【考察・解説】君の名は。(全ての意味を解き明かす)-1

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しろくま「こんにちは。しろくまです」
ぺんぎん「こんにちは。ぺんぎんだぜ」

ぺんぎん「いやぁ、素晴らしかった・・・」

しろくま「何が素晴らしかったの?」

ぺんぎん「映画「君の名は。」だぜ」

ぺんぎん「この前、しろくま君と観に行った後、更にもう一度観に行ったんだぜ」

しろくま「すっかりはまったね」

ぺんぎん「観るたび新しい発見があるからな」

しろくま「僕ももう一回観に行こうかな」

ぺんぎん「俺ももう一回行くぜ」

しろくま「せっかくだから、ぺんぎん君の考察を聞かせてよ」
しろくま「僕は一度観てるから、ガンガンネタばれしてもOKだしさ」

ぺんぎん「OK。じゃあ「君の名は。」考察を始めるぜ!」

しろくま「要注意!!」
ぺんぎん「要注意!!」

N「ここから先、多分にネタバレがありますのでご注意ください」

ぺんぎん「新海誠監督は、本作について古今和歌集の一首から
ぺんぎん「着想を得たとインタビューで応えているぜ」

しろくま「ほーー。かなりSF要素満載の映画だったのに」
しろくま「着想は和歌からだなんて意外だなぁ」

ぺんぎん「「思ひつつ寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせば覚めざらましを」

しろくま「どういう意味?」

ぺんぎん「「あの人のことを思いながら眠りについたから」
ぺんぎん「夢にでてきたのだろうか。」
ぺんぎん「夢と知っていたなら目を覚まさなかっただろうものを。」」

ぺんぎん「っていう意味だぜ」

しろくま「切ない歌だなぁ。」

ぺんぎん「この歌から着想を得たとおり、本作は夢と現実をモチーフにした恋愛ものだぜ」

しろくま「夢で会える相手、ってすごい長距離恋愛だよね」

ぺんぎん「新海誠監督は過去作品も含めて、」
ぺんぎん「一貫して距離感にこだわってるんだぜ」

ぺんぎん「本作は二つの距離感の複合系だったな」

しろくま「「時間」と「空間」だね」

ぺんぎん「3年前の彗星事故という時間と、」
ぺんぎん「身体が入れ替わるという空間的な差を両方描いているぜ」

しろくま「時間と空間が横糸と縦糸のようにして、」
しろくま「ストーリーが紡がれていくんだよね」

ぺんぎん「かなり複雑に紡がれてたよな」

しろくま「最初観たときは、過去現在未来どこの時点の話で、誰が誰なのか戸惑ったよ」

ぺんぎん「その分、次第にその糸が紡がれていって、」
ぺんぎん「ストーリーの全容が明らかになっていくのはゾクゾクしたぜ」

しろくま「「俺があいつであいつがおれで」っていう身体の入れ替わりと、」
しろくま「SFのタイムスリップが組み合わさったものって考えたらいいね」

ぺんぎん「彗星事故を回避するという危機回避シナリオもSFではよくあるな」

ぺんぎん「よくあるストーリーだが、」
ぺんぎん「大きな特徴を上げるとすれば・・・」

しろくま「上げるとすれば・・・?」

ぺんぎん「哲 学 が な い !

しろくま「ないの!?」

しろくま「うーん、でもそう言われてみると、」
しろくま「確かに宮崎駿監督の作品と比べると、哲学的な要素はなかったね」

ぺんぎん「だろ。「もののけ姫」「風の谷のナウシカ」も」
ぺんぎん「何かを奪い合って対立する姿が描かれていたけど、」
ぺんぎん「「君の名は。」にはそういうものが一切ないんだぜ」

