喫茶店のモーニング、起源はどこ?東西で違う卵サンド
学生時代、喫茶店でアルバイトをしていたことがある。開店時間と同時に一斉に店に入ってくるビジネスマンたち。お目当てはもちろんモーニングだ。
トーストをほおばり、新聞を読みながらコーヒーで一息。そんな姿を眺めながら「モーニングは働く大人の一瞬の心のオアシスなのだ」と感じたものである。
モーニングとは早朝の時間帯にかぎり、コーヒー1杯の値段(または少々上乗せした価格)でトーストやゆで卵等のおまけがついてくるというサービス。発祥は名古屋だと思われがちだが、高井尚之氏著『カフェと日本人』によると、モーニングの起源は一宮市、豊橋市、広島市と諸説あるのだそう。
一宮は毛織物工業で栄えた地域で、機の音がうるさいため、喫茶店で打ち合わせをすることが多かった。そこで、ある店が商談に訪れる客にサービスでゆで卵とピーナツをつけたのがはじまりだった。
豊橋ではまかないで出していたパンを客に出したのがはじまり。広島ではコーヒー代が50円の時代に10円増しでトーストに目玉焼きをのせて提供。これが話題になった。
どこが一番早かったのかは定かではないが、いずれにしてもモーニングは日本生まれの喫茶店文化なのだ。
モーニングに欠かせないパンと卵の組み合わせ。店によっては「パンとゆで卵」または「卵サンド」「卵トースト」などが選べるところも多い。
ところでタマゴサンドには関東と関西で違いがあることをご存じだろうか。
全国的にはかたゆでの卵をこまかく刻み、マヨネーズであえた卵サラダをはさんだものが多いが、関西には厚焼き卵やオムレツをはさんだ卵サンドも存在する。パンに塗るものもケチャップや、マヨネーズソース、デミグラスソースなどバラエティー豊かだ。
大阪「天のや」(現在は東京に移転)のものは、甘味処で出していた雑炊の出しを使った出し巻卵。辛子マヨネーズがピリッときいて、やわらかいパンとの一体感がいい。歌舞伎役者にも贔屓にされ、卵→うまれると連想されることから「アイデアがうまれる」として企画会議のお弁当にも重宝されるとか。
モーニングで一休み、卵サンドでゲン担ぎ。2017年もパンと卵は働く大人の味方だ。
(日本の旅ライター 吉野りり花)
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