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【いま読む日本国憲法】

(35)第53条 議員に召集要求権

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 会期を定められた通常国会が閉会した後、国会審議が必要な事情がある場合、臨時会(臨時国会)を開くことができるとした条文です。秋の臨時国会はほぼ通例となっています。

 条文は、臨時国会について内閣が召集できるだけでなく、議員側も召集を要求できると定めています。旧憲法では、議員の召集要求権はありませんでしたが、野党など少数勢力の意見をできるだけ尊重する方法として現憲法に加えられました。要件は、衆参いずれかの議院の総議員の「四分の一」以上の要求です。

 召集要求は戦後三十七回ありましたが、小泉政権の二〇〇三年十一月と〇五年十一月、安倍政権の一五年十月の計三回は無視されました。政権側が、予算編成や外交日程を理由に応じなかったのです。

 政府は、合理的な期間内に通常国会が召集される場合には、臨時国会を召集しなくても憲法違反にならないと解釈しています。

 自民党が一二年にまとめた改憲草案は「要求があった日から二十日以内に臨時国会が召集されなければならない」と、召集期限を定めました。

 草案Q&Aでは「党内議論の中では『少数会派の乱用が心配』との意見もありましたが、『召集要求権を少数者の権利として定めた以上、きちんと召集されるのは当然』という意見が、大勢でした」と説明しています。

 少なくとも、草案がまとまった後の一五年十月の召集要求を安倍政権が無視したことは、自民党改憲草案に反している疑いが強いと言えるでしょう。

 ◇ 

 「読むための日本国憲法 東京新聞政治部編」(文春文庫)をベースに、憲法の主な条文の解説を随時掲載しています。

◆自民党改憲草案の関連表記

 内閣は、臨時国会の召集を決定することができる。いずれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があったときは、要求があった日から二十日以内に臨時国会が召集されなければならない。

 

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