2017年に入ってからも、日本株は強い動きを続けていますね。1月4日の大発会の日経平均は前日比479円高となりました。非常に強い動きとなり、幸先の良いスタートでしたね。
例年、1月から4月までの時期は日本株全体が上昇しやすい傾向があります。これは、3月決算企業の配当金や株主優待を狙った投資家が株を買いやすい時期だからと考えられています。
どうせなら、僕らもこの上昇の波に乗って、大きく利益を出したいところ。そこで今回は、「新春相場で利益につながりやすかった銘柄の特徴」を、過去のデータを使って分析していきます。
■ 日本株は、新春相場に上がるのか?
まず始めに、例年、年明けから4月頃にかけて相場はどのように動くのか、過去の統計データを調べてみましょう。今回は、東証1部に上場する全銘柄を対象に、00~16年の動向を分析しました。
■年明けから4月までの大型株の動向を分析する
====================
(分析対象)
・東証1部に上場する全銘柄
(株を買うタイミング)
・1月の第1営業日である
→上記を満たしたら、当日の寄り付きで株を購入する
(株を売るタイミング)
・4月の第1営業日である
→上記を満たしたら、当日の寄り付きで株を売却する
====================
以上が、年明けから4月頃にかけた東証1部銘柄の動向についての調査方法です。この方法で投資したときに期待値がプラスであれば、年明け以降は大型株が上昇しやすいと言えるでしょう。検証結果は、以下のとおりです。
■年明けから4月までの東証1部銘柄の動向
====================
検証期間:00年~16年
サンプル数:31791回
勝率:57.84%
期待値:+4.96%
====================
検証結果を確認すると、勝率は約60%となり、かつ期待値は+5%弱と大きくプラスになりました。この結果を確認する限りでは、年明け以降の相場は例年、東証1部の銘柄は比較的上昇しやすい傾向があると言えるでしょう。
しかし、東証1部に上場している銘柄は約2000銘柄あります。選択肢が沢山あるので、どうせなら精度高く利益を出せる銘柄を選びたいものです。
そこで僕は、新春相場についてもう少し深く調べてみることにしました。具体的には、以下の2点についても詳しく分析しようと考えました。
1. 直近数カ月間の株価の値動きと、利益の出しやすさの関係
2. 最低購入価格と、利益の出しやすさの関係
「直近数カ月間の株価の値動きと、利益の出しやすさの関係」では、直前までの値動きと利益の出しやすさの相関を調べることにしました。過去の株価の動きは、少なからず利益の出しやすさと関係があると考えられます。データを使ってこれを確認して、利益につながりやすいチャートの特徴がわかれば、実際に投資するときにも、役立てられるかもしれません。
「最低購入価格と、利益の出しやすさの関係」では、株を購入できる価格帯と、利益の出しやすさの相関を調べることにしました。新春相場は冬のボーナスなどが市場に流入しやすい時期と考えられます。個人投資家は「自分が買えそうな価格帯の株」に注目しやすいとも考えられるため、最低購入金額によっても、値上がりのしやすさは大きく左右されると考えました。これを確認して、利益につながりやすい価格帯が、その知恵を実運用にも役立てられるでしょう。
まずは、「直近の株価の値動きと、利益の出しやすさの関係」から調べてみましょう。
■ 上昇中の株ほど値上がりしやすい
先ほどご紹介した「年明けから4月までの東証1部銘柄の動向」を深掘りし、チャートの形と利益の出しやすさを分析してみました。具体的には、上記分析で得られたデータを以下の4つのチャート別に分類してみました。
・パターン(1):年末時点で終値が25日移動平均以上
・パターン(2):年末時点で終値が25日移動平均より小さい
・パターン(3):年末時点で終値が75日移動平均以上
・パターン(4):年末時点で終値が75日移動平均より小さい
上記のとおりデータを集計し直した結果、下記の結果が得られました。
====================
・パターン(1):年末時点で終値が25日移動平均以上
→サンプル数19179回、勝率62.64%、期待値+6.85%
・パターン(2):年末時点で終値が25日移動平均より小さい
→サンプル数10704回、勝率49.80%、期待値+1.52%
・パターン(3):年末時点で終値が75日移動平均以上
→サンプル数16870回、勝率59.44%、期待値+5.71%
・パターン(4):年末時点で終値が75日移動平均より小さい
→サンプル数12791回、勝率56.24%、期待値+3.89%
====================
上記の結果を確認すると、パターン(1)、パターン(3)のとき、勝率および期待値が良好となることがわかりました。新春相場で投資先を選ぶときには、「終値が25日移動平均以上」「終値が75日移動平均以上」の銘柄からスクリーニングするのが、良さそうです。新春相場では上昇中の株ほど利益を出しやすかったと言えるでしょう。
以上が、「直近数カ月間の株価の値動きと、利益の出しやすさの関係」です。次は、「最低購入価格と、利益の出しやすさの関係」について調べてみましょう。
■ 最低購入価格が安い株ほど値上がりしやすい
先ほどご紹介した「年明けから4月までの東証1部銘柄の動向」を深掘りし、以下の5つの価格帯別に分類しました。
