【ソウル聯合ニュース】韓国の市民団体が釜山の日本総領事館前に旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する少女像を設置したことをめぐって韓日関係がぎくしゃくする中、韓国では全国的に少女像を建てる動きが続いている。
少女像の設置は、2015年12月28日の慰安婦問題をめぐる両国の合意に基づき、10億円を拠出する代わりにソウルの日本大使館前の少女像を撤去しようとする日本政府への反発の側面が大きいとみられる。
ソウル郊外の京畿道の議会は募金運動を行い、独島と道議会への「平和の少女像」設置を推進する方針だ。道議会議員30人からなる団体が中心となり、今月5日に建立計画を発表。16日から募金活動を行う計画だ。団体側は「少女像1体の建立に3500万ウォン(約340万円)程度かかる。上半期中に道議会に少女像を設置した後、独島にも建てる計画」と説明した。
南部の全羅南道麗水市の団体は目標額6000万ウォンを超える募金を集め、日本の植民地支配に抵抗して1919年に起きた独立運動を記念する「3・1節」(3月1日)に少女像の除幕式を行う予定だ。
南西部の光州市でも少女像の建立に向けた募金運動が本格化するという。
一方、釜山総領事館前の少女像が一度は強制撤去されたものの、市民からの抗議が殺到して再び設置された影響を受け、設置場所をめぐって市民団体と対立してきた自治体が相次いで像の設置を認めている。
西部の忠誠南道舒川郡は市民団体が求めていた総合施設「春の村」への少女像設置を認める方針を明らかにした。同郡はこれまで「民間団体は共有財産に施設物を設置できない」との立場を崩さず、団体と対立してきた。そのため、市民から2000万ウォンを集めて製作された少女像は施設前の広場の一角に臨時に置かれていた。同郡トップの盧博来(ノ・バクレ)郡首は「共有財産に少女像を設置することは法的な問題があった。だが、釜山で少女像が設置されたことを受け、決定を変えた」と説明した。
南東部の大邱市でも中心部の東城路への少女像設置を認めなかった同市中区が、設置を許可する方針に転じた。
慰安婦被害者支援団体「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協)の「戦争と女性人権博物館」が確認した韓国内の少女像の数は釜山総領事館前の少女像を含め37体だ。
設置予定のものまで合わせると、全国の少女像は約60体に増える見通しだ。高校や大学が校内に設置した少女像なども多く、実際の少女像数はさらに多いとされる。
像が壊されたり、傷つけられたりする事例も発生しており、市民団体は少女像を「公共造形物」として登録し、自治体が管理する方策を模索している。
慰安婦を動員した戦争犯罪を海外に知らせるため、外国に設置される少女像も増えている。ソウル近郊の京畿道華城市の市民の募金で作られた少女像が中国・上海の上海師範大に設置されたほか、米国2カ所、カナダとオーストラリアのそれぞれ1カ所の計5カ所に少女像が設置された。米ワシントンでの設置が推進されている少女像はまだ設置場所が決まらず難航している
慰安婦被害者が共同生活を送る「ナヌムの家」の関係者は「釜山総領事館前に少女像が設置されてから外交対立が起きたが、もっと大きな問題は慰安婦合意に際し十分な意見聴取がなかったため、国民感情とかけ離れた内容で(合意が)決まったこと」として、「日本政府が真の謝罪や賠償のない慰安婦合意に固執する場合、少女像はさらに多く設置されるしかない」と述べた。