女性は、セックスレスに陥るとすぐに愛を疑い、パートナーからエロい目で見られなくなると「あなたは私に対して無関心」と言い出しがちで、セックスと愛情の問題をいっしょくたに考えている人が多いけれど、それとこれとは、だいぶ別の話だと思う。
そしてこれは男女ともにだけれど「カップルは付き合いが長くなればなるほどマンネリ化して、相手に刺激がなくなっていくのは仕方がないことだ」という風に考えて、自分たちのセックスレスについて「だから、これは誰も悪くない。そういうものなんだ」という決着のつけ方をして諦めているカップルが多いけれど、これも、どうかと思う。
セックスに必要なのは、愛ではなく、エロさと、たまってる性欲だ。愛や恋の有無は、濡れることや勃つこと(あるいは、濡れないことと勃たないこと)と無関係だと思う。
ガバッ、ズボッ、パカッじゃ濡れない
私は旦那さんのことが大好きだけれど、たとえば1日中一緒にゴロゴロしている休日に、突然にガバッと捕まえられて、ズボッと衣服を剥がされて、パカっと開脚されたとして、そこが濡れているかと言われたら、絶対に濡れていない。
こういう時「どうして濡れなくなったの? 愛がないんだ」「前はいつだって、俺が触ったら絶対に濡れてたじゃん。もう好きじゃないの?」みたいなことを言い出す人がいるけれど(言えるのは少数派で、思っているだけの人が大多数だと思う。だから思っている人はもっとずっとたくさんいるのだろう)、この問題にしたって、長く一緒にいて慣れたからでも、飽きたからでもない。
週に1回程度、外で待ち合わせをしてデートをしていた時に、部屋に入っていきなりガバッ、ズボッ、パカッと開かれたとして、すでにパンツの中身ができあがっているのは、そもそも週に1回くらいだと性欲が満タンに溜まっているから発情しやすい体調でもあるし、慣れない相手とのデートというのは全体的に前戯になっているし、待ち合わせまでのやりとりや手を繋いで移動している間などに、性行為へのカウントダウンをしっかりと刻めている。
大体いつ頃にセックスをすることになるのか、という予備知識がある場合は、そのつもりで生きてるから濡れやすくもある。
一緒に暮らしてしまったり、会う頻度が週の半分以上などに増えてきた時に濡れづらくなったり勃ちづらくなるのは、そもそも性欲のタンクがまだ溜まりきっていないから、という問題もある。空になったタンクが満ちる速度は個人差があるけれど、このタンク自体は誰もが持っていると思う。
存在感が新鮮だとエロいし、するのが久しぶりだと溜まっているから、その場合に興奮しやすいのは当然で、存在や行為に慣れたり、しょっちゅうするようになってきた時に、失速するのもまた当然で、だってそこには満たされているベースがあるのだからそうなるだろう、と思う。
セックスの質が問われるとき
ただ、それは、マンネリ化がカップルの敵というよりは、新鮮さが男女にとってラッキーアイテムすぎるだけ。たいしたセックスをできていなくても、許されちゃうのが初期ってだけだと思う。
付き合いたての男女は舞い上がっているから、食事がファーストフードのハンバーガーでも「あなたと一緒に食べられることが嬉しい♡」状態で、内容に関しての審査や評価を基本的にしない。そういう目で見ていない。
セックスもそのノリで、付き合いたて(両思いになりたて)というのは中身が何であれ「エッチができたことが嬉しい」の一点で満足できてしまうのだけど、それがずっと続くことになってくると、さすがに「もっと、まともな食事がしたい……。いつもハンバーガーって、なんか虚しい」と思う日は来るし、抱いてくれることや抱かせてもらえること自体は当然と思うようになるから、そこへの感動がなくなった時、セックスの質が、モロに満足度になってくる。
たいしたセックスをしていなかった場合は、この時点で満足度がだだ下がりになるので、やる気が起きなくなり、セックスレスが訪れる。
セックスレスに陥らないために必要なことは、とにかく、それがお互いにとって「ちゃんと気持ちいい行為」であること、やりたくなるような内容であることだ。 つまり、良いセックスをすること(そして大前提として、エロい目で見られる間柄を維持すること)であって、愛や恋の有無は関係ない。
この先、よほどのことが起きない限り、私は旦那さんのことを愛し続けると思うけれど、セックスをずっとできるか、と言われると、これは愛することよりハードルが全然高いので「それは君次第だ」という話になる。
セックスレスへの予防策として、私は常日頃から、どういうことが積み重なるとセックスレスになる可能性があるのか、という話を旦那さんにしている。
セックスレスの種はすぐさまつぶす
彼の言動に、セックスレスの種を見つけた場合は、すぐさま、そう伝える。「もし私が濡れなくなったとしたら、今のこういう言動のせいだから。愛とか恋がなくなったからじゃないからね」と。そうやって、花が咲くことは勿論、芽が出ることさえ防ぐ。
彼のどういう言動がセックスレスの種になるかというと、たとえば、キスをしている時に変な顔をして私を笑わせようとしてくるときだ。彼は私を笑わせるのが好きなようで、かなりの頻度でキスをキッカケに凄まじい顔を作り「嬉しいと変な顔になっちゃう」という謎の言い訳をするが、これは種だ。性行為をネタ化するのは、そもそも危険だ。
また、私が通称「濡らし逃げ事件」と呼んでいる行為があり、それは濡れるようなことを散々してきたわりに意外とヤラないで「さ、ごはんにしよっか!」とか言い出す時などの、濡らしたまま逃げることを指しているのだけど、これも、積み重なると、いつが本当にその気になっていい時なのかの判断が難しくなり、もはやスイッチが入らなくなる可能性がある(ような気がする)から種と見なしている。
もっともセックスレスへ直結しやすいのは、やはりセックスそのものへの不満だと思うので、どういうセックスをされると不満なのか、ということも常日頃から伝えている。
(後編に続く)
後編では、下田美咲さんが不満を感じるセックスについて、そしてそれをどうやって伝えているのかなどについて綴っていただきます。お楽しみに!(更新は1/25予定)
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