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5000人の天才児を45年間追跡してわかった、親が知るべき「8ヵ条」と「4つのポイント」

ILLUSTRATION: ARNONT / GETTY IMAGES

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うちの子供は、どうすればもっと賢くなるのだろうか。子供の才能を見つけて、それを伸ばすには、何をすればいいのだろうか。そもそも英才教育って、熱心に取り組むべきことなのか──。

そんなことが気になる親にとって、傾聴に値する研究が続々と発表されている。

「生まれか育ちか」論争の終わり

膨大な「天才研究」の成果をまとめて世界的ベストセラーとなった『天才を考察する』という本がある。

著者のデイビッド・シェンクは、同書で「天才児を産むのは、遺伝子と環境の相互作用である」と主張。「生まれか育ちか」論争に意味はなく、親が適切な教育を施すことで子供の才能を伸ばすことができる、と説いたのだ。

「誰にでも天才になるポテンシャルはある」と書くシェンクは、マイケル・ジョーダンからモーツァルトまで多彩な天才の「育ち方」を紹介することで、自らの主張を裏付けている。

さらに、米国には、群を抜いて優秀な子供たち5000人の人生を45年にわたって追跡してきた「SMPY」(「早熟な数学的才能を示す児童の研究」の略語)という研究がある。この研究も、「『賢い子』を『育てる』ことができる」という議論の助けになるという。

ヴァンダービルト大学の研究者カミラ・ベンボウは、1971年に始まったSMPYに1976年からかかわってきた。彼女は現在、心理学者の夫デヴィッド・ルビンスキと共同でSMPYの運営を指揮している。

どうすれば優秀な子供を見つけだし、その優秀な子供の才能を開花させることができるのだろうか。ベンボウは長年、それをテーマに研究を続けてきた。

米国では、知的能力が突出して高い児童を「ギフテッド(天才児)」と呼ぶ。そんな天才児たち数千人を追跡調査した結果、次のことがわかったという。

ベンボウは、「全米ギフテッド教育協会」のインタビュー(下動画)で、こう述べている。

「知的に優秀な子供に対し、その才能が伸びるように教育的な介入をすると、介入しなかった場合とくらべて、大人になってからの職業上の業績、幸福度、クリエイティビティ、収入など、数多くの点でプラスの効果が出ることを検証できました」



数千人を45年も追跡し、教育の効果を検証する研究はあまりない。そんな研究で英才教育の効果が示されたというのだから、これは注目すべき価値があるといえそうだ。

だが、ベンボウはこう釘をさす。

「自分の子供を天才に育てようとするのは、どんな親にもオススメできません。そんなことをすると、子供の社会性や心などに、いろんな問題が出てくることがあります」

「失敗しないように」ではなく「失敗から学べるように」する

では、「賢い子」を育てる親は、どんなことを心がけるべきなのだろうか。

英国の科学誌「ネイチャー」に掲載された「天才児の育て方」という記事(日本語版はこちら)で、ベンボウは、親の心がけとして以下の8ヵ条を推奨している。

【1】子供に多種多様な経験をさせる。

【2】子供が強い興味や才能を示したとき、それを伸ばすチャンスを与える。

【3】知的な欲求と心の欲求の両方をサポートする。

【4】子供をほめるときは、能力ではなく努力をほめる。つねに自分を高める努力をするような心構えを子供に身につけさせる。

【5】子供が知的リスクをおかすことを奨励する。子供が失敗することに否定的にならず、失敗から学べるようにする。

【6】レッテル貼りに気をつける。子供に「天才児」のレッテルを貼ると、それが子供の心の負担になりかねない。

【7】教師と協力して、子供の欲求を満たせるようにする。頭のいい生徒は、「レベルの高い課題」「特別な学習支援」「自分のペースで学習する自由」を必要としている。

【8】子供に知能テストを受けさせる。テストの成績が良ければ、子供にレベルの高い勉強をさせたいと申し出るときの根拠となる。また、テストを受けることで、失読症やADHD、社会性や心の問題が明らかになることもある。

それにしても、天才児たちを長期間、追跡している研究から、どんなことを学べるのだろうか。前述の「ネイチャー」の記事から4つのポイントを拾ってみた。

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