どうも、ゴトーだ。
俺は三度の飯より格闘技が好きでな。
中でも注目しているのは2016年12月に旗揚げされたKNOCK OUTというイベントだ。
結構硬派ではあるのだが、話題性と実力主義が上手くバランスされていて、今後人気が上昇する芽を感じている。
今回は第2回大会にあたる「Vol.1」の見所と全対戦カードを紹介したい。
KNOCK OUTとは
(出典: http://www.knockout.co.jp/)
KNOCK OUTの興行の見所を解説していきたいのだが、おそらく世間的にはKNOCK OUTというイベント自体がほとんど知られていないので、簡単に紹介していきたい。
KNOCK OUT(ノックアウト)は2016年12月に旗揚げされたばかりの新しいキックボクシングのイベントで、トレーディングカードゲームで有名なブシロードの子会社が運営している。
キックボクシングというと、パンチとキックが許されたK-1のような競技、というイメージが強いかもしれないが、KNOCK OUTでは肘と組み付いての膝蹴り(首相撲)が許されていて、伝統的なキックボクシングルールとも言われている。
K-1のイメージからキックボクシングは人気があるように思う人もいるかもしれないが、基本的にキックボクシングはマイナー競技で、王者と言えども知名度は低いのが実情。
既存の団体は後楽園ホールやそれよりも小さい会場で試合をすることが多いのだが、K-1とこのKNOCK OUTはそれよりも大きな会場でイベントを行っているのが特徴でもある。
今度行う大会は大田区総合体育館という会場で行い、収容人数は4000人規模。
出場する選手は大抵がその他の団体の王者クラスの選手で、前座的な試合がなく、ハイレベルな試合が濃縮されて見られるというのが一つのコンセプトになっている。
試合数はあえて少なめに
格闘技イベントはテレビでやっているような華やかな大会を除くと、チケットの多くは選手が手売りで知り合いに買ってもらうことで捌いているのだが、KNOCK OUTはこの手売り制度をなくして、純粋にイベントにお金を払って見てもらうことを目的としている。
それにちなんで、試合数も6~7試合と少なめで、中だるみせずに集中して見られるようになっているのも特徴。
前回大会は全6試合のうち5試合がKO決着だったので、かなりサクサク進行で良い意味であっという間に終わってしまった。そのため普段格闘技を見ない人でも、あまりストレスを感じずに楽しく見られるようになっている。
詳しくは別記事まで
簡単に紹介と言ったものの、それなりに長くなってしまったが、KNOCK OUTの背景をさらに詳細に書いた記事があるので、今の説明で興味を持った人は以下のページを読んでみて欲しい。
大会概要
今回紹介するKNOCK OUT Vol.1の概要は以下の通り。
日程 | 2017年2月12日(日) |
会場 | 大田区総合体育館 (東京都大田区東蒲田1−11−1) |
スケジュール | 16:00会場、17:00開始 |
大会名 | KNOCK OUT vol.1 |
ちなみにVol.1と大会名がついているが、旗揚げ戦がVol.0だったので、今回は2度目の大会。
前回は東京ドームシティホールだったが、今回は大田区総合体育館になっている。
全試合を紹介
引藤伸哉 vs 健太
- 67.0kg契約 3分5R
- ウェルター級の実力者が共にKNOCK OUT初参戦
健太は非常にキャラの立っている選手で、際どいブーメランパンツで計量に臨んだり、上はバッチリスーツなのに、下はパンツ1枚で会見に出席したりと、コメディアン的な要素が強いファイター。
試合前には体をこんがりと焼いて、自己愛に満ちたポージングをすることから「褐色のナルシスト」と呼ばれている。