しろくま「ひたすら美しい作品だったね」

しろくま「本作は音楽も素晴らしかったね。」

ぺんぎん「RADWIMPSの挿入歌の疾走感が東京の街並みの乱反射とシンクロしたり」

しろくま「オーロラのように美しい彗星の光と」
しろくま「ピアノの三連符で幻想的な世界を表現してみたり」

ぺんぎん「視覚と聴覚、両方の相乗効果が抜群だったぜ!」

しろくま「映画内のニュースでも言ってたとおり、」
しろくま「1200年来の世紀の天体観測は幻想的で綺麗だった!」

ぺんぎん「シーンごとの美しさもあって、本作は一見の価値があるよな」

ぺんぎん「劇中のポイントの一つ、「黄昏時」

しろくま「劇中でもよく出てきた言葉だね」

ぺんぎん「語源は万葉集から、和歌の一首だぜ」
ぺんぎん「誰そ彼と われをな問ひそ 九月の 露に濡れつつ君待つ我そ」

しろくま「意味は?」

ぺんぎん「「誰、あれは?と私に尋ねないでください。」
ぺんぎん「あれは九月の露に濡れながら君を待つ私なのですから。」」
ぺんぎん「という意味だぜ」

しろくま「「黄昏時」については、三葉が授業で受けていたね

ぺんぎん「黄昏時は逢魔が時ともいって、」
ぺんぎん「妖怪や魔といったこの世ならざるものと」
ぺんぎん「遭遇する時間帯である夕暮れ時を指すってな」

しろくま「夕暮れ時は、相手の姿が見えにくくなるから」
しろくま「誰そ彼、つまり「お前は誰だ」っていうのが由来なんだよね

ぺんぎん「夕暮れは昼と夜の境目であることから、」
ぺんぎん「時間の境界っていう考えもあるぜ」

しろくま「境界?」

ぺんぎん「そうだぜ。民族学的にも研究の進んでいる分野で、」
ぺんぎん「境界論って呼ばれているんだぜ」

ぺんぎん「例えば五条大橋での武蔵坊弁慶や、千と千尋の神隠しでも」
ぺんぎん「橋やトンネルが境界となって異変に遭遇するだろ」

しろくま「たしかにたしかに」

ぺんぎん「継ぎ目である境界に異変が訪れる話しは多いんだぜ」

しろくま「なるほどー。昼と夜の継ぎ目である黄昏時も、」
しろくま「異変と遭遇しやすい時間なんだね」

ぺんぎん「そうだぜ。古来から夕暮れは現世と常世の転換ポイントと」
ぺんぎん「されてきたんだぜ」

しろくま「昼は生、夜は死って考え方だね

ぺんぎん「生と死、現と夢、そして三葉と瀧、」
ぺんぎん「それらを瞬間的に繋ぐ糸の役割をしているのが黄昏時なんだぜ」

しろくま「そういえば、瀧が森の依り代のある盆地で、」
しろくま「死んだはずの三葉と会ったのも黄昏時だったね」

ぺんぎん「あのシーンで、夢だった三葉が現実の三葉になったんだよな」

しろくま「でも、瀧が三葉へ想いを伝えようとした瞬間に」
しろくま「夜になって三葉がいなくなっちゃうんだよね!」

しろくま「せっかく出会えたのに~!!って思っちゃったよ」

ぺんぎん「夜は死の時間、死んだ三葉は常世の世界へと戻ったんだぜ」

しろくま「あのすれ違いには、そういう意味があったんだね」

ぺんぎん「新海誠監督ならではの、「すれ違い」という芸術表現だったぜ」

ぺんぎん「本作のキーアイテムといえば?」

しろくま「口噛み鮭!」
ぺんぎん「誤変換!!」

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ぺんぎん「正解は口噛み酒だぜ」

しろくま「三葉が神事として、米を口で噛んで酒瓶に吐いて奉納するシーンがあったね」

ぺんぎん「伝統ある宮水神社の巫女としての役割をもっている三葉は」
ぺんぎん「田舎と風習に縛られている現状に不満を抱いている」

しろくま「祭祀は女性が取り持っていて、口噛み酒も」
しろくま「先祖代々、女性がするものとされていたんだよね」

ぺんぎん「神道では今でも米と酒を奉納して、祭祀の供物としているよな」

しろくま「米と酒の奉納は古事記の頃から行われているんだよね」

ぺんぎん「昔と比べて、麹の技術も発展しているぜ」

ぺんぎん「宮水神社では、唾液をその発酵技術として継承していたんだぜ」

しろくま「時間を超えた秘伝の方法といっても過言じゃないね」

ぺんぎん「作中で出てくる酒には、ビールもあるぜ」

しろくま「父親の選挙戦での酒盛りで出てきたね」

ぺんぎん「口噛み酒は神聖な酒、酒盛りのビールは世俗的な酒っていう」
ぺんぎん「対比を見出すこともできるぜ」

しろくま「神聖性と世俗性の対比かー」

しろくま「宮水神社の女性は神事を行い、口噛み酒を奉納する」

ぺんぎん「男性は政治を行い、ビールを仰ぐ」

しろくま「三葉が彗星事故の予言が理解されなかったのは」
しろくま「単に妄言ということじゃなくて、」
しろくま「神聖と世俗の壁っていうのが原因にあるのかもね」

ぺんぎん「糸守町の語源は、糸を守るということ」
ぺんぎん「侵すことのできない組紐の神聖性。その神聖性によって」
ぺんぎん「町が守られていると考えられるぜ」

しろくま「1200年前の彗星衝突も、」
しろくま「そんな神の御業で守られたのかもしれないね」

ぺんぎん「そうして作られた口噛み酒は、糸守の依り代のある祠へ奉納される」

