達と言われた事。初めて同年代の少年に優しくされその優しさに触れるうちに知らぬ間にアリスは和人に惹かれていたのかも知れない。
「ごめんな、突然来なくなっちゃって。大丈夫、俺はお前の前から居なくなったりしないさ」
「ずっと……ずっと一緒に居てくれる?」
「ああ、ずっと一緒にいてお前の事を守ってやるよ。約束する」
「約束…なんだからね」
アリスがベッドの傍に座り込み手を握り合いお互いを確かめ合う二人。
その手に伝わってくる温もりを感じ和人が此処にいるのだと感じ自然と笑顔になるアリス。
「なんだよ、そんな風に笑えるんじゃないか」
「えっ?なんか言った?」
「なんでもないよ、それより…何時まで手を握ってるつもりだ?」
「もう少しこのまま…ダメ?」
泣いた後もあってかそう上目づかいで言ってくるアリスは凄くかわいくて不意を突かれるように和人はドキッとしてしまった。
「べ、別にいいけど…」
「ありがとう…」
暫くそのまま手を握られたままになって固まっている和人。
先ほど不意にドキッとしてしまいアリスが女の子で、しかもとてもかわいいという事を今更認識してしまいどうしていいか分からず固まっているだけなのだが。
「もう大丈夫、ありがとう」
「あ、ああ」
動揺している事を隠しきれない和人は頭を掻きながら目線をそらしそう言った。
するとアリスが、
「和人、此れを持ってて欲しいの」
「おい、これって…」
「そう私のお祖母様から貰った指輪よ」
アリスが持っていて欲しいと言ってきたのはあの時、必死になって捜していた指輪だった。
「けど此れはお前の大切な物なんじゃ…」
「けど和人に持ってて欲しいの、どうしても困るんならまた私たちが大人になった時にでも返してくれたらいいから」
冗談で言ってる様子もなくその顔は真剣そのものだったので和人も分かったといってもその指輪を受け取る。
「じゃあ、また明日ね和人」
「おう、また明日」
そうやってアリスは帰っていった。
和人の心臓は今でもドキドキしており手にはアリスの手の温もりをまだ感じていた。
「ずっと一緒にいてお前を守る……か。守ってくれなきゃ承知しないんだからね」
その帰り道そう呟くアリスの顔は嬉しさを隠しきれず笑っていた。
この約束は彼らを結び付ける掛け替えのない物となるのであった。
が今日はアリスがどれだけ待とうと和人は来なかった。
「和人、遅いわね……なにしてるのかしら?」
いつもならとっくに来て話をしている時間なのだがそろそろ日も落ちてくる時間となっていた。
時間も遅いので仕方がなく帰ることにした。
「あら、お帰り。今日は少し早いのね」
「うん…」
家に帰ると理沙が迎えてくれたが直ぐにアリスに元気がない事に気がつく。
いつもならまたいらん事をしてきたやら、こんな話をしたなどと楽しそうに今日話した内容を教えてくれるので元気がないのは直ぐに分かった。
「どうしたの?今日は元気がないわね、喧嘩でもしたの?」
「ううん、今日は待っても和人が来なかったの」
「なるほどね、和人君も毎日来れるとは限らないでしょ?明日来なかったら一度家を訪ねてみたらどうかしら?熱でも出して寝込んでるのかもしれないわ」
「うん、じゃあそうしてみるね」
何故アリスが和人の家を知っているかと言うと和人が教えてとも聞いてないのに教えて来たからだ。あの河川敷からそう遠くない所に和人の家があるのでアリスもすぐに何処にあるか分かったという訳なのだ。
次の日アリスはいつも通り河川敷の丘で和人を待っているのだがやはりいつもの時間になっても和人はなかなか来ない。
もしかして自分と話をするのに飽きてしまったのだろうか?待っても来ない和人の事を考えるとそんな事を思うようになってしまった。
(じゃあ、もう私は和人とはもうお話出来ないの?そんなの嫌だ…)
そう思ってからアリスの行動は早かった、自分でもびっくりするぐらいそう思うと早く行動していた。それも殆ど無意識に。
(和人…和人…)
その瞳から涙を流しながら和人の事を考え走るアリス。初めて出来た友達、どれだけ皮肉を言おうと優しく接してくれる。アリスにとって和人は知らぬ間に掛け替えのない人となっているようだ。そうして気が付いたら教えられていた家の前まで付いていた。桐ヶ谷、そう書いているのを見て合っていると確信する。
だがいざ家の前まで来てみると緊張してしまいなかなかインターホンを押せない。
しかしこんな所で突っ立って居ても何も変わらない、勇気を振り絞りインターホンを押す。
すると扉が開き大人の女性が出てきた。
「あら?どちら様でしょうか?」
「あ、あの!ここは和人君の家でしょうか?」
緊張してしまってか少しへんな日本語になってしまった。
がその女性は優しく微笑んでくれた。