・最低購入価格が100万円以上
・最低購入価格が50~100万円
・最低購入価格が10~50万円
・最低購入価格が5~10万円
・最低購入価格が5万円未満
上記のとおりデータを集計し直した結果、下記の結果が得られました。
■年明けから4月の東証1部銘柄の動向(価格帯別)
====================
・最低購入価格が100万円以上
→サンプル数612回、勝率42.16%、期待値-2.24%
・最低購入価格が50~100万円
→サンプル数2249回、勝率49.18%、期待値-0.16%
・最低購入価格が10~50万円
→サンプル数16392回、勝率56.61%、期待値+3.63%
・最低購入価格が5~10万円
→サンプル数6590回、勝率60.33%、期待値+6.59%
・最低購入価格が5万円未満
→サンプル数5948回、勝率63.38%、期待値+9.50%
====================
検証結果を確認すると、最低購入価格が100万円以上の銘柄の期待値は-2.24%とマイナスでしたが、最低購入価格が5万円を切ると期待値は+9.50%と好調でした。成績が段階的に変化しているので、「新春相場は最低購入価格が小さな銘柄ほど株価が上昇しやすい」傾向があると言えるでしょう。冬のボーナスも手に入ったこの時期。小刻みに購入できる「10万円株」や「5万円株」に手を伸ばす個人投資家が多いのかもしれません。
では、最後に、これまでの検証結果を参考にして、新春相場で上昇が期待できそうな銘柄をいくつかピックアップしてみましょう。
◎10万円株、厳選3銘柄
・ビーアールホールディングス <1726>
・キッツ <6498>
・ベルーナ <9997>
以上が、過去のデータを参考にした、これから上昇期待の3銘柄です。上記3銘柄は、株価が中長期で上昇トレンドである上、最低購入価格は10万円以内です。また、3月にはそれぞれ株主優待の権利確定も控えています。これからの時期に買い支えが入りやすい可能性も期待できるので、ぜひ注目しておきたいところです。
本記事のまとめ:
・新春は、例年相場が上昇しやすい
・新春相場は、上昇中の株ほど値上がりしやすかった
・新春相場は、最低購入価格の低い株ほど値上がりしやすかった
中原良太/1990年生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。投資情報サイト「株式予報」代表。2015年にYahoo! ファイナンス株価予想達人にて「ベストパフォーマー賞」と「通算最高勝率者賞」をダブル受賞。近著に『株3年生の教科書』『株2年生の教科書』(共著、総合科学出版刊行)。
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
例年、1月から4月までの時期は日本株全体が上昇しやすい傾向があります。これは、3月決算企業の配当金や株主優待を狙った投資家が株を買いやすい時期だからと考えられています。
どうせなら、僕らもこの上昇の波に乗って、大きく利益を出したいところ。そこで今回は、「新春相場で利益につながりやすかった銘柄の特徴」を、過去のデータを使って分析していきます。
■ 日本株は、新春相場に上がるのか?
まず始めに、例年、年明けから4月頃にかけて相場はどのように動くのか、過去の統計データを調べてみましょう。今回は、東証1部に上場する全銘柄を対象に、00~16年の動向を分析しました。
■年明けから4月までの大型株の動向を分析する
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(分析対象)
・東証1部に上場する全銘柄
(株を買うタイミング)
・1月の第1営業日である
→上記を満たしたら、当日の寄り付きで株を購入する
(株を売るタイミング)
・4月の第1営業日である
→上記を満たしたら、当日の寄り付きで株を売却する
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以上が、年明けから4月頃にかけた東証1部銘柄の動向についての調査方法です。この方法で投資したときに期待値がプラスであれば、年明け以降は大型株が上昇しやすいと言えるでしょう。検証結果は、以下のとおりです。
■年明けから4月までの東証1部銘柄の動向
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検証期間:00年~16年
サンプル数:31791回
勝率:57.84%
期待値:+4.96%
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しかし、東証1部に上場している銘柄は約2000銘柄あります。選択肢が沢山あるので、どうせなら精度高く利益を出せる銘柄を選びたいものです。
そこで僕は、新春相場についてもう少し深く調べてみることにしました。具体的には、以下の2点についても詳しく分析しようと考えました。
1. 直近数カ月間の株価の値動きと、利益の出しやすさの関係
2. 最低購入価格と、利益の出しやすさの関係
「直近数カ月間の株価の値動きと、利益の出しやすさの関係」では、直前までの値動きと利益の出しやすさの相関を調べることにしました。過去の株価の動きは、少なからず利益の出しやすさと関係があると考えられます。データを使ってこれを確認して、利益につながりやすいチャートの特徴がわかれば、実際に投資するときにも、役立てられるかもしれません。
