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狙われる消火栓金具 一宮、盗難10カ所以上

 愛知県一宮市で8日、道路沿いに設置された10カ所以上の消火栓用ホースの格納庫から、ホースの先端に取り付ける筒先などの金具が盗まれていたことが分かった。被害届を受けた一宮署が窃盗容疑で調べている。換金目的で金属を狙った窃盗は全国でも後を絶たず、管理する町内会などは「火災に備え、施錠するわけにもいかない」と頭を抱えている。

 盗まれたのは長さ50センチほどの筒先や、消火栓とホースを接続する金具。被害地域の一つに器具を納めている業者によると、真ちゅうやアルミ、鉄などで1個5千〜7千円程度という。

 市西部の開明地区の町内会長の男性(72)が8日午前8時半ごろ、散歩中に格納庫のふたが開いているのを発見、金具がないことに気づいた。この町内会が管理している24カ所のうち、9カ所が被害に遭っていた。市消防本部によると、開明のほか、奥町、小信中島の住民からも8日午前、被害の連絡があった。

 ホースは町内会などが管理。道路の消火栓につなげ、消防団や消防隊が到着するまでの間、住民が初期消火などに使う。出火時にすぐ使えるよう、格納庫の施錠はしていない。

 一宮市では7日に消防の出初め式があったばかり。男性は「新潟県糸魚川市で大きな火事があったばかりなのに、これでは消火栓が使えず、何かあったときに困る」と憤る。別の町内会長の男性(67)も「金具は買い直すつもりだが、格納庫に鍵をかけるわけにもいかず、対策に困っている」と話した。

 業者によると、消防用の金具が換金目的で盗まれる被害は、中国での金属需要が増え、価格が高騰していた2008年の北京五輪のころが多かった。「最近は価格も落ち着いて、被害も少なくなってきたと思っていたが」と話す。対策としてふたを開けると警報が鳴る装置を設置している地域もあるという。

 消防用の金属をめぐっては、三重県内で11年の1年間に筒先計452本の盗難が確認されたほか、12年に愛知県豊明市で金具100個、岐阜県郡上市でも筒先165本、金具160個などが盗まれた。14年には岐阜県の西濃地域で筒先が600本以上盗まれているのが見つかった。15年には浜松市で筒先20本以上が盗まれ、愛知県設楽町でも50本を超える筒先が盗難に遭っている。

(中日新聞)

愛知県一宮市で盗難被害に遭った同形の格納庫。左にあるホースの筒先や、左下にある消火栓とホースをつなぐ金具が盗まれた=8日

愛知県一宮市で盗難被害に遭った同形の格納庫。左にあるホースの筒先や、左下にある消火栓とホースをつなぐ金具が盗まれた=8日

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