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サラリーマンの投資ログなど

ついに上場へ!自動運転の主役ベンチャー企業「ZMP」とは一体何者なのか

政治経済・投資 政治経済・投資-ZMP

(28.7.7 追記あり)

(28.11.13 追記あり)

先日、冬のボーナスで投資する「自動運転」関連銘柄をピックアップしてブログに書いた。それらの銘柄を調べてみると、あるひとつの企業が中心になって、この自動運転技術が動いているという事実を、いやおうなしに突き付けられた。それは「株式会社ZMP」という企業である。日本の、いや世界の自動運転技術はこのZMPが先陣を切って進んでいるといっても過言ではないのではなかろうか。

しかし、このZMP。実はまだ未上場会社であり、公開されている情報は案外に少ないのである。謎のベールに包まれたZMP。逆に好奇心をそそられた私は、これを機会にZMPが一体どういう会社で、何が凄いのかを調べてみることにした。

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何をやっている会社なのか

ZMPは一言で言うと「ロボット」のベンチャー企業である。ビジョンとしては「人型ロボット・ロボカー技術を応用し、総合ロボット会社へ」と掲げられている。
昨今とりわけ注目されているのは、自動運転技術・自動運転車の開発であり、その技術は自動運転の分野だけでなく、物流や、ヘルスケアなど幅広い領域での活用が見込まれている。


会社の基礎データ

会社名:株式会社ZMP(ゼットエムピー) 未上場
設立:2001年1月30日
代表取締役:谷口恒
資本金:545,790,000円
本店所在地:文京区小石川

現在15期目のベンチャー企業である。ちなみに、ZMPという社名の由来は「zero moment point」の略で、二足歩行ロボットにおいて歩行を実現させるために最も重要なポイントだそうである。
小石川のベンチャー企業というのもなかなか珍しい。

 

谷口社長とはどんな人なのか

もともとは自動車メーカーでABSの開発などを手がけていた人。以下のインタビュー記事が詳しい。

 当初はエンジニアとして、ABS(アンチロックブレーキシステム)の開発をしていたが、その後技術系の商社に転職。「世界のハイテク機器を日本に持ってきて研究所やエンジニアに売る用途開拓や、技術営業職として7年働きました」。
 谷口社長が商社で腕を磨いていた90年代後半、インターネットの可能性が、少しずつ世間に認められ始めた時期でもあった。

「ネットの登場で、将来は物流ではなくコンテンツの流通が必要になると感じた。ただ、社内でそれを言ってみても、みんなポカーンとしてたんですよね」。

 ネットが広く知られていなかった90年代。既存企業で新しいネット事業を始めるのは至難の業だった。そこで同社長は、後輩を誘って1998年に写真や音楽などのコンテンツをネット上で販売する企業を立ち上げた。今では当たり前ともいえる事業だが、18年前には最新鋭のサービスだった。「ロボットもそうですが、なんでも最先端が好きなんですよね」と、笑う。

(出典:「ロボットタクシー」で話題のベンチャーZMP、谷口恒社長の思いとは 〈東京IT新聞〉|dot.ドット 朝日新聞出版

 

従業員について

ZMPは成長中のベンチャー企業なので、毎月人員を増やしている状態だそうだ。その内情は、なんと日本人と外国人の比率が5:5。オーストラリア、中国、エジプト、フランスなど国籍も様々。また、博士号保有者の割合を3割キープすることを採用方針としているそうだ。
この記事によれば、今年3月時点で正社員は50名。今は2倍か、それ以上に増えているのかもしれない。

 

業績データ

何しろ未上場会社なので、財務諸表は公開されていない。以下は、官報に記載された直近2期のデータである。

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(単位:千円)

インタビュー記事によると、黒字化したのは6期ほど前。利益も1億円程度である。売上の数字は出ていないが、2017年に売上100億が目標と記事に出ているので、おそらく100億円には達していないだろう。谷口社長は、2020年までに1000億円の売上目標を立てている。

参考リンク

 

出資者が凄い

出資者も凄い。名だたる大企業が、こぞって資本提携を発表している。それだけ、ZMPに対するビジネス界からの期待が大きいということの表れだろう。

DeNA(合弁会社「ロボットタクシー」設立:資本金7億円、66.6%をDeNAが出資)
DeNA、自動運転車のZMPと新会社設立を発表 :日本経済新聞

Intel(出資額推定4億円:より高度な自動運転技術の共同開発)
インテル、自動運転技術開発ベンチャーに出資 :日本経済新聞

コマツ(推定2億円、発行株式総数に対する比率約4%)
KOMATSU : 株式会社ZMPへ出資 ‐ 次世代の建設・鉱山機械の開発を加速 -

JVCケンウッド(合弁会社「カートモ」資本金1000万円、49%をJVCケンウッドが出資、ZMPの第三者割り当て増資引き受け:出資額1億円、保有株数1000株)
JVCケンウッド、自動運転でベンチャー企業と資本提携 :日本経済新聞

ソニー(出資額1億円)
ソニーが自動運転技術 ベンチャーと開発へ :日本経済新聞

その他数社
※保有株式数は各社の有価証券報告書より

 

パートナー企業が凄い

基本的に、ZMPは上記の資本提携した企業と共同で開発を進めている。例えばソニーであれば、自動運転車両用センサー・カメラの協業。コマツとは、建設・鉱山機械の無人化・自動運転化で協業、といった具合だ。
ちなみに、ZMPの自動運転におけるコアとなるSLAM技術は、バージニア工科大学の古川知成教授、またシドニー工科大学と共同研究をしている。