しかし実力は本物で、KrushやK-1で活躍し、佐藤嘉洋や城戸康裕といった日本人トップファイターにも勝利している。肘ありルールでの実績も豊富で、ウェルター級戦線では間違いなくトップレベルの選手だろう。
対する引藤伸哉も負けず劣らずの実力者で、タイ人選手との国際経験が豊富な選手だ。
180センチの長身を活かした蹴り技で間合いをキープして戦うスタイルで、日本王座を2つ保持しており、神奈川のキックボクシングイベント「BOM」のエースでもある。
健太と比べるとキャラが薄い感は否めないが、身長で健太を7センチも上回っており、得意の蹴り技で健太の勢いを封じて勝利したいところ。
共にKNOCK OUT初参戦だが、今後のウェルター級戦線を占う一戦になりそうだ。
小笠原瑛作 vs 波賀宙也
- 55.5kg契約 3分5R
- 旗揚げ戦で鮮烈デビューを飾った小笠原に影の実力者が立ち塞がる
「SPEED ACTOR」の異名を持つ小笠原瑛作は、旗揚げ戦で持ち前のスピードを武器に、実力者である宮元啓介から3度のダウンを奪ってKO勝利をしている。
華麗な動きで観客を魅了する選手で、初回大会では那須川天心と並んでインパクトを残した選手だ。
俳優志望でもあり、持ち前のスター性で、今回もリングを華やかに彩れるか?
対する波賀宙也は、今回が初参戦の選手。
ディフェンスの固いテクニシャンタイプのサウスポーだが、KO率が低く、自分で最もKNOCK OUTに相応しくないと自虐的に語る面も。
ただし実力は折り紙付きで、現役のムエタイランカーに勝利するなど6連勝中。
期待のホープである小笠原にとっては、2戦目にしてかなりの難敵を迎えることになった。
不可思 vs 山口裕人
- 64.0kg契約 3分5R
- 絶好調な新エース候補と、勝っても負けてもKO決着の豪腕ファイターが対戦
不可思(ふかし)は、現在最も波に乗っている選手の一人で、1つの引き分けを挟んで9連勝中。
RISEやムエタイのベルトを計4度巻いており、飛び膝蹴りなどの大技も得意としている。
KNOCK OUTには初参戦だが、内容によっては新エース候補として名乗りを上げることになるかもしれない。
ちなみに日本とタイのハーフで、父親が寺の住職ということもあり、不可思というリングネームは仏教のお経から来ている。
対する山口裕人は勝っても負けてもKOという非常に分かりやすい選手。
駆け引きは無用で、パンチの打ち合いに誘い込み、相手を鮮やかに倒すこともあれば、ガードの隙を狙われて豪快に倒されることも。
特徴的な髪型は試合の度に変わるので、今度の試合ではどんな髪型になるのか楽しみの一つでもある。
この試合はKO決着間違い無しの、KNOCK OUTにふさわしい試合になるだろう。
森井洋介 vs 村田裕俊
- 59.5kg契約 3分5R
- 旗揚げ戦で鮮烈の逆転KO勝利を収めた森井洋介が、叩き上げファイター村田の挑戦を受ける
森井洋介は伝説のキックボクサー小林聡の後継者的存在で「野良犬2世」と呼ばれる。
そのニックネーム同様に、真っ向勝負を仕掛けるファイトスタイルで、絶対に折れないハートの強さも武器。
旗揚げ戦では、タイ人選手を前に最も苦しい試合を強いられたが、最後まで諦めない姿勢が実り、3Rに右肘一閃で鮮やかなKO勝利を収めている。
対する村田はサウスポースタイルから、じっくり戦い、蹴りでポイントを取って競り勝つ選手。
攻撃力はあまり高くないが、しぶとさが武器。キャリアの半分ほどは本場タイでの試合で、叩き上げのファイターでもある。
また過去にうつ病で入院歴があることを告白しており、キックボクシングと出会って克服したという経歴を持っている。
町田光 vs DJ.taki
- 契約体重未定 3分5R
- 「居合いパンチャー vs 王国民」という異色の試合で、リング上では必ず何かが起こる!