「最低購入価格と、利益の出しやすさの関係」では、株を購入できる価格帯と、利益の出しやすさの相関を調べることにしました。新春相場は冬のボーナスなどが市場に流入しやすい時期と考えられます。個人投資家は「自分が買えそうな価格帯の株」に注目しやすいとも考えられるため、最低購入金額によっても、値上がりのしやすさは大きく左右されると考えました。これを確認して、利益につながりやすい価格帯が、その知恵を実運用にも役立てられるでしょう。
まずは、「直近の株価の値動きと、利益の出しやすさの関係」から調べてみましょう。
■ 上昇中の株ほど値上がりしやすい
先ほどご紹介した「年明けから4月までの東証1部銘柄の動向」を深掘りし、チャートの形と利益の出しやすさを分析してみました。具体的には、上記分析で得られたデータを以下の4つのチャート別に分類してみました。
・パターン(1):年末時点で終値が25日移動平均以上
・パターン(2):年末時点で終値が25日移動平均より小さい
・パターン(3):年末時点で終値が75日移動平均以上
・パターン(4):年末時点で終値が75日移動平均より小さい
上記のとおりデータを集計し直した結果、下記の結果が得られました。
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・パターン(1):年末時点で終値が25日移動平均以上
→サンプル数19179回、勝率62.64%、期待値+6.85%
・パターン(2):年末時点で終値が25日移動平均より小さい
→サンプル数10704回、勝率49.80%、期待値+1.52%
・パターン(3):年末時点で終値が75日移動平均以上
→サンプル数16870回、勝率59.44%、期待値+5.71%
・パターン(4):年末時点で終値が75日移動平均より小さい
→サンプル数12791回、勝率56.24%、期待値+3.89%
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以上が、「直近数カ月間の株価の値動きと、利益の出しやすさの関係」です。次は、「最低購入価格と、利益の出しやすさの関係」について調べてみましょう。
■ 最低購入価格が安い株ほど値上がりしやすい
先ほどご紹介した「年明けから4月までの東証1部銘柄の動向」を深掘りし、以下の5つの価格帯別に分類しました。
・最低購入価格が100万円以上
・最低購入価格が50~100万円
・最低購入価格が10~50万円
・最低購入価格が5~10万円
・最低購入価格が5万円未満
上記のとおりデータを集計し直した結果、下記の結果が得られました。
■年明けから4月の東証1部銘柄の動向(価格帯別)
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・最低購入価格が100万円以上
→サンプル数612回、勝率42.16%、期待値-2.24%
・最低購入価格が50~100万円
→サンプル数2249回、勝率49.18%、期待値-0.16%
・最低購入価格が10~50万円
→サンプル数16392回、勝率56.61%、期待値+3.63%
・最低購入価格が5~10万円
→サンプル数6590回、勝率60.33%、期待値+6.59%
・最低購入価格が5万円未満
→サンプル数5948回、勝率63.38%、期待値+9.50%
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検証結果を確認すると、最低購入価格が100万円以上の銘柄の期待値は-2.24%とマイナスでしたが、最低購入価格が5万円を切ると期待値は+9.50%と好調でした。成績が段階的に変化しているので、「新春相場は最低購入価格が小さな銘柄ほど株価が上昇しやすい」傾向があると言えるでしょう。冬のボーナスも手に入ったこの時期。小刻みに購入できる「10万円株」や「5万円株」に手を伸ばす個人投資家が多いのかもしれません。
◎10万円株、厳選3銘柄
・ビーアールホールディングス <1726>
・キッツ <6498>
・ベルーナ <9997>
以上が、過去のデータを参考にした、これから上昇期待の3銘柄です。上記3銘柄は、株価が中長期で上昇トレンドである上、最低購入価格は10万円以内です。また、3月にはそれぞれ株主優待の権利確定も控えています。これからの時期に買い支えが入りやすい可能性も期待できるので、ぜひ注目しておきたいところです。
本記事のまとめ:
・新春は、例年相場が上昇しやすい
・新春相場は、上昇中の株ほど値上がりしやすかった
・新春相場は、最低購入価格の低い株ほど値上がりしやすかった
中原良太/1990年生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。投資情報サイト「株式予報」代表。2015年にYahoo! ファイナンス株価予想達人にて「ベストパフォーマー賞」と「通算最高勝率者賞」をダブル受賞。近著に『株3年生の教科書』『株2年生の教科書』(共著、総合科学出版刊行)。
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
中原 良太
最終更新:1月11日(水)21時01分
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