 

目下の視線は“ロボットタクシー” 2020年東京五輪へ向けて政府へ働きかける

おそらく、我々が近い未来に触れる可能性がもっとも高い製品は、DeNAと共同開発しているロボットタクシーであろう。これは、簡単に言えば無人タクシーである。スマホで呼び出すと勝手に迎えに来てくれ、カメラで自動認識し、ドアを開けてくれる。そして、目的地を指定すると、最短ルートで送り届けてくれるという、まさに近未来のイメージ。
このロボットタクシー実用化に向けての谷口社長の熱意は凄い。先日、総理官邸で行われた「未来投資における官民対話」という会議に、谷口社長は出席した。ちなみに、この会議、出席者は、安倍総理大臣、麻生財務大臣、甘利経産大臣、その他大臣多数に加え、“民”からは、トヨタの社長、アマゾン・ドット・コムの副社長らが出席する会議である。名前を挙げるだけで、この会議がどれほどの意味を持つのかわかるだろう(まずここに呼ばれること自体が凄い)。そこで、谷口社長は、政府に向けてこう提言している。

総理に最初に申し上げたいことがある。2年前の成長戦略の第2弾で、モルモット精神あふれる企業に大きなチャンスを与えたいとおっしゃったと思うのだが、私、自動運転において、モルモットになりたいと思っている。(中略)
ロボットタクシーは、電車やバスが廃線になったり、タクシーも廃業になってしまった地域の足になる。車を運転できない高齢者、子供たち、障害を持つ人々の人間本来の喜びである移動の自由を提供する。
当面のゴールは、2020年の東京オリンピックに向けて、世界中から集まる人々の足にしたいと思っている。そして、その成果を地域に還元する。

谷口社長の考えでは、将来的にロボットタクシーは、交通の便が悪い田舎での有効な活用が期待される。その実用化へ向けて、まずは、2020年の東京五輪で世界中にアピールしよう、と言っているのだ。そして、こう続ける。

ここで、政府にお願いしたいことがある。
東京オリンピック・パラリンピックで、無人運転タクシーを日常の足として使えるように、規制緩和をお願いしたい。
さらに、世界に先んじて、自動運転にかかわる安全基準を政府内で策定していただき、国際的なスタンダードづくりを日本がリードしていただきたい。
また、ハンドル・アクセルのない車を、地域限定で、公道で走れる環境を半年以内に整えていただきたい。

これを、総理官邸で、総理に向かって言っているのである。総理大臣に向けて、実用化へ向けた第一歩である公道での走れる環境を、期限を切って直訴している。私は、この文面だけを見て、谷口社長の意気込みが伝わってきた気がする。「絶対にロボットタクシーを実用化させるんだ」という熱気がひしひしと伝わってくる。

(引用:未来投資に向けた官民対話 議事要旨

 

ちなみに、この対話の後、安倍総理は自動運転車の実用化へ向けて、規制緩和する方針を表明した。

首相、ドローン配送など規制緩和表明 官民対話で :日本経済新聞

 

ロボットタクシーコンセプトムービー

 

ZMPが目指す未来

ZMPが作る未来はどんなものだろうか。先日Youtubeに公開された、この「ロボットコミュータ」の動画を見ると、イメージしやすい。

移動用はもちろん、交番や、診療所、宅配便の配達からスクールバスまで、いろいろな用途でロボットコミュータを提案している。ZMPが目指す未来が実現すれば、我々のライフスタイルは大きく変わるだろう。

 

いつ上場するのか

さてさて。あなたか投資に興味が有るのなら、気になるのは、いつ上場するのか、というところだろう。実は、ZMPは2015年早々に上場すると言われていた。しかし、2015年も残すところ後1ヶ月ちょっとだが、まだ未上場のままである。
上場の時期については、ネット上でもいろいろな噂が流れているが、あくまで噂レベルでしかない。私だって、しがないサラリーマン投資家なので、特別な情報を持っているわけではない。
しかし、公開された情報で、ひとつ気になるニュースがあった。
去る2015年11月13日、ZMPは1株を2,000株とする株式分割をすると公告した(基準日は11月29日)。
上場へ向けての準備はもう佳境に来ているのかもしれない。

 

追記(28.7.7)

この記事を最初に書いて、もうすでに半年以上が経過した。昨年末に上場間近と書いたのに、未だ上場の見通しは不明のままだ。

ある株式ニュースサイトでは、「早ければ9月にも上場予定か」と書かれている。

2016年「夏」、“自動運転関連株”復活を先取る <株探トップ特集> | 特集 - 株探ニュース

EU離脱ショックを受けて不透明な現在のマーケットでのIPOが正解なのかどうかわからないが、個人的にはZMPの上場が楽しみでたまらない。今後も続報をお伝えしていきたい。

 

追記 12月19日に東証マザーズ上場との報道

ZMPの上場に関するニュースが久しぶりに流れました。

自動運転のZMP、12月19日に上場へ=関係筋 | ロイター

12月19日に東証マザーズへ上場する方向で調整が進められているとのことです。

個人的には今年最大のIPO。時価総額は400億円ほどが予想されています。

今まで上場の噂はあったものの、噂で立ち消えてしまっていたZMPの上場。資金を獲得し、開発スピードが上がれば、自動運転の世界全体のスピードも上がるかもしれません。楽しみです。