良い意味でKNOCK OUTらしからぬ、キャラクター重視のマッチメイク。
町田光は「居合パンチャー」と呼ばれていて、居合抜きのような構えから、居合パンチと呼ばれる独特な必殺技を繰り出す。
袴姿で入場してきたり、ラウンド間のインターバルでは武士のように正座をして休憩したりと、独特なオーラのある人気選手。
実力も折り紙つきで、不可思らトップファイターからも数多くの勝利を収めている。
対するDJ.takiは町田よりも異色のファイターで、田村ゆかりをこよなく愛する「王国民」でもある。
長島☆自演乙☆雄一郎よりも先にアニメオタクキャラを確立し、アニメのコスプレをしたり、試合後には「Go Happy!Go Happy!ゆかりん」の応援コールをしたりと、逸話には事欠かない。
DJ.taikiは本来は総合格闘家で、DREAMでは所英男から勝利したこともある実力者だが、キックボクシングやK-1でも結果を残していて、健太に勝利したこともある。
ちなみにDJと名前がついているがDJでもなんでもなく、何となくカッコいいからつけたらしい。
どちらも異色のファイターであり、実力者でもあることから、今大会の目玉カードの一つとなっている。
那須川天心 vs アムナット・ルエンロン
- 契約体重未定 3分5R
- 「神童」那須川天心が、井岡に唯一黒星をつけた天才ファイターに挑む
那須川天心は格闘技界の常識を覆し続ける天才ファイターだ。
これまでも天才と呼ばれてきた選手は多くいたが、那須川はそれとは比較にならないほどの実績と衝撃を残してきた。
旗揚げ戦では、肘ありルールは初めてながら、現役ムエタイ世界王者からバックスピンキックで1RKO勝利を収めている。
また1ヶ月と経たずにRIZINに参戦し、ほとんど練習すらしていない総合格闘技で、中1日で2戦を戦い、どちらもKO・一本勝利を収めて、お茶の間に衝撃を与えた。
高校3年生にして、この階級では日本トップに君臨する那須川に用意された相手は、何とあの日本を代表するボクサーである井岡一翔からプロで初めて黒星を付けたアムナットだった。
アムナットは7歳でムエタイを初めて、19歳で最高峰のチャンピオンに。
しかしその後、犯罪に手を染めて25歳で刑務所に服役。刑務所の中でアマチュアボクシングに取り組むと類稀な才能を発揮して、タイの代表にも選ばれると、生活態度の良さから15年の懲役が、僅か2年半で釈放。
31歳でプロボクシングに転向すると無敗で世界王者となり、2014年には井岡一翔が3階級制覇をかけて挑戦するも、それを退けて、現在までにキャリア唯一の黒星をつけている。
さらに2016年にはアマチュアボクシングでリオオリンピックに出場するなど、多彩な才能を発揮。
2016年末にはムエタイに復帰しており、復帰2戦目にして那須川天心と対戦することになった。
那須川は、ボクシングとムエタイ両方の競技で世界を取ったアムナットを下し、神童伝説に新たな1ページを刻みたい。
日本格闘技界の未来を背負って立つ那須川の一挙手一投足から目が離せない。
梅野源治 vs ワンマリオ・ゲーオサムリット
- 61.5kg契約 3分5R
- KNOCK OUTのエース梅野が、欧州の強豪ワンマリオを迎え撃つ
「KING」梅野源治は、本物を志向するKNOCK OUTの真のエース選手で、ムエタイの最高峰ラジャダムナンスタジアムの現役王者でもある。
60kg前後の階級ながら180cmとずば抜けたリーチを持っており、ファイトスタイルは日本人離れしたムエタイテクニックで、歴戦のタイ人ファイターのように相手を丸め込む。
パンチ・キック・肘全ての攻撃の完成度が高く、紛れもなく日本を代表するキックボクサーの一人。
その梅野に対するは、KNOCK OUTでは初めての欧州出身選手であるワンマリオ・ゲーオサムリット。
スペイン人でありながら、タイのジムに住み込みで練習しており、現地で試合をこなし続けている。
