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農家「対策を徹底」 草津で鳥インフル陽性反応

足用の消毒液を置き、防鳥ネットを張り巡らせている杉江さんの鶏舎=草津市野路町で

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 草津市内で見つかった野鳥オオバンの死骸から鳥インフルエンザの陽性反応が出た問題。致死性の高い高病原性鳥インフルエンザへの感染は確定していないが、県は水辺を中心に鳥の死骸がないかなどを監視し、感染拡大への警戒を強めている。ニワトリなど家禽(かきん)への感染は農場への経営に大打撃を与えかねず、農家らは防疫に慎重を期している。

 全国的に鳥インフルエンザが流行している今季は、県内でも野鳥の異常死が格段に増えている。県は十日までに七十二羽の野鳥の死骸を見つけ、鳥インフルエンザの簡易検査を実施。昨年の七羽の十倍以上だ。

 県内ではこの時期、渡り鳥のオオバンやカモなど水鳥二十万羽が生息。一方、ニワトリやアヒル、シャモなどの家禽を百羽以上飼う農場は五十二戸あり、飼育羽数は四十七万六千羽に上る。

 草津市野路町の杉江善春さん(72)は、自宅近くの鶏舎で約百羽を育て、卵や肉を出荷している。鶏舎には防鳥ネットを張り出入り口には長靴などの履物の消毒液を置くなど対策を常に行ってきた。杉江さんは「河川が近いとどうしても野鳥は飛んでくる。現時点の対策を徹底する」と話す。

鳥インフルエンザが発生し、再検査中であることなどを書き込んだ掲示板=同市志那町で

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 環境ボランティア団体「草津湖岸コハクチョウを愛する会」は毎冬、同市志那町の琵琶湖岸に仮設の観察小屋を設け、コハクチョウの飛来を観察する。吉岡美佐子理事長(69)は今回の陽性反応を「予測されていたこと。琵琶湖周辺で出ても不思議ではないと思っていた」と打ち明ける。

 小屋に掲げた掲示板では、昨年中から「死亡した野鳥は素手で触らないでください」と注意を呼び掛けてきた。吉岡さんは毎日、死んだ鳥がいないかを見回っているといい、「早期発見に協力できれば」と話す。

 県は十一日午前、四人態勢で草津市や近隣市の琵琶湖岸やため池など水辺を見回ったが、鳥の異常死は確認されなかった。担当者は「通常は人には感染しない。死骸を見つけたら触らずに市役所や役場へ連絡を」と冷静な対応を求めている。

 県自然環境保全課によると、県内で鳥インフルエンザの陽性反応が出たのは二〇〇一年二月に日野町で見つかって以来、二例目。遺伝子検査は陽性だったが、確定検査で最終的に陰性と確認された。

 (角雄記、鈴木啓紀)

 

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