Lu, J. G., Quoidbach, J., Gino, F., Chakroff, A., Maddux, W. W., & Galinsky, A. D. (2017). The dark side of going abroad: How broad foreign experiences increase immoral behavior. Journal of Personality & Social Psychology, 112(1), 1-16. doi: 10.1037/pspa0000068.
コロンビア大学の経営大学院、コロンビア・ビジネス・スクール、ポンペウ・ファブラ大学経済経営学科、ハーバード大学の経営大学院、ハーバード・ビジネス・スクール、ボストンカレッジ心理学科、フランスのビジネススクール・経営大学院のINSEA(インシアード)組織行動学領域の研究者らによる論文です。
先行研究では、外国経験でクリエイティビティが高まり、集団間バイアスが低下するといったポジティブな影響が示唆されていました。しかし、外国経験にはネガティブな影響があるのでしょうか?本研究では、(不)道徳行動に焦点を当てて調べました。外国経験で認知的柔軟性が高まるということが先行研究で示唆されていたので、それなら道徳的柔軟性も高まるはずだというわけです。
研究は8つで、全部で2,200人以上が参加しました。留学生を追跡調査した縦断研究、外国を訪れた時のことを思い出す実験、相関関係をとった調査を実施しました。
その結果、外国経験が非道徳的行動を促進しました。特に、外国で生活した日数よりもどれだけ多くの外国を訪れたかが重要でした。経験した外国の数が多いほど非道徳的になるのは、道徳が絶対的なものだという信念よりも道徳は相対的なものだという信念(道徳相対主義)が強まることが一因でした。
これらの結果は、英語を母語とする人々(アングロフォン)やフランス語を母語とする人々(フランコフォン)、高校生、大学生、経営学修士(MBA)の学生、中年の大人といった多様な人々を対象とした研究で確認されました。非道徳性の指標も7種類使用しました。
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