しろくま「「ここからはお前の大切な半分を置いていくことになる」って」
しろくま「祖母から言われたよね」

ぺんぎん「あのシーンでは、川が三途の川という境界になっていたぜ」

しろくま「現実世界から常世へと渡って、自分の半分、」
しろくま「口から出した魂の宿った酒を置くんだよね」

ぺんぎん「この酒が後半、重要な意味を帯びてくるんだぜ」

しろくま「後半で瀧は、彗星事故から三葉を救うために」
しろくま「東京から飛騨へ旅立つんだよね」

ぺんぎん「瀧は三葉と入れ替わっていたときの経験から、」
ぺんぎん「糸守の祠へとたどり着くことに成功するんだぜ」

しろくま「そこで、三葉の魂が宿った酒を口にしたんだよね!」

ぺんぎん「そして時計の針が巻き戻って、彗星落下の日に瀧が三葉に入れ替わる」

しろくま「三葉は事故で体を失っても、魂は生きていたんだよね

ぺんぎん「口噛み酒がタイムカプセルの働きをしていたんだぜ」

しろくま「そして、三葉の時間軸の糸が復活するんだよね」
しろくま「二つの糸でようやく結ばれた二人の初めての出会い!!」

ぺんぎん「再会したというのが適切だぜ」

しろくま「ああ、そっか。三葉は3年前に瀧に会いに行ってたからね」

ぺんぎん「本作は時間と空間の距離があったが、」
ぺんぎん「時間の横糸は三葉が、空間の縦糸は瀧がそれぞれ糸を手繰り寄せていたんだぜ」

しろくま「時間は口噛み酒によって、空間は瀧が飛騨に行ったことによって」
しろくま「両方の距離が同時にうまったんだね」

しろくま「せっかく再会したのに、お互い名前を忘れてしまうんだよね」

ぺんぎん「タイトル「君の名は。」の通り、」
ぺんぎん「本作のテーマの一つに名前の存在理由というのが見て取れるぜ」

しろくま「夢で入れ替わってる前半は覚えてるのに、」
しろくま「最後の方は今まで夢を見ていたように名前を忘れちゃうんだよね」

しろくま「手のひらに名前じゃなくて、好きだって書いたのは何でだろう

ぺんぎん「名前という自己の存在証明より、もっと大切な何かを」
ぺんぎん「書きのこしたかったんだろうぜ」

ぺんぎん「気持ちを声に出して伝えないのは、新海誠監督の特徴だぜ」

しろくま「和歌やメールなど、過去から現在に残り続ける」
しろくま「伝達手段の多様性を肯定しているといってもいいね」

ぺんぎん「手のひらに書かれた「好きだ」の文字で、」
ぺんぎん「瀧と三葉の関係性は過去、現在、未来へと続いていくことになるんだぜ」

しろくま「時空を超えた気持ちだね」

ぺんぎん「「俺たちは、私たちは、会えば必ずわかる。」って」
ぺんぎん「この意味は、物語の最後になってようやくわかるんだよな」

ぺんぎん「タイトル「君の名は。」

しろくま「タイトルとRADWIMPSの挿入歌の歌詞の意味が、」
しろくま「直接映像として表現されていなくても、スクリーンには投影されていたよね」

しろくま「そういえばキーアイテムは、もう一つあったよね」

ぺんぎん「組紐だな」

しろくま「そうそう、三葉の髪を結っていた組紐」

ぺんぎん「じゃあ時系列に考えるぜ」

ぺんぎん「まず、最初組紐は三葉が所有しているぜ」

しろくま「そして3年前の瀧と入れ替わって、出会った瀧に組紐を渡すんだよね」

ぺんぎん「瀧が三葉と入れ替わる時には、すでに瀧は組紐を持っているんだぜ」

しろくま「瀧は組紐を持っているけど、誰から渡された組紐かわからないんだよね」

ぺんぎん「3年経って、組紐が三葉からの物だと知って
ぺんぎん「瀧は三葉に組紐を返して好きだと告白する」

しろくま「三葉からしたら、組紐を瀧に渡した翌日に」
しろくま「瀧から組紐が返されたことになるんだね」

ぺんぎん「まさに時を超えたラブレターだぜ!」

しろくま「三葉が髪を切ったのも、三葉が失恋したと錯覚したからだよね」

ぺんぎん「でも、赤い糸の組紐はしっかりと瀧が持っていて、」
ぺんぎん「三葉に瀧の気持ちと一緒に返ってくるんだぜ」

しろくま「いいよねー、赤い糸!青春!ボーイミーツガール!」

しろくま「観終わったあとの余韻を思い出して泣きそうだよ」

ぺんぎん「何回でも観たいぜ

しろくま「考察を聞いた上で見ると、また違った視点で楽しめそうだよね」

ぺんぎん「お、じゃあ早速観に行こうぜ。急げば夕方からの上映に間に合うぜ♪」

しろくま「ぺんぎん君、そんな走らないで危な・・!!!」

ぺんぎん「うわわわ」
しろくま「あわわわ」

ぺんぎん「目の前に僕がいる・・・」
しろくま「目の前に俺がいるぜ・・・」

ぺんぎん「僕たち、」
しろくま「俺たち、」

ぺんぎん「入れ替わってるーー!?」
しろくま「入れ替わってるーー!?」

しろくま「うわー、嬉しくない入れ替わりだぜー!」

ぺんぎん「こっちのセリフだよー!」

しろくま「というわけで、ありがとうございました。」
ぺんぎん「というわけで、ありがとうございました。」

ぺんぎん「次の作品も、みてくれよな!」

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