米議会調査局「米国の北東アジア外交、韓国の大統領弾劾問題で複雑に」

 米議会調査局(CRS)が「韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領弾劾問題が米国の外交政策を複雑にしている」という内容の報告書を発表した。韓国の権力空白が対北朝鮮制裁共助に支障を来たし、米国の北東アジア政策の枠組みにも影響を与える可能性があるということだ。この報告書は、有力な次期大統領候補に韓国最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)元代表の名を挙げ、その対北朝鮮政策で米国と衝突する可能性があることも示唆している。CRSは超党派の米議会立法補佐機関だ。

 CRSは先月22日に発表した「韓国の大統領弾劾」という報告書で、「韓国の弾劾政局は北東アジアで不確実性が増している今の時期、米国の主要同盟国である韓国の活動に制約を課すだろう」「弾劾という事態で北朝鮮に強い圧力を加えようという米議会の努力と北東アジアで米国が進めているさまざまな対外政策が複雑になる可能性がある」としている。

 また、「米国に与える示唆事項」という項目では、「(今回の弾劾政局は)米国の政策構想、特に北朝鮮に対する圧力を高めようとする試みに対し、昔から批判的だった韓国野党に政治的な勢いを与えてしまった」と、共に民主党の支持率が与党「セヌリ党」の2倍を上回る世論調査結果にも言及した。

 だが、CRSは「朴大統領は野党の批判を浴びながらも、昨年1月の4回目の北朝鮮による核実験後、開城工業団地の稼動を全面中止して米国の戦域高高度防衛ミサイル(THAAD)配備要求に同意した」と書いた。また、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)に署名するなど、米国が望む韓米日三角共助体制を構築するのにもかなり努力したと評価している。

 報告書は、こうした外交・安全対策が野党の批判を受けたと見ている。その上で、「北朝鮮に圧力を加えるよりも、対話を通じて非核化を実現させなければならない。開城工団を再び稼働させ、THAAD配備を延期すべきだ」という文在寅氏の発言や、共に民主党がGSOMIAに反対していることも紹介した。同氏は北朝鮮に対し、「対話と圧力を並行させる」と発言しているが、CRSは「同氏は過去の政権の太陽政策路線に基づき、北朝鮮との対話の方に重点を置く可能性が高い」と見ている。

ワシントン=趙義俊(チョ・ウィジュン)特派員
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