「ええ、そうよ。和人にこんなかわいいお客様だなんて珍しいわね。学校のプリントでも届けに来てくれたの?」
「そうじゃなくて……あの、和人君に何かあったんですか?」
「和人は今熱を出しちゃってね、昨日から寝込んでるのよ」
そう聞いて少し安心したが和人が寝込んでると聞いてまた別の心配事が出来てしまった。
和人の様子を伺いたいが何せ友達の家に招かれたこともなければ行ったことも無いアリスは、もじもじするだけでなかなか切り出せない。
するとその女性、翠は、
「せっかく来てくれたんだから和人の様子でも見て行く?」
「えっ?あっ、はい!」
翠はそんなアリスの心中を察したのかそう切り出してくれた。
そうやって家に招き入れてくれたが友達の家に招かれたのは初めてなのでとても緊張している。
「お、お邪魔します…」
その声もよく聞かなければ聞き取れない程か細い声だった。
そうやって2階に上がり連れていかれた部屋に和人は横になっていた。
「和人、貴方にお客さんよ」
「俺に?それはとんだ物好き……ってアリス⁉︎」
「悪かったわね、物好きで」
まさかアリスが家まで訪ねて来るとは思っていなかったので和人はかなり驚いていた。
翠はそれじゃあごゆっくりと部屋を出ていってしまったので部屋には今和人とアリスしかいない。
「や、やぁアリス」
「せっかく来てあげたのに、結構元気そうじゃない」
「昨日はかなりキツかったんだぜ?今日は大分マシにもなったから学校にも行こうかと思ったんだけどお母さんに止められて……っておい!何泣いてんだよ!」
「う、うるさい!し、心配して来たのに…物好きとか、言うし…」
突然アリスが泣き出したので和人はどうしたら分からずオロオロしている。
無理もない、見限られたと思い掛け付けたら病気だったと知り心配して様子を見に行くと元気そうで物好きとも言われたが何時とも同じやり取りで安心したのだ。
「心配…したんだからね、何時まで待っても和人が来なくて…もう飽きて来なくなっちゃったのかと…」
「はぁ、お前はアホか」
「あうっ」
そう言って和人は啜り泣くアリスのおでこにデコピンをした。
「そんな訳ないだろ、俺だってアリスと喋るの毎日楽しみにしてたんだぜ。それに…俺たちもう友達だろ?」
「うう、うわ〜〜ん!」
そうやって和人が言うとアリスは突然大泣きし始めてしまった。
そうアリスは単純に嬉しかったのだ、自分との会話を楽しみにしてくれていた事、それに友達と言われた事。初めて同年代の少年に優しくされその優しさに触れるうちに知らぬ間にアリスは和人に惹かれていたのかも知れない。
「ごめんな、突然来なくなっちゃって。大丈夫、俺はお前の前から居なくなったりしないさ」
「ずっと……ずっと一緒に居てくれる?」
「ああ、ずっと一緒にいてお前の事を守ってやるよ。約束する」
「約束…なんだからね」
アリスがベッドの傍に座り込み手を握り合いお互いを確かめ合う二人。
その手に伝わってくる温もりを感じ和人が此処にいるのだと感じ自然と笑顔になるアリス。
「なんだよ、そんな風に笑えるんじゃないか」
「えっ?なんか言った?」
「なんでもないよ、それより…何時まで手を握ってるつもりだ?」
「もう少しこのまま…ダメ?」
泣いた後もあってかそう上目づかいで言ってくるアリスは凄くかわいくて不意を突かれるように和人はドキッとしてしまった。
「べ、別にいいけど…」
「ありがとう…」
暫くそのまま手を握られたままになって固まっている和人。
先ほど不意にドキッとしてしまいアリスが女の子で、しかもとてもかわいいという事を今更認識してしまいどうしていいか分からず固まっているだけなのだが。
「もう大丈夫、ありがとう」
「あ、ああ」
動揺している事を隠しきれない和人は頭を掻きながら目線をそらしそう言った。
するとアリスが、
「和人、此れを持ってて欲しいの」
「おい、これって…」
「そう私のお祖母様から貰った指輪よ」
アリスが持っていて欲しいと言ってきたのはあの時、必死になって捜していた指輪だった。
「けど此れはお前の大切な物なんじゃ…」
「けど和人に持ってて欲しいの、どうしても困るんならまた私たちが大人になった時にでも返してくれたらいいから」
冗談で言ってる様子もなくその顔は真剣そのものだったので和人も分かったといってもその指輪を受け取る。
「じゃあ、また明日ね和人」
「おう、また明日」
そうやってアリスは帰っていった。
和人の心臓は今でもドキドキしており手にはアリスの手の温もりをまだ感じていた。
「ずっと一緒にいてお前を守る……か。守ってくれなきゃ承知しないんだからね」
その帰り道そう呟くアリスの顔は嬉しさを隠しきれず笑っていた。
この約束は彼らを結び付ける掛け替えのない物となるのであった。