2016年には国際的なムエタイイベントである「MAX Muaythai」で6勝3分と負け無しの成績を残しており、トップレベルの実力者であることを証明した。
ヨーロッパの選手らしく骨格が太く、フィジカルの強さを活かして重戦車のようにパンチと肘を振り回してくる危険なファイター。
梅野はこの難敵を退け、誰もが認めるKNOCK OUTのエースとして君臨したい。
前回大会は怪我を抱えたままの試合で、唯一KO決着とはならなかっただけに、今回はKO決着が見たいところでもある。
総評
KNOCK OUTといえば本物志向の試合だが、その一方で「町田光 vs DJ.taiki」「那須川天心 vs アムナット・ルエンロン」といった話題性のあるカードもあって、全体として良くバランスが取れている印象が強い。
当初のKNOCK OUTのコンセプトを見たときは、競技色が強くなりすぎてしまうのではないかという懸念を感じていたが、真剣勝負の色を濁さず、それでいてこうした目を引きやすいカードを同時に提供しているのは、良い意味で裏切られた気がした。
初回大会は「神興行」と言われるほど好勝負が続いたことで、KNOCK OUTが目指す「キックボクシングの上位概念」という像が見えてきた一方で、まだまだ格闘技ファン以外からは認知されていないのが現状だ。
昨年末にRIZINのテレビ放送で衝撃を残した那須川天心の試合を筆頭に、格闘技ファン以外にも旋風を起こせるような試合に期待したい。
個人的には小笠原瑛作のポテンシャル、町田光の意外性、那須川天心と梅野源治の両エースの勝ちっぷりを見所としているが、この記事を通じて皆さんなりに一つでも興味を持って頂ければ幸いだ。
KNOCK OUTを見るには
それでは最後にKNOCK OUTを見るための方法について紹介したい。
現地観戦
現地でKNOCK OUTを見たい!という熱いファンの方は、「チケットぴあ」などでチケットを購入しよう。
チケット代は以下の通り。
席種 | 値段 |
---|---|
VIP | 25,000円(当日25,500円) |
アリーナS | 10,000円(当日10,500円) |
アリーナA | 8,000円(当日8,500円) |
1FスタンドA | 7,000円(当日7,500円) |
2FスタンドB | 5,000円(当日5,500円) |
2FスタンドC | 3,000円(当日3,500円) |
スポナビライブ
初回大会は、スポーツ動画配信サービスであるスポナビライブで生中継されていた。
Vol.1の放送についてはアナウンスはないが、配信される可能性は高いのではないかと思っている。
なおスポナビライブでは第1回大会のアーカイブが視聴できる上に、初月無料で登録できるのでおすすめの媒体だ。
利用料金は携帯がソフトバンクの人は月額500円、それ以外の人は月額3000円(3月までは1500円)となっている。
(プロ野球、海外サッカー、テニスなどがパッケージになった料金)
FIGHTING サムライTV
スポナビライブと同様に、FIGHTING サムライTVで第1回大会で生中継がされていた。
こちらもVol.1の放送があるかどうかについてアナウンスはないが、おそらく中継されるだろう。
FIGHTING サムライTVは名前の通り、プロレス・格闘技専門のチャンネルで、J-COMやケーブルテレビ、スカパーから視聴できる。
スカパーの場合は月額1944円となっている。
MXテレビ
MXテレビは東京周辺の1430万世帯が視聴できる、東京ローカルのテレビ局。
KNOCKOUTは2017年1月からMXテレビでレギュラー放送をしており、それに先駆けて、大晦日と元旦に第1回大会を中継している。
今回のVol.1もおそらく遅れての放送になるが、おそらくMXテレビで放送されるのではないだろうか。