汚染土議事録:「差し障るなら修正」職員、会合で隠蔽発言
2017年01月05日 07時30分 毎日新聞
東京電力福島第1原発事故の除染で出た汚染土の再利用を巡る非公開会合で、環境省が議論を誘導したとみられる発言を議事録から削除していたが、この会合では隠蔽(いんぺい)についてさらに直接的な発言もなされていた。「議事録は請求されれば情報公開の対象になる。障りがありそうなところはチェックのうえ修正して差し替えたい」。その後に同省が公開した議事録に黒塗り部分はなく事務取り扱い上は「全部開示」とされているが、この発言自体も記載されていない。【日野行介】
情報公開請求後も「指摘を」
関係者によると、問題の発言があったのは昨年5月17日の第6回会合。冒頭、環境省の担当者が議事録について「チェックのうえ修正、差し替え」などの考えを述べ、一部の配布資料については「席上配布資料」として回収し、「会議次第」から削除する方針も示したという。
回収されたのは、被ばく線量の基準を議論する放射線審議会の関連資料。本来なら汚染土の再利用基準は同審議会の了承を得るべきものだが、環境省は同審議会に諮らないまま再利用基準を決めている。
情報公開への対応ぶりも異例だった。毎日新聞が非公開会合の全議事録を6月13日に情報公開請求したのに対し、環境省は7月8日、開示期限延長を通知。同13日に議事録案、同28日には議事録を、非公開会合の委員らにメールで送信し、そこにこんな文言があった。「追加での修正がございましたらご指摘いただければ幸いです」
「チェックのうえ修正、差し替え」との発言や席上配布資料の回収などの記載は議事録案や議事録になく、それ以前に作成された「素案」には環境省が議論を誘導したと受け取れる発言が記載されていたが、これも既に削除されていた。「追加での修正」との文言は、こうした事情を暗に指すとみられる。その後、議事録案や議事録はさらに微修正の上、8月1日に「全部開示」された。
環境省の担当者は取材に「非公開会合は我々が専門家に教えてもらう勉強会のようなもの。当初は全面公開を想定していなかった。『チェックのうえ修正、差し替え』というのは議事概要的なものの作成を想定していた」と釈明。席上配布資料の回収は認め、情報公開請求後の委員へのメール送信は「趣旨が不明だったりあいまいだったりする発言を除くため」とした。
NPO法人・情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は「開示期限の延長は、公表用に議事録を改ざんするのが目的だったように見える。非公開情報が含まれるなら審査に時間がかかるかもしれないが、『全部開示』なら延長の必要はないはずだ」と指摘。「明らかな言い間違いを直したり話し言葉を読みやすく整理したりすることはあるだろうが、言ったことをなかったことにするのでは議事内容の正確性が確保できなくなる」と批判した。
汚染土の再利用を協議した非公開会合と議事録の情報公開を巡る経緯(2016年)
5月17日 第6回会合で環境省の職員が議事録について「障りがありそうなところはチェックのうえ修正して差し替えたい」などと発言
6月13日 毎日新聞が会合の議事録を情報公開請求
7月8日 環境省が議事録の開示期限の延長を通知
13日 同省が議事録案を会合の委員らにメール送信
28日 同省が議事録を委員らにメール送信。そこに「追加の修正があればご指摘を」などの文言
8月1日 同省が議事録案や議事録を「全部開示」